9999円カーナビが気になるぅ~っ!!

スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコ ンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称 衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


9999円カーナビが気になるぅ~っ!!

 前々から気になっていたカーナビを購入。PND(ポータブルナビゲーションデバイス)なんだが、ハンファ・ジャパンのPND-A3512である。

ハンファ・ジャパンのPNDタイプのカーナビ、PND-A3512。メーカー価格が9999円である点が最大の特徴……だと思われる

 なんで「前々から気になっていた」のかと言えば、このカーナビ、メーカー価格が9999円なんスよ。税込みで9999円。ナビゲーション対応の地図ソフトウェアでこういう価格ならわかるが、地図入りのナビゲーション・ハードウェアで9999円てのは驚く。ちなみに、地図としてはゼンリン全国地図2010年秋版が内蔵されている。

 PND-A3512の基本的なスペックを見てみると、本体サイズは幅95×高さ80×厚み19.5mmで、質量は約150g。手のひらサイズですな。画面は3.5型のタッチパネルで解像度は320×240ピクセル。電源は付属シガーアダプタでクルマのシガーライターソケットから取るが、バッテリーを内蔵しているので単独で最長3時間の駆動も可能だ。なお、付属品は、吸着式スタンド、スタンド吸着カップ、シガーアダプタ、地図データ収録SDカード(本体装着済)となる。

PND-A3512のサイズは幅95×高さ80×厚み19.5mm。手のひらサイズですな。質量は約150g画面は3.5型で解像度は320×240ピクセル。狭めだが必要最小限の情報は表示できる付属の吸着式スタンドとスタンド吸着カップ(ダッシュボード上に接着)で車載したところ

 これまでにもいくつかPNDを使った。いわゆる安価な「簡易型カーナビ」であり、まあまあ実用的だったり十分オッケーだったり。ただ、そういった機種は安くて2万円台、平均して3~4万円台といったところ。一方このPND-A3512は1万円をギリギリ割った9999円。これで「使える」んだったら凄い。これで「一応使える」んでも凄い。ぶっちゃけ「この価格のPND、実際どーなのよ!?」というのが拙者の興味の中心であり、PND-A3512が気になりまくっていた。

 でも考えてみれば9999円だから、最悪「全然使えない」となっても、「くっそォ~1万円損した!!」で済む……ウソ。済まない。アッタマ来る。ともかく、じゃあ、ってコトでズニャッと購入。早速使ってみたので、今回はPND-A3512の使用感をレポートしてみたい。

 が、とりあえず結論だけ言っちゃうと、ある種の条件付きで「まずまず使えるカーナビ」だと感じられた。ある程度定評のあるPNDや高価なカーナビと比べちゃうとビミョーな部分もあるが、ちゃんと役立つPND-A3512なのであった。

 

いきなり「やっぱダメだった、捨てよう」と思った

 PND-A3512はネット販売専門。ネット通販でしか手に入らないんだが、拙者はハンファ・ジャパン楽天市場店で購入した。楽天ポイントが935円分あったもんで。結果、本体が9999円で送料が525円、そこからポイント935円を引いて9589円の支払いとなった。

 そして数日後にPND-A3512が到着。ウヒョヒョ♪ てな気分で開梱し、まずは充電。PND-A3512はUSB充電で、付属のシガーアダプタでクルマから充電できる。加えて、定格が合えば一般のUSB充電用ACアダプタおよびUSBミニBケーブルを使って充電できる。

PND-A3512の本体右側面にあるUSBミニBソケット部。付属のシガーアダプタや1000mA以上の出力があるUSB ACアダプタなどで充電できる付属のカーアダプタ。2000mAまでの出力が可能だ。ケーブル長はカールコードの伸縮により可変で、だいたい50~110cmくらいUSB充電する場合、付属のカーアダプタか、1000mA以上の出力を備えたUSB ACアダプタが必要。写真のアダプタは出力2000mAだ

 でまあ最初、拙者がいつも使ってる汎用USB ACアダプタで充電したんですよ。そして少々充電してPND-A3512を起動して、おっ案外イイ感じだね、あっけっこー視認性がイイとか思ってたら、突然、PND-A3512がハングアップ。再度電源を入れると、起動し……たと思ったら画面にシマシマが表示されて、どうやらバグり状態。以降、アレコレ試したが、正常に起動しなくなっちゃった。

