話せて聴けて打てて……そして透けてる!!

スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコ ンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称 衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


話せて聴けて打てて……そして透けてる!!

 今回のネタは、エレコムのマルチデバイスBluetoothキーボード「TK-MBD041シリーズ」AKIBA PC Hotline!の記事を読んでからずっと気になっていたので、ちょいとした必要性に後押しされつつ購入。Amazonで9215円だった。

エレコムの「TK-MBD041シリーズ」(写真はブラックカラーのTK-MBD041BK)。Bluetooth接続のキーボードであり受話器であり無線オーディオなのだ。Amazonにて9215円で購入

 TK-MBD041シリーズ(以下、MBD041)は、iPhoneやAndroid端末とBluetooth接続して使う機器で、主に3つの機能を持つ。スマートフォンの受話器としてのBluetoothハンズフリーホン機能、スマートフォンで再生中の音楽をワイヤレスで聴くBluetoothオーディオ機能、それからスマートフォンに文字入力できるBluetoothキーボード機能だ。

 サイズは幅14.1×奥行5.3×厚さ1.3cmで質量は約66g。上の写真のように小ぶりの受話器として使える。キーボードとしては極小クラスですな。Bluetoothオーディオアダプタとしては大きめ。

 思わず目を見張るのが表示部。青い文字が表示される有機ELディスプレイがステキ~。さらにその部分が透明で後ろが透けて見える~♪

TK-MBD041シリーズの有機ELディスプレイ部。有機ELパネルが透明に近い半透明で、背景が透け、文字が浮かび上がって見える。ちなみに裏面が受話器。ボディーカラーはホワイト、ブルー、ブラックの3色が用意されている

 うそ~文字浮かび上がってんじゃんカッコイイじゃん欲しいじゃん……あっ俺ちょうどBluetooth受話器欲しかったんだよね~スマホ画面顔に当てんの好きじゃないんだよね~あとBluetoothオーディオもあると便利だし買うか買うよ買うぜポチッ、てな感じで衝動買いしたのであった。

 てなわけで以降、MBD041の機能や使用感などについてレポートしてみたい。なお、Bluetooth接続の手順や細かな操作方法などは割愛するので、お知りになりたい方はエレコムのウェブサイトからマニュアルをダウンロードしていただければと思う。


Bluetooth接続の受話器として

 まずはMBD041の受話器としての機能から。たとえばiPhoneとMBD041をBluetooth接続すれば、iPhoneにかかってきた電話をMBD041で受けて通話したり、MBD041で電話番号を入力して発信することができる。受話器というか、コードレスホンの子機的な機能ですな。

 MBD041から着信音(着信メロディ)は出ない。が、後述のオーディオ機能でスマートフォンからの音楽を聴いている場合、ヘッドホンからスマートフォンの着信音が出る。また、MBD041はバイブレーション機能があるので、着信をMBD041の振動で知ることができる。

 Bluetooth接続の受話器でキーボードや表示パネルを内蔵している製品となると、スマートフォンの電話帳を受話器にコピーして使えるかな? と期待してしまう。が、MBD041ではソレはできない。しかし発着信番号履歴を利用できるので、最近かけたりかかってきたりした電話番号への発信は容易だ。

写真左から、電話がかかってきた様子、電話番号を入力している様子、発着信履歴を表示した様子。電話番号はオフフック(発話)ボタンを押してからキー入力する。10件まで保存される発着信履歴は、オフフックボタンを2度押せば表示され、上下カーソルボタンで選べる。

 MBD041の受話器としての機能をiPhone 4SとGALAXY Note SC-05Dで試したが、どちらの端末でも快適に使えた。通話後にスマホ画面を布で拭くクセがある俺だが、受話器の場合は通話後にスピーカー/マイク面を見るわけではないので、拭く必要がなくなって気楽だ。

 また、GALAXY NoteやGALAXY Tabの場合、やや大きい~大きすぎる画面を耳に当てて通話する違和感問題を全解消できる。バッグのなかにGALAXY NoteやGALAXY Tabを入れたまま発着信~通話できるようになるので、このテのBluetooth受話器はなるほど便利である。

 ただ、MBD041には残念な点も少々。受話器としてだけ考えると、機能的にやや貧弱だ。前述のとおり発着信履歴は使えるものの電話帳を持たせることはできないし、電話番号も少々変則的な配列のキーボードを使って入力することになる。

 また、マイク付きイヤホンを接続し(て音楽を聴きつつ着信を待ち受けするなどし)た場合、通話時は「マイク付きイヤホンのマイクは機能せず、MBD041本体のマイクを使う必要がある」という点も残念。俺の場合、受話器としての利用が主なので、もう少し高機能であって欲しかった。


