ふとした興味からScamilシリーズを試用

スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコ ンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称 衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


ふとした興味からScamilシリーズを試用

 ついこの間の2012年7月3日に発表になったキングジムの「iScamil mini(iスキャミル ミニ)」。iPhone 4/4Sなどをセットして使えるスキャナで、充電台としても機能するという製品だ。2012年2月17日に発売されたiPad用スキャナ「iScamil(iスキャミル)」のiPhoneバージョンって感じですな。ふと興味が湧いたので両機とも借りて使ってみた。

キングジムの「iScamil」(DSS10)。iPad用スキャナで、iPadに紙書類を読み込める。実勢価格は1万円~1万2000円程度キングジムの「iScamil mini」(DSS20)。iPhone用のスキャナで、2012年8月8日発売予定だ。メーカー価格は1万5540円両機ともiOS端末の充電に対応しており、スキャナの電源をオフにしていればiOS端末の充電用クレイドルとして使える

 既に発売済みのiScamilは、iOS4.3.5以降を搭載したiPad/iPad 2/新しいiPad(2012年発売の第3世代iPad)で使える。2012年8月8日発売予定のiScamil miniは、iOS5.0以降を搭載したiPhone 4S/iPhone 4/iPod touch(第4世代)で使える。それぞれ、専用アプリでスキャンを行う。

 で、前述の「ふと湧いた興味」とは、「ちょっとした書類などをPC不要で各iOS端末間で共有できたりして便利かも!?」ということ。さらに「とりあえずiPhoneやiPadでスキャンしとけばPCにも転送されて快適かも!?」ということも。

 要は、iScamilやiScamil miniでスキャンすれば、iPadやiPhoneに紙の書類を読み込める。読み込んだ書類をiCloudをはじめとするクラウドで共有すれば、スキャン結果をiPad/iPhone/PCで共有できてナニカと便利なんじゃないだろうか、と思ったのだ。

 それを試してみた結果から言えば、スキャン画像の共有をヒッジョーにスマートに行えた。また、各スキャナや専用アプリの使用感も良好。想像以上に実用的なScamilシリーズであった。ともあれ、以降、Scamilシリーズ2機種の機能や使用感についてレポートしてみたい。


iPadで使えるiScamil

 まずはiPad用のiScamil(DSS10)。前述のようにiOS4.3.5以降を搭載したiPad/iPad 2/新しいiPad(2012年発売の第3世代iPad)をセットして使える、片面カラースキャナ兼充電クレードルですな。

iScamilは横幅30cm程度の棒状のスキャナだ。使用時はiPadをセットし、「i-Scan」アプリからスキャンを行う。スキャナがオフの状態ならiPadに充電される。電源はiPadに付属する「Apple iPad 10W USB電源アダプタ」を使う

 主な仕様は、本体サイズが約幅30.8×奥行き11.1×高さ7.2cmで、質量は約655g。スキャンできる最大サイズは、A4サイズ(21×29.7cm)より少し大きいリーガルサイズ(21.6×35.6cm)程度まで。スキャン解像度は300dpi。電源はiPadに付属している「Apple iPad 10W USB電源アダプタ」を使う。

 使い方は非常に簡単で、iScamilにiPadをセットし、専用アプリを使ってスキャンするだけ。専用アプリは「i-Scan」を使用する。アプリにはスキャンと保存、それからメンテナンス用(調整やクリーニング)の機能程度しなかく、直感的に使える。

 ちなみに、第3世代iPadを使って試したところ、ほぼA4サイズの原稿1枚をスキャンするのに約9秒かかった。ただし、その後にスキャン結果を保存するための表示になるまで20秒程度かかる。A4原稿1枚のスキャンが完了するまでに、実質30秒程度かかることになる。

 なお、スキャンの様子はキングジムの製品紹介ページの動画で見ることができる。これを見るとスキャン時の速度の雰囲気がわかるだろう。また、スキャン中に画像がiPad上に現れる様子はユニークで、ちょっと楽しい。

