スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

ヒッジョーにイイ感じの「iTunes Match」♪

ヒッジョーにイイ感じの「iTunes Match」♪

 2014年5月2日に日本でも始まったアップルの「iTunes Match」。音楽(楽曲ファイル)をクラウド(iCloud)上に保存し、PC(Mac/Windows)やiOSデバイスで再生/ダウンロードができるサービスですな。Apple TVからでも使える。

 ちなみにiTunes Matchは有料のサービス。年間の利用料(登録料)は3980円だ。1カ月で約332円の計算になりますな。

アップルの「iTunes Match」は、クラウド上に音楽を保存し、PCやiOS端末でいつでもどこでも再生できるというサービス。基本的にはPCのiTunesから使い始める。右の画像はiTunes Matchが使用可能になったiPhone 5sの表示例。クラウド上の音楽を再生できるようになった

 iTunes Matchを使うとどうなるのか? 少し前述したが、具体的にはPCにあるiTunes上の音楽ライブラリ(手持ち曲全部)をiCloudに保存できる。そしてそのライブラリには、PCやiOSデバイスからインターネット経由でアクセスできる。つまり、ネットにさえつながれば、どこにいても「自分の全音楽ライブラリを聴ける」てな感じになる。

 とりわけこのサービスの恩恵を受ける人は、iTunesで音楽CDをPCに取り込んで聴いている人。iTunes Storeで買った音楽は、これまでもPCやiOS端末に自動でダウンロードできたりした。が、音楽CDを取り込んだ場合は、ほかのPCへコピーしたり、各iOSデバイスに転送しないと音楽を聴けなかった。

 しかしiTunes Matchを使えば、もうそういう面倒はない。CDから取り込んだ音楽もiCloudにアップロードできるので、インターネットにつながりさえすれば、音楽を入れていないPCやiOSデバイスを使っていつでもどこでもそれらの音楽を聴くことができる。iCloud上の音楽をダウンロードして端末に保存することもできる。

 むむむ。良さそう。早速使用開始!! てなわけで以降、iTunes Matchの使用感などについて書いてみたい。

 でもとりあえず俺的結論だけ書いちゃうと、iTunes Matchを使うと音楽を転送するためのPC/iOSデバイス同期が不要になるのでラク♪ 次から楽曲保存のために大容量のiOSデバイスを買わずに済むので経済的かも♪ iTunes MatchはApple TVでも使えるので、テレビを音楽再生端末的に使えるようになり、音楽がより身近に♪ と、iTunesを使って多量の楽曲を扱っている俺にとってはヒッジョーにイイ感じなのであった。

クラウドで音楽、軽く感動

 iTunes Matchを使うには、まずiTunesから設定を行う。常用の、既にいつも聴いてる音楽ライブラリが入っているiTunesから設定、ですな。そのiTunesはWindows版でもMac版でもOK。使い始めるには年間3980円の登録料を支払う必要がある。

 設定手順自体は簡単で、ほとんどの設定はiTunesが自動で済ませてくれる。具体的には以下の3つのステップとなる。

(1)iTunesライブラリに関する情報収集
(2)iTunes Store上で配信中の曲とのマッチング
(3)アートワークと残りの曲のアップロード

 iTunes Matchは、手持ちの音楽ライブラリ全てをiCloudにアップロードするわけではない。手持ちの音楽のなかに、iTunes Storeで売られているのと同じものがあれば、それはiTunes Storeのものを聴取/ダウンロードできるようにする。この判別を行うのが(1)と(2)のステップとなる。そして次の(3)のステップでは、ユーザーのiTunes音楽ライブラリのうち、iTunes StoreにないものだけをiCloudにアップロードする。

ステップ(1)~(2)では、ユーザーのiTunes音楽ライブラリの楽曲データを集め、それをiTunesストアで売られている楽曲と照らし合わせる。ライブラリにiTunesストアにある楽曲があれば、それはiCloudにアップロードせず、iTunesストアの楽曲を聴かせる/ダウンロードさせるという仕様だ
全6475曲のうち、iTunesストアになかった楽曲は3149曲。ステップ(3)ではその3149曲をアップロードしていた。アップロードが終わればiTunes Matchを使い始められる

 iTunes Matchでは、iCloudにアップロードできる曲数は2万5000曲までという制限がある。が、「iTunes Storeで購入した曲はこの曲数に含めない」という但し書き付きだ。

 ちなみに、俺の場合は上記(1)~(3)が完了するまで12時間くらい、かな? かかった。サービスイン当初は何日もかかったという人が続出したようだ。現在はどうなのか不明だが、とりあえず「初期設定時間が長いらしい」という心構えでiTunes Matchを使い始めたほうがいいかも。それで速く済んだらラッキー、みたいな。

 さて、iTunes Matchを使い始めて、すぐに喜べた。だって超簡単にほかのiOSデバイスで音楽を共有できるんですものぉ~♪ どのiOSデバイスでもサクッと「全音楽ライブラリにアクセスできる端末になる」のダ!! ってサービスの内容上、当然なのだが、軽く感動した。

PC側(iTunes)でiTunes Matchの設定が済んだら、iOS端末側でもiTunes Matchを開始する。画像はiPhone 5sでの表示例だ。設定のミュージックに専用のボタンが現れているのでソレをオンに
オンにしてから、ミュージックアプリを開くと、iTunes Matchの読み込みがなされる。そしてクラウド上の音楽が現れる。Wi-Fi環境下では曲名右側に雲のマークが♪