 この時点で「案の定コレだ。やっぱダメだった、捨てよう」と思った拙者である。が、「も~しかしたら充電不足とか、電圧がどうのとか、そういうUSB ACアダプタ側の問題?」と思って、高出力(2000mA出力)のUSB ACアダプタにPND-A3512をつないで数時間放置。そして起動してみると、正常起動!! 以降、ま~ったく問題なく正常動作しまくりのPND-A3512であった。

 事後、PND-A3512の箱をよく確認したら、取扱説明書とは別の紙に「パソコンのUSBポートなどからの充電では電流不足により正しく充電が完了しない場合や充電中に誤動作を起こしてしまう可能性があります。このような場合はカーナビ本体の電源をオフにした状態で1000mA以上の出力を備えたUSB充電器をご使用ください」とハッキリ書いてあった!! ニャニャニャ!! 拙者の確認ミス!!

 でもまあ電流不足だからって画面にシマシマ模様でハングアップとかはねーだろ、とは思ったが、そういう部分は9999円という価格の安さとのトレードオフにしておこうと思う拙者である。

 この製品を買って開梱すると、充電用アダプタとしては専用カーアダプタしかない(クルマのシガーライターソケットにしか挿せない)。ので、クルマに乗る前に充電して試しに使ってみようとか思って、もしかしたら拙者のように常用の(たとえばスマートフォン充電用の500mA出力の)汎用USB ACアダプタ使っちゃう方があるかもと考え、ご参考までにこんな体験を書いてみた。

 では、本題に、GO♪

 

クルマにサクッと固定

 PND-A3512には専用の吸着式スタンド、スタンド吸着カップ、シガーアダプタなどが付属する。ので、購入後すぐに車内に設置できる。設置は、スタンド吸着カップをダッシュボード上に貼り付け、その上に吸着スタンドを固定。固定したスタンドのアームにPND-A3512をセットすればいい。

 また、同じく付属品のカーアダプタ(クルマのシガーライターソケットから電力を得るアダプタ)を使い、PND-A3512に給電する。このカーアダプタを使えば充電しつつナビゲーションを利用できるが、前述のとおり満充電状態のPND-A3512は最長3時間駆動するので、場合によってはこのカーアダプタは使わなくてもOK。

付属のスタンド吸着カップをダッシュボード上に貼り付けたところ。カップ裏面の両面テープでかなり強力に接着される吸着カップの上に吸着スタンドを固定。写真は吸着スタンドを押しつけた仮止め状態で、次のステップで硬く吸着させるスタンド下部にあるレバーを押し下げる(この写真では手前に押し下げる)と、吸盤部分が真空化して強力に吸着する
PND-A3512をセットするアームを手前に倒せば、PND-A3512セット準備完了。アームの角度はツマミで自由に変えられるPND-A3512をセットした状態。アームの上下突起に挟んで固定するが、走行の振動程度では外れなさそうな固定強度だアームは上下にも左右にもある程度自由に動かせる。本体もアームも小型なので、車載時の向きや位置の自由度は高い

 てな感じで車載できる。吸着スタンドの吸盤部は、ソニーのnav-uのような吸盤&ネバネバという凝ったものではなく、単なる吸盤。しかし、いわゆるサクションマウントと同様、吸盤を押しつけたうえ、さらにレバーによって吸盤内部の圧を下げるシクミなので、思った以上に強力に吸着する。

 ただ、購入直後は吸盤部に若干のホコリや油分が見られた。ので、拙者はアルコール除菌ティッシュでそれらを拭き取って乾燥させ、吸着時には息を「ハーッ」と吹き付けて少し湿気を含ませて吸着させた。その結果、吸着スタンドは1日中バッチリと固定されたままであった。

 車載位置は若干悩む場合があるかもしれない。というのは、PND-A3512の吸着スタンドはスタンド吸着カップと組み合わせないと、多くのケースでダッシュボード上への固定は不可能だということ。ツルツルのダッシュボードならOKだが、スタンド吸着カップの吸盤部は単なる吸盤なので、ザラザラやデコボコのあるダッシュボードには吸い付かない。つまり大抵はスタンド吸着カップが必要になるが、このスタンド吸着カップ、平らで硬質な樹脂であり両面テープでダッシュボード上に固定するため、ダッシュボード側も平らである必要がある。

