スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

UltraなMac Studioを買った俺氏、4K動画方向に軽く壊れるの巻

動画はフルHDまで、それ以上はダメっ!

 俺の場合、じつは「動画を撮るならフルHDまで、それ以上は撮らない」と、わりと最近まで決めていた。いや絶対って感じではないのだが、長い間、フルHDを上限としてきた。ちなみにフルHD(Full HD / FHD)動画とは、画素数が1920×1080ピクセルの動画のことだ。

多用してきたソニーのハンディカム「HDR-PJ800」。フルHDの動画を撮影できるデジタルビデオカメラで、強力な手ブレ補正機能「空間光学手ブレ補正」を搭載。すでに生産完了の製品で、中古相場は3万円前後
わりと小型軽量。右上のような三脚兼グリップを装着して、動画をスナップ的に撮影している

 ほかにもフルHDで撮影できる機材は多数持っている。学生時代は8mmフィルムで映画製作をしていたり、8mmビデオで動画作品を作ったりしていた。フリーライターになってからもDVビデオカメラで撮影してDTV(デスクトップビデオ編集 / 死語? )をしたことも。動画は大好きなのであった(※関連記事その1その2)。

 そんなわけで、動画撮影ハードウェアの進化に合わせて、最新の高精細動画を撮影できるカメラを購入・使用してきた。そして編集して楽しむことも。

 だが、4K動画(3840×2160ピクセルなどの動画)の撮影に対応した機材に手を出し始めた頃、動画に対する考えがちょっと変わった。2015年あたりだろうか? ともあれ、結果から言えば「4Kは微妙だからフルHDまでにしておこう」と考えるようになった。

 理由はいくつかある。4Kで撮れるカメラが少ないとか、4Kで撮っても再生できる表示装置が少ないとか。なかでもいちばん大きかったのが「4K動画の編集にはかなり時間がかかる」ということ。当時は4K動画編集にかなり高いパソコンの処理能力が必要だった。あと、動画ファイルサイズも大きいのでストレージにも余裕が必要だった。

 つまりは「フルHDの編集でもそこそこ重いのに、4Kは重すぎて無理、楽しくない」ってコトで、まあどうにかイケるフルHDを上限とした俺なのであった。まあ、6〜7年前の話なんスけどね。

 その習慣が続いて、わりと最近まで4K動画はあまり撮っていなかった。いつもフルHD。また最近は「動画編集とかは、まあそのうちに」的な悪い(?)習慣までついてしまい、未処理の動画ファイルがたまる一方であった。

 ところが、本連載の前回でも書いたが、その未処理動画は、新たに使い始めたM1 Ultraチップ搭載Mac Studioの強烈な処理能力により、ズギャギャギャギャッと3日くらいで全部(扱うに都合のよいファイル形式へと)トランスコードできたのであった。同時に「速いな、軽いな」と思いつつ「じゃあ4K動画編集なんかも楽勝だよね」と考え、試しにMac Studioで4K動画を編集してみたら、何もかも軽快♪ 軽快っつーか、俺がこれまで経験してきたノンリニアビデオ編集として最も快適って気さえするッ!!!

Mac Studioで4K動画を編集してみると、なーんにも問題なくサクサクと処理できた。ですよね〜。2022年世代の高精細映像を扱うべく作られたパソコンなわけだし

 いや、M1 Mac miniやその直前世代のMacとかなら、4K動画編集はフツーに快適に行えることは薄々知っていた。だが俺の場合は「動画はフルHDまで」とか決め込んでおり、なかば宗教的にずーっと「フルHDするぞ、フルHDするぞ、ハードにフルHDするぞ〜」とフルHD以上のクオリティの世界について思考停止をしてきた感じ。ヘンな“フルHD癖”がついてしまったヘンなヤツと化していたと言えよう。

 つっても、元来動画撮影・編集好きの俺なので、見て見ぬフリをしつつ4K動画機材買って遊んできたんスけどね。4K動画映像もそこそこたまってるんスけどね。

 さておき、でも俺はもう見て知って感じちゃった。Mac Studioなら4K動画なんざぁ楽勝も楽勝だっつーことを。となれば、もうヤルしかない。フルHD制限は終了し、それ以上の高精細動画の世界をガッスンガッスンと堪能していくしかないッ!!! と激昂しつつ激考えたら、俺内部のナニカがちょっと壊れた。

4Kビデオカメラは持ってるんだよね……アーッ!!!

 フルHD信者を通してきた俺ではあるが、もう一方で物欲野郎でもあるので、4K動画を撮影できる機材は持っているのだ。たとえばホレ、このソニーの4Kハンディカム「FDR-AX60」が……あれ? AX60……あれれ? ない。どこにもない。

ソニーのデジタル4Kビデオカメラレコーダーことハンディカム「FDR-AX60」。2018年2月 9日発売の現行機種で、強力な手ブレ補正機能「空間光学手ブレ補正」を搭載している。実勢価格は12万5000円前後

 ……なぜナイの? ……アーッ!!! そうだ購入後に「これからは4Kだ高精細動画だ!!!」とかフルHD信者らしからぬことを考えて買って使ったら、ファイルサイズも大きいし編集にも時間がかかるしというバチが当たったので悔い改めて売却しちゃった……のかもしれないが、細かいことは忘れた。

 だが現在の俺は迷えるフルHD志向から解脱して境地に立った高精細動画野郎(になる予定)。再度買うしか!!! 4Kハンディカム「FDR-AX60」をポチェ〜ッ!!!