スキャナ部に用紙をセットすると数mmフィードされる。iPad上に表示されるスキャンボタンにタッチすればスキャンが始まる。A4原稿1枚をスキャンし、第3世代iPad内に画像として保存し終えるまでに約30秒かかった。
スキャン結果(横幅800ドットに縮小)と等倍(ドットバイドット)の画像。書類のスキャンにおいて十分な実力があると感じた。スキャン画像はiCloud経由でiPhoneのフォトストリームにも現れた。

 スキャン結果はなかなか良好。スキャン速度は速くないので枚数の多いスキャンには向かないが、画質的にはカラードキュメントスキャナとして十分利用できる実力があると感じた。

 スキャンした画像は、iPadのカメラロールにJPEG画像として保存される。ので、iCloudでフォトストリームをオンにしていれば、スキャン後、間もなく(iCloud/フォトストリーム使用中の)各iOSデバイスやMacを含むPCでもスキャン画像を表示/利用できる。

 試用した印象としては、かな~りイイかも♪ みたいな。非常に簡単に使えて、「これちょっとiPadに入れて持ち出したいな」というペラ1枚の紙資料などをスキャンするのによく向く。

 iCloudを使えばスキャン後すぐに各iOSデバイスやPCにもスキャン結果が届くのも、ちょっとした衝撃だ。コレ、理屈ではフツーでありアタリマエではある。が、iPadがPCやiPhoneのスキャナとしても機能しちゃうのであり、自動的にスキャン結果を各端末で共有できるようになるのは、ほかのスキャナ系機器の価値が下がったような気分にさえなる。

 残念なのは、「i-Scan」アプリがあまりにもシンプル過ぎること。使用時にハードルが超低いことはナイスなんだが、もう少し機能が欲しいところ。OCRしろとまでは言わないが、スキャン後に傾きや色の補正ができたり、あるいは画像を各種クラウド~SNSサービスに自動転送できたりすれば、iScamilの利用価値がさらにズガーンと高まると思う。


iPhone/iPod touchで使えるiScamil mini

 次に、iPhone/iPod touch用のiScamil mini(DSS20)。前述のとおり2012年8月8日発売予定の新製品で、メーカー価格は1万5540円。既に予約受付を開始しているショップもあり、実勢予約価格は1万2000円前後のようだ。

 iScamil miniの対応機種はiOS5.0以降を搭載したiPhone 4S/iPhone 4/iPod touch(第4世代)。iScamilと同様にiOSデバイス用充電クレイドルにもなる片面カラースキャナだ。専用アプリの「i-Scan mini」と組み合わせて使う。

iScamil miniは横幅20cm程度の棒状のスキャナで、約105×254mmまでの原稿をスキャンできる。使用時はiPhone/iPod touchをセットし、「i-Scan mini」アプリからスキャンを行う。電源はiPhone/iPod touchに付属する「Apple USB 電源アダプタ」を使う

 主な仕様は、本体サイズが約幅20×奥行き6.1×高さ7.3cmで、質量は約400g。スキャンできる最大サイズは約105×254mmで、これは短辺がハガキより約5mm長く、長辺がハガキより約114mm長いサイズとなる。スキャン解像度は600dpi。電源はiPhone/iPod touchに付属している「Apple USB 電源アダプタ」を使う。

 こちらも使い方は簡単で、iScamil miniにiPhone/iPod touchをセットし、前述の専用アプリ「i-Scan mini」を使ってスキャンするだけだ。このアプリの機能も超シンプルで、スキャンと保存とメンテナンス(調整やクリーニング)くらいしかできない。ので、やはり直感的に使える。

 iPhone 4Sを使用してのスキャン速度は、はがきサイズの原稿のスキャンにまず約8秒かかる。そして、そのスキャン画像が保存可能になるまでに約8秒かかった。合計約16秒程度かることになる。

スキャナに原稿をセットすると数mmフィードされる。アプリ上のスキャンボタンにタッチすればスキャン開始。ハガキサイズの原稿を1枚をスキャンしてiPhone 4Sに画像として保存し終えるのに約16秒かかった
スキャン結果(横幅800ドットに縮小)と等倍(ドットバイドット)の画像。スキャン可能な原稿サイズは限られるが、600dpiの解像度によるスキャンは意外なほどキレイに見える。スキャン結果はiCloud経由でiPadのフォトストリームにも表示された。

