売れてるポメラの新型が登場!!
■売れてるポメラの新型が登場!!
2008年11月10日に発売されたデジタルメモことポメラ(Pomera)。ブロガーやライター、編集者をはじめとする「文章を書く人々」に人気を集めているテキスト作成ガジェットですな。これに新型が登場。プレミアムモデルのポメラDM20だ。
新型ポメラのDM20。従来のポメラDM10と併売されるプレミアムモデルで、液晶サイズや細部の機能・使用感がグレードアップされている。2009年12月11日発売で、メーカー価格は3万4650円。本体色はリザードブラックとバイソンブラウンがある |
ポメラはモノクロ液晶ディスプレイとキーボードを搭載したデジタルメモ機。テキストファイル(.txt)作成と閲覧に特化したデジタル文具で、メモや文章の作成以外はほとんどナニもできないという割り切りまくった製品である。
しかし、かな~り売れてるんだそうで。ウワサでは当初の販売予定の3倍以上が売れ、現在でもまた(旧型が)売れ続けているとか。その人気の理由を拙者的に考えると、たぶん、手っ取り早さと携帯感を含む実用性ではないか、と。
文庫本的サイズであり、持ち歩くのが苦にならない質量であり、文章を十分実用レベルで作成できるキーボードと画面がある。同時に機能のシンプルさ。本体を開いて電源押せば2秒程度で起動&入力可能状態になる。「パッとテキスト書ければいい」てな人々にグサリと刺さったんでしょうな。
新型ポメラDM20の外観。折りたたみ時のサイズは約145×100×33mm。文庫本2冊程度の容積ですな。質量は電池別で約370g | 使用時は、まずこのように画面を開き、折りたたみ式キーボードを開く | 電子辞書サイズなのに十分タッチタイプ可能なキーボードが使える点が大きな魅力。電源ボタン押下後、2秒程度で入力可能状態になる |
そんなシンプルなテキスト作成ガジェットに新型が登場したんですな。2009年12月11日に発売予定。今週じゃん!! てなわけで、一足先に、この新型ポメラDM20を試用してみた。約1週間程度使ってみたので、その使用感などを旧型(DM10)との違いなどを交えて書いてみたい。
なお、ぶっちゃけた話、新旧ポメラのハードウェア的な感触に大きな差はない。キーボードの打ち心地とか折りたたみギミック、サイズや携帯感などはほとんど同じ。なので、そのあたりは旧型ポメラのレビューをご参照いただきたい。
■順当進化の新型ポメラ
まず新型ポメラの目立った進化点として、液晶の大型化(4型→5型)がある。ただし解像度は新旧友にVGA(640×480ドット)。文字サイズを7段階に変えられる点を含めれば、テキストの視認性は向上している。が、画面自体の見やすさという点では新旧それほどの差はない。
画面サイズは旧型のDM10(左)が4型。新型のDM20(右)が5型となった。解像度は新旧ともVGA(640×480ドット) | 画面サイズの変更にともない、本体を閉じたときの佇まいも変わった。新型(奥)のほうが凸凹がなくてスッキリしてますな | 新型では表示文字サイズを7段階から選べるようになった。F6キーを押すなどすれば順にサイズが変わる。写真は最小サイズ。文章全体をザッと一望するのになかなか便利 |
最小より1段階大きくしたところ。ササッと読んでいくのに便利なサイズかも | さらに1段階大きくしたところ。読みつつ文字校正をしたり、あるいは書くのにも便利なサイズだと感じる | そのひとつ上のサイズ。書くのに便利な感じ |
もうひとつ上のサイズ | 最大サイズの手前 | 最大サイズ |
もうひとつの進化点としては、メモリ周りの強化がある。内蔵メモリが増えたことと外部メモリとしてより大容量のmicroSDカードが使えるようになったんですな。