 というわけで、取り付け位置を若干選ぶものの、基本的にはパッケージに付属するものだけで車載~実使用までイケる感じ。

PND-A3512をセットしたところ。ダッシュボード右側にセットしたらUSBケーブルが本体右に出てしまったが、ほかはとくに問題ナシアームからの本体脱着は容易なので、目的地設定のみ手元で行うといった使い方も現実的。タッチパネルの使用感や反応も上々だここではサンコーレアモノショップの「iPad iPhone対応シガーソケットアダプタ」を使用。2100mA出力で、USB給電を2系統行える

 上の写真では、USB給電用ケーブルとしてPND-A3512付属品ではなく手持ちのものを使用している。理由は、PND-A3512を使いつつ、iPhoneなども充電したいからだ。PND-A3512付属のカーアダプタだと、それだけでシガーラーターソケットを占有してしまうので、上の写真のものを使った。

 車載絡みの使用感としては、吸着式スタンドのアームは2軸で可動するので、上下左右かなり自由な向きにセットできる。また、PND-A3512自体が約150gと軽量なので、走行中にスタンドから外れるという心配が少ない。

 好印象だったのは、アームへPND-A3512を脱着しやすいこと。クルマから離れるときはPND-A3512をカパッと外して持ち出せる。PND-A3512は手のひらサイズなのでポケットに入れて持ち歩ける。持ち歩きが目的ってわけでなく、貴重品を車内から容易に取り外せて、クルマを空にできるのがイイですな。PND-A3512をGARMINの高級GPSと勘違いした悪人にクルマの窓割られたりする不安も大きく減るわけで。

 

PND-A3512にナビさせてみる

 車載が完了したところで早速ナビを。まずはPND-A3512を起動するが、起動直後にいきなり「これはヤだな」と思う人があるかもしれない。それはGPSで現在位置を特定するまで若干の時間がかかることだ。

 今時的なカーナビ(PNDでないやや高価なもの)や、あるいはA-GPS(アシスト型GPS)を使ったスマートフォンなどのGPSだと、現在地特定が速い。速いものなら数秒以内、遅くとも十数秒程度だろうか。しかしPND-A3512の場合、GPSによる現在位置特定に、毎回2分程度以上の時間がかかる。いわゆるフツー的なカーナビ感覚でPND-A3512を使い始めると、この点にストレスを感じるかも。

PND-A3512起動時の表示。電源のオンオフは本体上部の電源ボタン長押しで行う起動した状態。ナビゲーションを行うか設定を行うかを選べる。起動直後にナビを行う設定にもできる起動は遅くないが、GPSによる現在位置特定までに若干の時間がかかる。拙者の場合はいつも2分程度

 PND-A3512は、もちろん、何も設定しなければ現在位置を中心として表示する電子地図として使える。で、ナビゲーションをさせる場合は、まず目的地を設定する。目的地は地点検索して決めるが、検索はフツーのカーナビのように多角的に行える──最近検索地点(200件の履歴から選択)、登録地点検索(登録地点は最大500件まで)、住所検索(都道府県/市区町村/丁目/番地)、周辺情報検索(現在地周辺の銀行やコンビニなど15ジャンルからの検索)、駅名検索、ジャンル別検索(公共/観光等の施設約40万件から検索)、名称検索(スポット名約40万件から検索)、緯度/経度検索、地図上で目的地を指定しての目的地設定などに対応している。

たとえばジャンルから目的地を設定してみるまず、どんなジャンルかを大雑把に選ぶさらに具体的なカテゴリを指定していく
そして都道府県で絞り込んでいく浦安市なのに東京という、例の場所ですなこんなふうに絞り込んで見つけていくのだ
目的地をタップすればその場の地図が表示される経由地や使用ルートなども細かく設定できるナビを開始した状態。至ってフツーに使える

 このあたりまでの全体的な使用感は、ま、普通一般のカーナビとだいたい同じですな。ただ、ある程度の値段がするPNDや高級カーナビと比べると、登録されている情報が少ないという印象は否めない。「ほかのカーナビでは検索できたスポットなのにPND-A3512ではヒットしなかった」というケースも少なくないだろう。

 やや話が前後するが、道に関しても同様。主要な道路は網羅しているようだが、そうでない道路はわりと省かれ気味!? カーナビとして使う場合、結局はクルマで通らない道だったりするので問題は少ない。が、バイクや自転車でPND-A3512を使う場合は「だいたいのルートくらいまでなら探せる」という大雑把感のあるナビになるかもしれない。