 スキャン結果は良好。ハガキサイズを16秒くらいでスキャンでき、けっこーキレイであり、スキャナ自体もコンパクト。机上に置いて利用する場合、前述のiScamilよりも快適に使えるかもしれない。

 iScamilと同様に、iScamil miniでスキャンした結果もiCloud経由でほかのiOS端末やMacを含むPCに自動転送できる。試用時、iScamilとiScamil miniを併用したわけだが、iScamilシリーズでスキャンした結果が手持ちの各iOS端末/Mac/PC上に自動的に現れ、つまり自動共有されるのは、やはりけっこー衝撃のある体験となった。

 なお、iScamil mini試用時の残念感は、iScamilと同様に、専用アプリ「i-Scan mini」のシンプルさ。サクッと使えるが、「もう少し機能が欲しい」と感じてしまう。


デキちゃったコトなど

 iScamilもiScamil miniも、活用幅が非常に広いように思う。たとえば、紙にプリントされた写真をサッとスキャンしてそのままiOS端末から誰かに写真添付メールを送ったり、出先で参照したい紙資料をiOS端末へとスキャンしたり。お気に入りの紙写真を誰かに送るとか、名刺や案内ハガキや時刻表やメモ書きなどのちょっとした紙資料をiOS端末に入れて持ち歩くとかですな。

 これまで「何かをスキャンして画像化して利用する」となると、通常はPCに接続したスキャナでスキャンし、PC経由でスマートフォンやクラウドに転送するなどして、モバイル運用することになった。単体でメモリカードにスキャン画像を生成できるスキャナ製品もあるが、そういった機器でもまた、そこから一手間加えないとスマートフォン類で扱えるようにはならなかった。

 だがiScamilシリーズの場合は、iOS端末を乗せてスキャンるだけで、iOS端末へ直接スキャン可能。要するに、PC不要のスキャン環境。なので、iScamilシリーズとiOS端末とACアダプタを挿せるコンセントがあればどこでもスキャン~スキャン画像を利用できるのだ。

 でも……ACアダプタってのが足枷ではある。そこで、試しにモバイルUSBバッテリーをiScamilシリーズにつないでみた。iScamilにはiPadに充電可能なバッテリーを、iScamil miniにはiPhoneに充電可能なバッテリーを接続。すると、iScamilシリーズ両機ともとくに問題なく使えた。

 ただし各機にメーカー指定のACアダプタ以外を接続して使うと、もちろんメーカー保証外となる。ので、自己責任でどうぞ。

 とは言っても、iScamilシリーズとモバイルUSBバッテリーを組み合わせて「コンセントのない場所でもスキャンできる」となると夢が広がる。iScamilが約655g、iScamil miniが約400gで、常時携帯には重いが、出張時や旅行時に持ち出せる質量でもある。

 それと、試しにヤッてみたらデキたことがもうひとつ。iScamil miniとiPadの組合せだ。手持ちの第3世代iPadにiScamil mini用アプリの「i-Scan mini」をインストールすると、iScamil miniとiPadの組合せでスキャンすることができた。使用アプリは「i-Scan mini」。

 じゃあその逆は? iScamilにiPhone 4Sとか……と思ったが、iPhone 4SにはiScamil用アプリ「i-Scan」をインストールすることはできなかった。

 ちなみに、この使い方もメーカー保証外。また、iScamil miniにiPadを乗せると、ほんの僅かにバランスを崩すだけでも転倒してしまう。保証外だしリスクもあるし、ってコトで、これも試すなら自己責任で行ってほしい。

 てな感じで意外なほど使えるし、けっこー遊べたりもして、さらに自己責任裏技的モバイル運用も可能なiScamilシリーズ。利用中のiOS端末と組み合わせるもよし、機種変で余ったiOS端末をスキャナ化するにもよし、価格のわりにはかなり活用幅が広い製品だと思う。興味のある方はぜひチェックしてみてほしい。


2012/7/9 06:00