スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

ウワサの自炊断裁機200DXを試用♪

ウワサの自炊断裁機200DXを試用♪

 2012年11月12日に発売されたダーレの「自炊断裁機」こと「Durodex Stack Cutter(デューロデックススタックカッター) 200DX」。本などを切断してページずつへとバラす道具で、自炊派の方々の評判も上々だ。

 この200DXをはじめダーレーJPNが扱う製品をいくつか試用する機会を得た。ので、今回は各製品を実際に使いつつ、その使用感などをレポートしてみたい。

左からダーレの「Durodex Stack Cutter 200DX」、「ローラーカッター 505型」、「スーパーシザーズ 26cm」およびNOVUS(ノバス)社の「B85 リムーバー」

 どれも自炊方面に役立つグッズですな。軽く結論から書いちゃいますと、「Durodex Stack Cutter 200DX」(以下、200DX)はスゲく完成度が高い逸品。これから断裁機を買うなら、まずこの200DXからチェックすべしというレベルですな。

 あと、「スーパーシザーズ 26cm」も便利。自炊用ってわけでもないが、長いハサミがあると自炊時の作業効率がグッと上がるんだなぁと改めて思い知った。

 ともあれ以降、各製品を見ていこう。なお、これら製品はダーレーJPN通販サイトダーレーJPN楽天市場店で購入できる。

軽い感動を覚える国産断裁機、200DX

 まず「自炊断裁機」である200DXから。断裁機は、揃えた紙束を一度に切断できるカッターですな。本の背表紙をザクッと切り落とせば、「一発で本をバラバラにできる」という、本格自炊には必須の道具である。

 俺の場合、どーでしょ、2005年頃から本格的に自炊をし始めた。で、間もなく断裁機の必要性に迫られ、PLUSの「PK-513」を使い始めた。かなり愛用した断裁機だが現在でも現役である。PK-513を実際に使っている動画はこちら(←音が出るページです)。

 さておき、古めの断裁機をずーっと使い続けてきた自炊野郎からすると、200DXは衝撃的。切れ味が非常に良いし、切る時にハンドルを押し下げやすいし、わりと小さめだし、さらに収納しやすいし、その完成度の高さに軽い感動を覚えたりもした。

ダーレの200DX。サイズは幅40×奥行き34×高さ42cm。質量は約9.8kg。断裁厚18mm、断裁幅306mm(A4ヨコ対応)。赤色LEDで断裁部にカットラインを表示可能
ハンドルを収納でき、持ち運び用ハンドルとしても使える。ハンドル収納時のサイズは幅40×奥行き34×高さ17cm。つまり17cmの隙間に立てて収納することができる。試してみたが横向きでも自立した
こちらは8年くらい前に購入した断裁機のPK-513。サイズは幅40.2×奥行き40×高さ43.5cm。質量は12.3kg。切れ味は非常に良いが、大きめ重めで保管しにくい断裁機ではある。一応横向きには立つが、ハンドルの収納機構は持たない。写真右はハンドルを面ファスナーテープで強引に収納しているところ

 200DXと、これまで使ってきたPK-513を比べると、わりと全面的に200DXがイイ感じ。軽め小さめでありかつ収納性に優れるので、パッと出してジャキッと断裁してスッとしまえる。自炊する気にさせるハンドリングの良さを持つ断裁機だと感じる。

 PK-513の場合、大きめ重めで、収納のコトはあまり考えられていないので、たとえば「刃が受け木に当たらない程度までハンドルを押し下げた状態で、ハンドルにベルトをかけるなどしてコンパクトにする」ような工夫が必要になる。

 じつはPK-513やその後継機種であるPK-513L、それからこの200DXも、製造元は高崎精器株式会社。同じメーカー同系統製品と考えると、200DXはしっかり正統進化を遂げてますな。そのなかでもちょっと驚いたのが、切れ味と一度に断裁できる厚さ。

 たとえばPK-513や180DX(200DXの姉妹機)では、15mmの厚さまでの紙束しか断裁できない。それ以上の厚みの本とかだと、セットできないんですな。

 しかし200DXだと18mm厚の本までイケる。たった3mmの違いだが、この3ミリUPにより「自炊作業がかなりスムーズになった」と感じる。

 ぶっちゃけ、15mmよりちょっぴり厚い本って案外多いのだ。たとえば技術書なんかは15mmオーバー18mm未満てな厚さのものがミョーに多い。そういう本は、いったん開いて中央をカットして二等分。2冊に分け、断裁機にセットできるようにしてから、バラしていた。こういう本を一発で断裁できるようになったのは気分が良いし、かかる時間も手間もかなり減らせる。

 あと切れ味。PK-513も200DXも痛快と言えるレベルの切れ味があるが、な~んか200DXのほうがラクに切れるような気がする。手持ちのPK-513の刃がヘタってきたのかもしれないが、18mm厚の本でもラクに切れる気がする。PK-513の場合、厚めの本は「フッ」と力を込めていた記憶がある。もしかしたら「PK-513より200DXのほうがハンドル幅が3.5cm程度広い」ことが関係しているのかもしれない。ちなみに、PK-513のハンドル幅は19cm、200DXは22.5cmだった。

