WiMAX初体験野郎とAterm WM3500R

スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコ ンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称 衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


WiMAX初体験野郎とAterm WM3500R

 今回のネタは、NECアクセステクニカのモバイルWiMAXルータことAterm WM3500R。いや~、前から使ってみたかったんですよ、モバイルWiMAX。しかもこのAterm WM3500R、拙者が前から抱いていたモバイルWiMAXルータに対する懸念を払拭するウリを持っている。

NECアクセステクニカのモバイルWiMAXルータAterm WM3500R。ポケッタブルなWiMAXルータで、最大8時間程度動作する。色は写真のシルキーホワイトのほか、プラチナブラックやマーズレットがある。

 ご存知のとおり、にわかに……というかけっこー急激な広がりを見せている気がしてならないモバイルWiMAX。去年夏あたりからだったか、会う人がモバイルWiMAXルータ持っているって状況が少なくなかった。ま、東京都内で、ですけどね。ともあれ、その便利そう&快適そうな様子を見て「拙者も使いたいニャ」とか思ったものだ。

 ただ、聞いたところによれば、わりとどの機種に関しても電池の保ちがややイマイチとのことだった。非常に大雑把な記憶をもとに書くと、保って2~3時間程度というイメージ。もうちょっと保ってほしいなぁ、そうなれば即買いするかもなぁ、てな印象があった。

 ところがこのAterm WM3500R、8時間程度もバッテリーが保つという。そんなに? マジすか!? ド凄いかも!! てなわけで激導入!! してみたら、コレが快適。非常に良いのであり、拙者的結論から言えば、今後しばらくはモバイルでのデータ通信はAterm WM3500Rだけで行くゼ!! みたいな。

 てな感じで以降、モバイルWiMAXルータAterm WM3500Rの使用感などについて「WiMAX初体験の拙者の観点」からレポートしてみたいと思う。より技術的な側面からの評価やスループット計測などは清水理史氏の記事が超詳しいのでそちらをどうぞ。

 

初期設定は難しいの?

 拙者の場合、「ルータ」と名が付くハードウェアにおいて良い思い出は僅少である。このテのハードウェアに対する大半のイメージは「ハマるもの」と言えよう。動かない、つながらない、エラーが出る、何度もリセットする、みたいな。

 そしてこのAterm WM3500Rも、ルータ。WiMAX用通信端末であると同時に、最大8台までの無線LAN対応端末(子機)を接続できる無線ルータである。「ルータ」でありかつ「無線LAN」となると、なんか思いっ切りハマってカッとなってバールのようなものでAterm WM3500Rをこじ開けちまいそう……。

 てな予感がしつつ、とにかく初期設定を開始した。コレをしないことにはAterm WM3500Rは単なるプラスチック小箱。ネットにつなげられないので、さぁ、セットアップ、ハマるかしら?

 と思ったら、スススッとセットアップ完了。問題ナシに。非常に楽勝……ていうか画面に表示される指示に従って操作しただけで初期設定を終えられた。そしてネットにつながった。

 Aterm WM3500Rには、ほかのNECアクセステクニカ製品と同様に「つなぎかたガイド」と呼ばれる紙の説明書が付属する。そのとおりに設定を進めれば「とりあえずつながる」というガイドですな。そこに何通りかの初期設定パターンが案内されているが、拙者の場合は無線LAN対応ノートPCを使っての無線設定を行った。以下、その様子をスクリーンショットで追ってみよう。