 あーもー時間かかる面倒な音楽転送とはオサラバ。iOS端末の容量で悩む必要も激減な予感。クラウドってステキね~、とか今さらながらに思うのであった。

 ちなみに、クラウド経由での音楽再生、別の曲にジャンプしたりするときに1~2秒の間があったりするが、まあまあ快適。曲が途切れるようなこともない。ストリーミングでの再生になるので、3G/LTE回線で使うとパケット上限が気になるところだが、聴きまくるならWi-Fi環境下で使うとか、よく聴く曲はダウンロードしておくなど、使い方に合わせた巧い工夫のしかたもありそうだ。

 ともあれ、どこにいても自分の全音楽ライブラリにアクセスできるのは快適。いや、快適というより「音楽ファイル常時携帯についていい方法がない」みたいなモヤモヤが取り払われた気持ちよさ、かも。

曲はダウンロード可能、ローカルの曲を消してもOK

 iTunes Matchは曲をiCloud上に置き、曲には各端末からアクセスできる。各端末上で曲のストリーミング再生ができるほか、各端末に保存することもできる。

iOSデバイスでiTunes Matchを使っている様子。雲マーク付きの曲はクラウド上にだけある曲。これを再生するとストリーミング再生となる。雲マークをタップすると曲をダウンロードできる(Wi-Fi接続時)。端末内に保存された曲からは雲マークが消え、この曲はネット接続がなくても再生できる

 それからPCへのダウンロードだが、上記「(2)iTunes Store上で配信中の曲とのマッチング」の手順でマッチしたものは、DRMフリー/256kbps/AAC形式の楽曲ファイルとしてPC上に保存できる。DRMフリーなので、コピーしてイロイロな端末で再生することも可能ですな。これより低いビットレートのファイルでも、DRMフリー/256kbps/AAC形式ファイルとしてダウンロードできるので、場合によっては音質UPにもつながる。

 なお、「(3)アートワークと残りの曲のアップロード」の手順でアップロードした曲に関しては、PCへダウンロードするとモトのファイルと同じものがダウンロードされるようだ。192kbps/MP3形式をアップロードしたなら、そのまま192kbps/MP3形式としてダウンロードできるんですな。

左はマッチした楽曲の元ファイルで、192kbps/MP3形式だ。これをいったん削除し、iCloudからダウンロードしたものが右。256kbps/AAC形式になっている。DRMフリーだが、ユーザー名やApple IDが書き込まれているので、不正な流出は本人の不利に

 それから、PCのiTunes上にある「これまで蓄積して聴いてきた曲」だが、コレって消しちゃっていいのかしら? と思ってiTunes上で削除してみた。ら、PC上からファイルが消えただけで、クラウド上のファイルをストリーミング再生できるようだ。

PC上の音楽ファイルを削除してみた。すると、曲名の右に雲マークが現れ、iCloud上のファイルが示された。フツーに再生可能。必要とあらばダウンロードすることができる

 もともとiTunesライブラリ上の曲は、実質上、全曲がiCloud上にアップロードされているので、PC上(iTunesライブラリ上)の音楽ファイルは消しちゃって大丈夫なのであった。必要なら後からダウンロードしてPC上に取り戻すことができる。

 ただし、削除のダイアログで「この項目はiCloudからも削除されます」にチェックを入れちゃうと、iCloudからもPC上からも削除されちゃうっぽい。ので削除操作は慎重に行ってほしい。

 年間3980円で音楽ファイルを全部預かってくれて、PCやiOSデバイスにストリーミング配信してくれる。ダウンロードも可能。音楽ライブラリをiTunes Match上で一括管理できると考えると、とりわけ音楽ファイルをたくさん所有しているユーザーには手間が省けてラクなうえに便利なので、有り難いサービスですな。

テレビでiTunesライブラリを聴く

 iTunes Matchは「Apple TV」でも利用できる。ので、Apple TVを接続したテレビで、iTunesライブラリの音楽を聴くことができる。この場合、iCloudからのストリーミング再生だけで、音楽ファイルのダウンロード保存はできない。

Apple TVでiTunes Matchを使い場合は「ミュージック」から。自分のiTunes音楽ライブラリにテレビからアクセスする感覚で、音楽を聴ける

 テレビにAVアンプなんかを接続している場合、迫力のあるサウンドで音楽を聴けるので楽しいですな。それ以前に、テレビがiTunes音楽ライブラリの音の出口として使えるのは、BGM的にも使えたりなんかして何かと便利だ。

 あと、これはiTunes Matchと直接の関係はないのだが、「AirPlay」と組み合わせても楽しい。iCloud上にある音楽ライブラリを、手の中のiOSデバイスにてストリーミングで受け取って、それをさらにWi-FiでAirPlay対応機器に飛ばして音楽を聴く。何年か前には考えられなかった音楽聴取スタイルですな。

 余談だが、iTunes Matchがとても快適なので、調子コイて「AirMac Expressベースステーション」を追加購入しちゃいました♪ これで小容量のiOSデバイス片手に、近くのAirMac ExpressにiCloudの音楽を飛ばしてヘドバンだゼ!! みたいな。

 てな感じのiTunes Match。似たサービスが既にほかにもあることを考えると、内容的にはそーんなに斬新ってわけではない。が、iTunesユーザーって多いし、iTunes Storeで音楽買ってる人も多いし、PC上のHDDを音楽ファイルで圧迫されがちって人も多いし、iOSデバイスに音楽入りきらない~って人も多いし、いろいろなユーザーが便利がれるサービスだと思う。音楽ライブラリをクラウド上で一括管理して、そこにつながるPCやiOSデバイスで自由気ままにいつでもどこでも音楽を楽しめるってのは、やっぱりイイですな♪

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。