 しかしまあ、200DXの最大の魅力と言えば、やはりそのサイズと収納性の高さだと思う。もちろん抜群の切れ味というベースがあっての話だが、自炊していないときの収納までしっかり考えられている点、なるほど老舗、高崎精器謹製の断裁機だなぁとか思う。

 ちなみに、200DXや180DXには高崎精器による「メンテナンスパック」が用意されている。本体を丸ごと高崎精器に送ると、刃の研磨や刃受けの交換、本体のオーバーホールを行ってくれるというアフターサポートですな。

 価格は、メンテナンスパックA(刃の研磨/刃受けの交換/本体オーバーホール)が7980円、メンテナンスパックB(刃の交換/刃受けの交換/本体オーバーホール)が1万5120円となっている。メンテナンスパックAの「刃の研磨」まで含めて7980円でできるのはイイかも。

ちょいと便利なローラーカッター

 続いてダーレの「ローラーカッター505型」。使ってみた結論から言えば、コレ、書籍カバーの処理にイイと感じた。カバーから折り返しを裁ち落としたりするのが非常にラクである。

 基本的な機能は、セットした紙を直線で切れること。本体サイドのハンドルを上から下もしくはその逆にスライドさせればスパッと切れる。また、刃を交換すれば切り口を波線、耳付波線、ミシン目、折れ線にすることもできる。どの使い方においても、刃が直接手などに触れることがないので、安全に作業できる。

ダーレの「ローラーカッター505型」。いろいろな利用法があるが、自炊時なら「カバーの分解」をササッと行える。カッターと定規を使うよりクイックでラクですな
標準の直線刃以外に、波線、耳付波線、ミシン目、折れ線を切るための交換刃が付属している。これらの刃は本体裏面に収納しておける。写真右は波刃で紙をカットした切り口
左から、耳付波線、ミシン目、折れ線でカットした切り口。折れ線は切るのではなく、折り目を作るための刃ですな

 こういうタイプのローラーカッターは初めて使ったが、ラク&手軽でイイですな。自炊に関わるカット作業───カバーの分解や糊が残った数ページの部分断裁や折って綴じてあるページの切断など、ちょっとした作業をスムーズに行える。カッターナイフとカッターマットは、厚めの本を数冊に分離するときにやはり必要だが、これらの出番が確実に減ると感じた。

あらコレ便利♪ の2品

 続いて、ダーレの「スーパーシザーズ 26cm」と、ノバスの「B85 リムーバー」。どちらも予想外に便利だと感じられた。

 まず、スーパーシザーズのほうだが、全長が26cmで、刃渡りは13.7cmある。切れ味は抜群。製造地はドイツのゾーリンゲン(ゾリンゲン)とのこと。

ダーレの「スーパーシザーズ 26cm」。全長26cm、刃渡り13.7cm、質量105g。製造地はドイツのゾーリンゲン(ゾリンゲン)で、切れ味も抜群だ

 片手に紙、片手にこのハサミを持ち、13cm程度を一気にスパッと切れる感じですな。多くの状況で前述のローラーカッターや、あるいはカッターナイフ+カッターマットより手っ取り早くて便利。小振りの本のカバー分解なら、前述のローラーカッターを設置するより、このハサミを使ったほうが、手間的にもスペース的にも効率が良いと思う。

 それから、ノバスの「B85 リムーバー」。ホッチキスなどで紙に固定したステープルを引き抜くための道具だ。自炊用途には、たとえば中綴じの本(中央が2箇所程度ステープル止めされている冊子など)からステープルを引き抜くときに使える。

ノバスの「B85 リムーバー」。ペンチ型のステープルリムーバーですな。中綴じの本の背表紙にあるステープルに引っ掛け、そのまま握り込めばステープルが抜ける

 使ってみてプチびっくり。中綴じ本のステープル抜きが超楽勝なんですけど~!! 引っ掛けてグッと握るだけでズイッと抜ける♪ また抜く箇所の紙部分をしっかり指で押さえておけば、抜いた後が汚くなったり破れたりすることはまずない。これは手軽で実用的なツールだと感じた。

 ステープルで綴じられた本を自炊する場合にこのツールを常用すれば、ステープルで断裁機の刃を欠いちゃう事故が起きなくなりますな。ちなみに、雑誌等を綴じているものではない、小さいサイズのステープルも楽勝で除去できた。

 てな感じのダーレーJPN取り扱い製品各種。どれもなかなかの便利さ。しかしそれぞれ見てきて、やっぱり最高に良かったのは、微妙に皮肉だが、高崎精器がダーレへOEM製造している自炊断裁機の200DXですな。

 200DX、断裁機としては高級機価格みたいな感じになってはいる。のだが、抜群の切れ味、ハンドリングの良さ、さらには収納性の高さまで考えると、「どうせ買うならコレ」と思い切れる強い魅力を感じる。老舗の力ってヤツなのかも。とてもステキな断裁機である。本格自炊派の方はぜひ一度チェックしてみてほしい。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。