(1)無線LANアダプタ内蔵PCから無線でセットアップする場合、「らくらく無線スタートEX」というユーティリティを使うことになる。ので、まずは付属CD-ROMからユーティリティをインストール。(2)らくらく無線スタートEXはNECアクセステクニカ独自の無線LAN自動設定システムですな。SSIDやその暗号化キーを調べたり入力したりすることナシに無線LAN対応機器同士を自動接続できるのだ。(3)らくらく無線スタートEXユーティリティのインストールが完了した。続いて、らくらく無線スタートEXによる「Aterm WM3500Rと拙者の無線LAN対応ノートPCの自動接続処理」が始まる。
(4)らくらく無線スタートEXユーティリティを起動した直後の様子。親機となるルータ(Aterm WM3500R)からの応答をノートPCが待機している様子。「Aterm WM3500Rの[SETスイッチ]を押せ」の指示が。(5)指示どおりにAterm WM3500Rの[SETスイッチ]を押すと、このように接続処理が始まる。本来は手動でセットする必要があるSSIDおよび暗号化キーがユーティリティにより自動的にセットされる。(6)間もなく設定が完了。Aterm WM3500Rと拙者のノートPCは、無線LAN接続された。引き続き、WiMAXの契約手続きを行う。この契約手続きも、今つなげたAterm WM3500RとノートPCで行う。
(7)Aterm WM3500RとつながったノートPCでウェブブラウザを起動し、Aterm WM3500R内の設定ウェブページ「http://web.setup」にアクセスする。と、このような表示がなされる。(8)Aterm WM3500Rの初期設定の手順には、WiMAXの回線契約手続きも含まれているわけですな。ゆえ、この初期設定はWiMAXサービスエリア内で行う必要がある。なるべく電波状況の良い場所でネ♪(9)自動的な設定が問題なく進むと、このようにWiMAX契約のためのポータルサイトが表示される。自分に合った(自分が得な)WiMAX事業者を選べるわけですな。拙者はUQコミュニケーションズを選択。
(10)次いで、契約プランなどを選択していく。UQ WiMAXの場合、完全定額、2段階定額、1日利用などのプランがある。拙者は……使わない月もあろうから、2段階定額プラン(UQ Step)を選んだ。(11)2段階定額プランはUQ Stepと呼ばれ、ほぼ使わなかった月は380円、フツーに使った月は4,980円という料金設定になる。回線維持が月額380円でデキて、通信すると4,980円になるというイメージ。(12)契約者氏名や住所、電話番号、クレジットカード番号などを入力していく。Aterm WM3500R購入後、WiMAXサービスエリア内であれば、WiMAX回線契約までをすぐに行えちゃうわけですな。
(13)UQ Wi-Fiという「UQの公衆無線LANスポットサービス」も使えるようになる。最後に[申し込みをする]ボタンをクリックすれば、WiMAX回線契約を含んだAterm WM3500Rの初期設定は完了。(14)[申し込みをする]ボタンをクリックすると間もなく、WiMAX契約手続きを含んだセットアップが完了する。この直後、Aterm WM3500R経由でインターネットへ接続できるようになる。めでたし。(15)ちなみにAterm WM3500Rの各種設定はウェブブラウザから(クイック設定Webにアクセスして)行う。今時的フツー的ルータと同様、ルータ内の設定ページにアクセスするわけですな。

 とまあスクリーンショットが多くてアレだが、基本的には容易な手順を踏むだけ。らくらく無線スタートに対応していない機器の場合は手動でSSIDや暗号化キーを入力する必要があるので、もしかしたら暗号化キーとかの入力ミスで手こずるかもしれないが、それ以外にはハマって困る要素はなさゲ。セットアップは非常に簡単な部類に入るのではないだろうか。また、Aterm WM3500Rの購入後、無線ルータ設定~WiMAX回線契約~インターネット接続までワンストップで行えるのも手軽でナイスだと感じた。

 

速くて長時間で痛快♪

 初期設定が超サクッと済んだので調子コイてルータ設定を少々カスタマイズしたらハマって困って焦ったけど凡ミスだと気づいて修正して無問題化して使い始めたモバイルWiMAXルータAterm WM3500Rだが、これがヒッジョーに快適であった。

 主な快適さを一言で言えば「比較的に高速なブロードバンド回線を、だいたいいつでもどこでも使えて、そのためのケーブル接続なども不要である」ということ。バッグかポケットにAterm WM3500Rを入れて歩けば、(拙者のモバイル環境では)まあ遅くとも2Mbps程度で速いと15~16Mbpsくらいのブロードバンド回線を、コードレスで使えちゃうってのがたまらん。

 じつは以前にコレと似たようなコトを行っていたPHS300というモバイルWi-Fiアクセスポイントと、イー・モバイルのデータ通信カードD02HWを組み合わせて使っていたんですな。でも、このパターン、あまり長くは電池が保たないし、しかも機材が2個+ケーブル1本で若干ウザめであった。

わりと汎用的に使えるモバイルWi-FiアクセスポイントのPHS300。これにデータ通信カードなどを接続して使うことになる。PHS300とデータ通信カードD02HWを接続したところ。使用感はAterm WM3500Rと似ているが、電池持続時間は2時間未満って感じ。Aterm WM3500Rの場合、単体で準備完了で、通信速度が速く、しかも電池持続時間が8時間程度あるというのがスゲく実用的である。