 ともあれ、PND-A3512の住所検索で目的地を設定し、ナビゲーション機能を使ってみた。

住所検索で目的地を設定していく。目的地は「東京都渋谷区千駄ヶ谷 5-8-X」(Xは実在の号)「千駄ヶ谷 5-8-X」なのだが「千駄ヶ谷 5-8」で代表地が検索されてしまった。若干ズレがともあれ走り出す。ルート走行前にオービス案内設定なども指定することができる

 目的地は「東京都渋谷区千駄ヶ谷 5-8-X」(Xは実在の号)だが、PND-A3512では「5-8」までしか入力できず、丁目/番地でのやや広い範囲が目的地となった。

 で、またここでひとつの結論を言えば、率直な話、PND-A3512には「ドアtoドアのナビ」は期待できない。都内などなら、主要道路を含む目印が多いので、PND-A3512上に表示される地図を見ながら目的地ジャストまで行けることも多いと思われる。が、そうでないエリアは、主要道路+大きな目印程度しか表示されないので、実質的には「目的地付近までの案内」となるだろう。

 たとえば都内であっても奥多摩方面だったりすると「主要道路と駅と大きな美術館だけ表示されている」なんて状況も多い。ので、その先は事前に仕入れた地理的な情報を使って目的地に行く努力/工夫が必要になることもあるというわけだ。

 さて、話を戻して、PND-A3512のナビゲーションがどんな感じなのか、を。

 現在位置表示の精度だが、上空がまずまず開けていれば十分正確だと感じられる。そういう状況ならマップマッチングもシッカリしていて、若干の裏道なんかでも正しくルートを進む。

 ただ、電子コンパスとかそーゆー豪華なモノは実装していないらしく、状況によっては一時停止中に方向がヘンになったりすることも。北上中、信号で停止したら自車マークが南西を向いた(マップも回転した)てなことがたまーにある。トンネル内は意外に強い(!?)ようで、ルートを外しにくかったが、長いトンネルでは若干の位置のズレが見られた。

 ナビゲートしているルートを外れて走ると、PND-A3512が自動的にリルート(ルートの引き直し)を行うが、これもまずまず高速。リルート動作自体にはストレスを感じなかった。ただ、新たに引くルートに関してはユーザーにより「その道かなぁ!?」と違和感を覚えるかも……と言っても、これはナビのルート探索ロジックとユーザーの感覚が合うかどうかの話ではあるんですけどネ。

 表示とかはけっこー見やすかった。前述のとおり、解像度と画面サイズのバランスも良いようで、視認性は高い。輝度も十分。また表示される情報が必要最低限。通るべきレーンなどといった一種の親切情報の類は全体的にナシで、残念と言えば残念だが、スッキリ見やすいと言えばそうとも言える。もっと大きな画面なら、さらにたっぷり情報を表示して欲しいが、この画面サイズならこの程度だろう、というこなれたバランスがあるように感じた。

ナビ中の表示。音声案内とともに交差点などの拡大表示が行われる。小さい画面なのに2画面表示。表示される情報も整理されている感じ高速道路走行中の表示。さらに先の状態(ジャンクション名など)も表示できる。必要最小限の情報に絞ったシンプルな表示ですなこここ、このナビ、なんか、オービスの位置を知らせてくれちゃったりするんですが!! 安全運転を啓蒙する製品だと言えよう

 結果、目的地までのナビはどーだったかと言うと、国道に圏央道に首都高にと通過して都内へ至ったが、フツーに実用的なPND-A3512のナビゲーションであった。前述のとおり、目的地の真ん前までってのは無理なコトが多いが、カーナビとして必要最低限の機能はちゃんと持っていると思う。コレが9999円なら、大したもんレベルである。

 たとえば「カーナビ必要だけど、なるべく安く。機能は最低限でいいから」と思うなら買い度の高いPND-A3512だと思う。てのは、多くの人がフツーにケータイもしくなスマートフォンを持っている時代だから。目的地付近まで大雑把に(と言っても100m程度の圏内まで)行って、あとはケータイとかスマホで徒歩ナビすればいいのではないだろーか、とか思う。ケータイやスマホがなければ、ポケット地図やガイドブックなどを使えば済むだろう。

 ともあれ、こういう製品にはちょっと考えさせられますな。これまで、アレもコレもさらにソレもと高機能/高性能化してきたカーナビだが、PND-A3512はアレやコレやソレをそぎ落としたカーナビの骨格状態。そして、アレやコレやソレがなくても、それらはほかのブツで補えるのが「今」だったりする。ん~むむむ。なるほどね~。的な。

2011/3/7 06:00