具体的には、旧型では内蔵メモリに「8000文字入力したテキストを6ファイルまで保存可能=合計で最大約4万8000文字」を保存できた。また、外部メモリとしてmicroSDカードを使えたが、SDHC対応でなかったので最大容量2GBまでのカードしか使えなかった。
新型では、内蔵メモリへ「1ファイルあたり最大約2万8000文字のテキストファイルを最大1000ファイル保存可能=合計で最大約約2800万文字」保存できるようになった。外部メモリはmicroSD(SDHC)を使えて、最大16GBのメモリカードを使用できるようにもなった。
てなわけで、画面がデカくて見やすくなり、メモリもたっぷり実用的に。メモ書きマシン的な旧型ポメラだったが、新型は長文書きマシンとしてもテキストビューワとしても実用性が高まった。
また、使える電池として、単4アルカリ電池以外にエネループにも対応し、そのためのメニューも追加された。なお、単4型アルカリ電池×2本使用時の動作時間は約20時間、単4型エネループ×2本使用時は約15時間となっている。
電池室は本体裏面にある。電源は単4形のアルカリ電池もしくはエネループ。このほかにバックアップ用のコイン型リチウム電池(CR2032)を使う | 新型はエネループでも使えるようになった | メニューにもアルカリ電池を使うかエネループ(ニッケル水素電池)を使うかの項目が追加された |
このあたりまでは、旧型からの順当進化って感じですな。これらに加え、目立たないけど注目すべき進化点も多々。そんな小さな進化点は、もしかしたら旧型ポメラユーザーにとって上記の目立つ進化点よりも羨ましいブラッシュアップに見えるかもしれない。
拙者が「すニャらしい!!」と感じたのは、たとえばキーバインドを一部変更可能になったこと、ファイル管理機能の実用性がググッと高まったこと、それからテキストをQRコードに変換できる新機能が加わったこと。
で、これらのブラッシュアップと上記の進化点を合わせると、その使用感においてか~な~り~使いやすさが増した新型になっている。以降、このあたりの“地味だけど使い心地を大きく変えた進化点”について見ていこう。
■ケータイ用キーボード的に使えるQRコード
旧型ポメラにおいて面倒臭ぇ点は、ポメラ上で作ったテキストファイルをほかの機器に送りにくい点。ポメラには無線LANアダプタとか通信機器接続ポートなどがナイので、ほかの機器とファイルをやりとりする場合、USB接続するか、microSDカード経由で行う必要があった。
PCとのファイルやりとりに関しては、ポメラとPCをUSB接続すれば、ポメラ内のファイル(microSD含む)がPCから見えた。USBメモリなどと同様に扱えるので、まあ大きな問題ではなかった。
が、ポメラで書いたテキストをメールしたい!! てな場合はわりとタイヘン。マトモ感のあるスマートフォンなら、スマートフォンへmicroSDカードを挿してファイルをコピー、てな方法があった。が、日本製・日本国内向けの一般的なケータイでソレをやろうとすると、できなくはないものの、ある種裏技的な方法となり、やっぱり面倒であった。
この面倒を解消したのが新型ポメラに加わったテキストのQRコード変換機能だ。単純な話、テキストをQRコードに変換し、これをケータイとかで読み取ると……ケータイ上にテキストが現れる。これをそのままメール送信、てなことができるようになった。
なるほどキングジムらしい方法!! とか思っちゃいました。ハードウェアの変更や追加などで問題を解決するのではなく、知恵と工夫で最小コストにて解消、みたいな。ユーザー的にも、ポメラ用の通信アダプタを新規に買うとか専用ケーブルでつなぐとかいった「そこまでするのもなあ」というハードルがなく、実際にもまずまず実用的なので有り難い機能だと感じる。
てか、新型ポメラは、QRコードを読める端末(たとえばケータイ)用のキーボードとして機能すると考えると、なんか今後が楽しげでもある。
■[ctrl]キーが[A]の左にっ!!