 ところがAterm WM3500Rの場合、まずは実質的に一日しっかりバッテリーが保つという点でスゲく実用的。出張中に継続的に使うなどとなれば充電が必要にはなるが、一日の行動中に充電が必要になるケースはほとんどなさそうだ。またAterm WM3500Rの場合はPCとUSB接続してのネットアクセスが可能で、その場合はUSBバスパワーで充電される。そのあたりまで考えても、8時間のバッテリー持続時間には大きな安心感がある。

 加えてAterm WM3500R本体のみを持ち出せばOKというスッキリ感と実用性。無線LANルータとWiMAX通信端末が一体化していることの強みであり利便ですな。ついでにWi-Fiアクセスポイントとしての使用感を考えても、たとえばクイック設定Webによりスムーズに設定していけるあたり非常に使いやすい。

 ……てか、使い始めてまだ日が浅いんですけど、正直な話、使用開始1日目で「コレは使えるッ!!」と思って料金プラン変更しちまいました。前述のように最初は「使わない月もあろうから2段階定額プラン(380~4,980円)を選んだ」わけだが、実際に使い始めたらソッコーでその利便を実感。料金プランをUQ Flat年間パスポートにした。

 ちなみにこのプラン、1年間の継続利用を条件として、月額3880円でパケット通信し放題というもの。毎月必ず3880円かかるわけだが、えーと、なんか、Aterm WM3500Rのバッテリー持続時間と携帯性と扱いやすさおよびWiMAXの通信速度は、3880円を全然無駄にしないような気がしている。

 

ワクワクしつつAterm WM3500Rを常時携帯

 Aterm WM3500Rを使い始めていちばん嬉しいのは、iPadの役立ち度が急激に高まったこと。拙者はiPadのWi-Fi版を使っていて、ときどき「あー3G版にしときゃよかったかな~」とか思うのだが、Aterm WM3500Rを使い始めた時点でイロイロとバラ色に。まあ単純にiPad Wi-Fiの通信機能を外出先でも快適に使えるようになったって話ですな。

 iPhone 4の快適さも増した。当然と言えばそうだが、大半のケースで、iPhone 4などを3G回線でネットにつなぐよりも、WiMAX回線でつないだほうが通信速度が速くて快適。たとえばGoogleマップとか画像共有サービスサイト閲覧とか、3G回線だと「微妙に重い~」てな使い心地だったシチュエーションでもスピーディーに処理されるようになる。まあそれだけのためにAterm WM3500RっていうかWiMAX回線を契約するのはアリエナイが、Aterm WM3500R使ってるならiPhoneも快適化しまっせ的な話である。

Aterm WM3500RをノートPCなど無線LAN対応の機器と一緒に持ち出せば、手軽&快適&高速にインターネットへとアクセスできるWi-Fi版iPadユーザーだったりすると価値がワンランクUPのAterm WM3500R。iPadをカーナビ的に活用することも現実的になるもともと単体で通信できるiPhoneなど3G/Wi-Fi対応端末も、Aterm WM3500Rにより快適化する部分がけっこー多かったりする

 てな感じでAterm WM3500R常時携帯指向が高まっている拙者である。ちなみにAterm WM3500Rのサイズは約105×70×14.8(幅×奥行×厚)mmで、質量は約120g。iPhone 4より一回り大きいが携帯感はケータイと似たようなモンと言えよう。

 WiMAX自体に「まだ接続不能なエリアが多い」という問題があるものの、状況によってはAterm WM3500Rは生活を大きく変えるかもしれない。たとえば、ヒトリモノで、行動範囲がWiMAXエリア内って人なら、自宅のブロードバンド回線もモバイル用もAterm WM3500Rだけに絞れるかも。

 Aterm WM3500Rには同時に8台までの無線LAN機器をつなげられるので、自宅でAterm WM3500Rを使えばデスクトップPCにノートPCにスマートフォンにと複数の端末をネット接続できる。そのまま持ち出せばモバイルWiMAXルータに。……さらに通話はSkypeとかにしちゃうと、電話機の類も不要に!? まあソレは極端な話としても、WiMAXの速度とAterm WM3500Rの携帯性/電池持続時間/汎用性は、そんなふうな妄想を促進しがちだ。

 てなわけで、拙者にとっては初めてのモバイルWiMAXルータとなったAterm WM3500Rだが、正直、そーとーイイ!! Aterm WM3500R自体良い製品だと思うのだが、時代もイイですな。以前はすこーしニッチ気味だったモバイルでのルータ利用、モバイルブロードバンド回線などが、ちょうど融合するタイミング、みたいな。そんな現在におけるAterm WM3500R、手段が目的化するようなワクワク感があるんであった。

2011/1/17 06:00