Bluetoothオーディオ機能

 次にBluetoothオーディオ機能。スマホなどで再生中の音楽をBluetoothにより無線でMBD041に飛ばし、それをステレオイヤホンで聞くという機能ですな。この機能はMBD041と接続する機器により若干操作が異なる部分が出てくるので、iPhone 4Sで試した範囲で書いてみたい。

 デキることは、曲の再生と一時停止、曲の送り戻し(1曲毎)、音量の調整となる。MBD041の画面に表示される情報は、曲の再生状態や音量程度で、曲名やアーティスト名などは一切表示されない。

音楽再生時、MBD041の画面には曲の再生状態や音量くらいしか情報が表示されない。ちなみにイヤホンジャック(φ3.5mm)はキーボード面を手前にして右側にある。その近くの角に見えるのはストラップホール

 シンプルなBluetoothオーディオアダプタ類の機能としては、まあこんなモンなんでしょうな。ただ、せっかくの有機EL、曲名くらいは出て欲しかった。カッコよく煌めく表示だけに残念。

 音質的には、使用状況にもよると思うが、高音成分が少々耳障りなノイズが乗ったりする。乗らないことも。Bluetoothオーディオ製品全般がそうだが、「ノイズだぁ? 話にならん」てな方向の人には向かない。「BGM的に音楽流れりゃいいよ」くらいなスタンスで使う音質だとも言えよう。

 でもまあ、お気に入りのアルバムを気楽に聴くような使い方には便利。スマホはバッグなどに入れ、胸ポケットなどにMBD041を忍ばせて音楽とともに通勤通学てな使い方に向きそうだ。


Bluetoothキーボードとして

 最後にBluetoothキーボード機能。手持ちのAndroid端末とiOS端末で試したが、Androidのほーは機種によって不都合が出たりした。

 具体的には、iPhone 4Sや第3世代iPadでは問題なく使えた。マニュアル(http://www2.elecom.co.jp/search/link/search.asp?group=/peripheral/full-keyboard/tk-mbd041/&link_type=2)の7ページにあるとおり、[Fn]+[Space]で文字入力モードを切り替えられる。

 Android端末では、MOTOROLA XOOM Wi-Fi TBi11M(Android 4.0)、GALAXY Note SC-05D、GALAXY Tab 7.0 Plus SC-02Dで試した。文字入力モードは[Shift]+[Space]で切り替えられることが多いが、GALAXY Noteだと日本語入力モードにならず、英数字しか入力できなかった。

手のひらサイズキーボードとしても機能するMBD041。キー配列は少々特殊だが、キー自体は操作しやすい。なおMBD041はリチウムイオン電池を内蔵しており、PCのUSBポートなどにつなぐと充電できる。

 正直な話、テキスト入力用のキーボードとしてMBD041には全然期待していなかった俺。MBD041の横幅は、iPhone 4Sの長辺の長さより少し長い程度。MBD041を使ったからと言って入力効率が高まるようには思えなかった。

 実際に使ってみたら、予想外な結果に。具体的には、MBD041での文字入力効率はiPhone 4Sソフトウェアキーボード使用時より「悪かった」のだ。まあ結局、どの外付けキーボードでも、ある程度はタッチタイピングできないと、「画面とキーボードを交互に見つつタイプすることになる」ので、入力効率が落ちて当たり前。画面だけを見続けて打てるソフトウェアキーボードの方が使いやすいというフツーの結果となった。

 第3世代iPadやXOOM、GALAXY Note、GALAXY Tabでも同様。というか、GALAXY Noteはソフトウェアキーボード入力もペン入力も快適だし、タブレットの類はソフトウェアキーボードが大きくタッチタイピング~それに近い入力効率があるので、やはりMBD041の出番はなかった。

 でもこういうキーボードでも、タッチタイプしちゃう人はいるんでしょうな。昔、手のひらサイズのポケットコンピュータでタッチタイプしつつ取材メモ取ってた編集者が居たもんなあ……しかしフツーの人にはあまり必要性が高くないMBD041のキーボードだと思った。

 てな感じのMBD041。正直なところ、メーカー価格の1万8690円には比較的に巨大な疑問符が浮かぶところ。バラで実用的なBluetoothヘッドセットとBluetoothオーディオとBluetoothキーボードが買える価格設定ですな。まあ実勢価格は9000円くらいだが、実用面だけを見ると、それでも割高感がある製品だと思ってしまう。

 ただ、複合機能ガジェットとしてなかかなのヒキがありますな。受話器にもオーディオにもキーボードにもなるんだゾ~!! きゃ~スゴい☆ みたいな。しかもこのカッコイイ有機EL表示!! 後ろが透けて見える!! いや~んステキ♪ 的な。そういう意味で、一度触れてみて欲しい製品ではある。


2012/7/2 06:00