新型ポメラDM20にはキーの割り当て変更機能がある。いわゆるキーバインドのカスタマイズだが、全部のキーの割り当てを任意に変更できるわけではなく、一部のキーのみ変更可能だ。
具体的には、キーバインド設定として[Caps]と[Ctrl]を入れ換え可能。すなわち、[A]キーの横に[Ctrl]をもってこられる。
ほか、[ins]と[前候補/変換]キーは、[esc]と[電源]以外のキーを自由に割り振れる(キー割付設定)。個人的にはこれらのキーバインドを変更する必要性はあまり感じていないが、多用するキーをこれらに設定すると入力効率が上がるかもしれない。
赤丸はキーバインド設定で入れ換えられるキー。黄丸はキー割付設定で各種キーを割り振れるキー | キーバインド設定では、[Caps]と[Ctrl]を入れ換え、[A]キーの横が[Ctrl]になるように設定できる | キー割付設定では、[ins]と[前候補/変換]キーにほかのさまざまなキーを割り振れる。写真は[ins]キーにほかのキーを割り振ろうとしているところ |
個人的には、キーバインド設定が超有り難い!! てかこれ重要。これでホームポジションから左手小指を下にずらすなどせず、左手小指で[Ctrl]キーを押しつつのショートカット機能をビシバシ使えるようになり、拙者的には従来の約2.56倍程度のスピードでテキストを書けるように!!
ちなみに、[Ctrl]キーを使ったショートカットだが、いろいろあるわけだが、拙者の場合はたとえば[u]や[i]や[o]などと組み合わせた「ひらがな/カタカナ/英字/半角変換のショートカット」が入力効率向上に大きく役立っている。
■マトモ感の高いファイル管理機能
ファイルの管理方法もイイ感じになった。
旧型ポメラの場合は、本体メモリ内で扱えるファイル数が少なかったことなどもあるが、なーんかこー泥臭いファイル管理方法だった──ファイルのソートや検索ができず、単にファイル名が並ぶだけ、てな感じ。なので、microSDカードにテキストファイルを多めに入れて、それを開こうとすると……あーもー、あのファイル見つかんないし!! 的なストレスがあった。
が、新型では、最大5階層までのフォルダ管理ができ、ファイル名の検索や日付やファイル名でのソートもでき、フォルダ内に入れられるファイル数も増え、といった感じで実用性が高まった。てか、フツーに違和感のないファイル操作が可能になった。
ま、でも、ぶっちゃけた話、旧機種のファイル管理機能が脆弱であり、新機種ではそれがフツーになった、というだけな気もする。しかし、前述のように画面サイズUPで視認性が向上し、多量のファイルを扱えるようにもなり、その実際の操作もまずまずスムーズに行えるようになった新型ポメラなので、テキスト作成/閲覧がより快適になったのは確かだ。
■ちょっとイイかも、な、カレンダー機能
個人的に興味を惹かれたのは、カレンダー表示機能。これは従来機でもあった機能だが、新型ではカレンダー上にメモを書き込めるようになった。日付メモと呼ばれる機能で、1日あたり8000文字まで書き込めて、最大で1000日分まで登録できる。
この機能、なんかイロイロと役立ちそうな気が。たとえば毎日次々と思いついたり閃いたり感じたりしたことを日付メモに登録していく。と、自分の行動や考えが、なんつーか箇条書きとなって残せて後々役立つかも、みたいな。
日記にもよさそうですな。「敢えてテキストファイルにしてまとめるってほどでもないけど、やっぱりなんか、記録に残したい気分」的なものを日付メモにツラツラと書いていけば、肩肘張らない日記が生まれそうな気もする。
ちなみにカレンダー表示、設定により電源投入時はいつも最初にカレンダーを表示することもできる。ので、ポメラを開いてすぐに日付メモに書くという使い方も現実的だ。
てな感じの新型ポメラDM20。率直なところ、これからポメラを買うならフツーに絶対この新型がオススメ。理由は、大きめで見やすい画面、マトモなファイル管理機能、それから旧機種よりもずっと余裕がある記憶容量や最大文字数あたり。
個人的には、新型触ってから旧型を触ったりすると、やはり上記の理由から旧型に戻れないという印象。[A]キーの横に[Ctrl]を配置できるってのも含めて、やはり新型に強めの魅力を感じる。
ともあれ、興味のある方は、一度新型に触れてみることをお勧めする。初めてポメラに触れる方にとっては「ここが新型なのか!!」的な新鮮さはないと思うが、旧型ポメラユーザーにとっては“痒いトコロに手が届いた機種”だったりもするので。
2009/12/7 06:00