再度購入したFDR-AX60。これで4K動画を撮ってゆきたいッ!!!
カメラの下についているのは、三脚機能付きシューティンググリップ「GP-VPT1」。FDR-AX60などをリモートコントロールできる撮影グリップだ
三脚としても使えるなかなか便利なグリップ

 なお、高精細動画を撮影できるカメラとしては、キヤノン「EOS R5」も持っている。8K / 30P動画(8192×4320)撮影対応で、4Kは4K・DCI(4096×2160) / UHD(3840×2160)を撮影可能。

キヤノンの「EOS R5」は、おもにロケ時の商品撮影などに使用中。動画撮影についても強力な性能を備えている

 じゃあEOS R5で8K動画撮れば? とか思うわけだが、8Kだとまだキッチリ再生できる装置がないし、8K対応撮影機材も少ない。ので、8Kはもうちょっと先かな〜と考えている。ちなみに8K動画をMac Studioでちょこっと編集してみたら、これもまあフツーに扱えちゃうという印象。Mac Studioってそういうマシンなんスね。

4K対応コンデジも持ってるんだよね……アーッ!!!

 前出のハンディカムFDR-AX60やEOS R5は、つねに持ち歩くにはちょっと大きい。じゃあ4K対応スマートフォンのiPhoneで撮れば……とは思うのだが、まあそうもするのだが、もうちょっと画質的にこだわれて、携帯にも便利な4K撮影カメラが欲しいところ。
 だが俺はカメラ野郎なので、4K動画対応コンパクトデジカメも持っているのだ。たとえばホレ、このキヤノンの「PowerShot G7 X Mark II」。これを軽快に持ち歩いて4K動画を撮っ……あれ? G7 X Mark II……アーッ!!! 動画はフルHDまでだった!!!

キヤノンの「PowerShot G7 X Mark II」は1.0型高感度CMOS(裏面照射型)を搭載したコンパクトデジタルカメラ。2016年4月21日発売の現行品で、実勢価格は6万6000円前後

 ……う〜ん、そうか、確かこれ「4K撮らないしコレでいいや」って感じで買ったような。でも静止画もフルHD動画もキレイに撮れて使いやすいし、いいカメラなんだよな〜。

 っていうかコレの後継機種である「PowerShot G7 X Mark III」はどうよ? あっ4K動画撮影対応になってる!!! なら買うしかポチェ〜ッ!!!

ズギャッと購入したキヤノン「PowerShot G7 X Mark III」。4K動画撮影対応で、2021年9月のファームウェアアップデートでAF / AEのスピードと精度が進化した「Video Blog」モードが追加された。ツートンのを買ってみた。実勢価格は9万円前後
PowerShot G7 X Mark IIIに装着したのは「トライポッドグリップ HG-100TBR」。ワイヤレスリモートコントローラー「BR-E1」が同梱された動画撮影用グリップだ。じつはPowerShot G7 X Mark II購入時に「リモコングリップでフルHD撮ろう」と考えていっしょに買ったが、まさかの「G7 X Mark IIには非対応」品であり絶望して滅亡して死蔵していたが、G7 X Mark III対応品なので復活。イイ感じで使えるが、ちょっと大きいかも

 上の写真の状態で4K動画撮影をしている。なかなかイイっすねこのスタイル。自撮りはあまりしないが、撮影の自由度が高く動画撮影が愉快になる。

 また、ファームウェアをVer1.3.0にアップデートしたところ、「Video Blog」撮影モードが使えるようになった。通常の撮影モードよりもオートフォーカスの切り替わりが速くて自然で、カメラ任せでナイスな雰囲気の動画が撮れるようになった。

ぬぬぬ、白いボディに白いリモコングリップか……ぬぬぬぬぬ

 そうして4K動画撮影対応カメラを連続的にポチッと買い、そろそろ脳の消費中枢が麻痺してきたところに、視覚から魅力的な新商品情報が入力された。ソニー「ワイヤレスリモートコマンダー機能付シューティンググリップ GP-VPT2BT」の新色ホワイトが2022年夏に発売されるというニュースだ。

ソニーから2022年夏に発売が予定されている「ワイヤレスリモートコマンダー機能付シューティンググリップ GP-VPT2BT」の新色ホワイト。ソニーの「VLOGCAM ZV-1 / ZV-1G」や「VLOGCAM ZV-E10 / E10L」のホワイトモデルに合わせたカラーのグリップリモコンですな。

 ぬぬぬ。ソニーのVlog向けカメラ「VLOGCAM ZV-1」「VLOGCAM ZV-E10」のホワイトモデル向けリモコングリップとな……ぬぬぬ。キレイな白だよな〜あのカメラのホワイト。買うならホワイトって思ってたし。

 つまりアレか、要するにZV-1とZV-E10のどっちにするのか俺、ってことだよな。まあ色はホワイトとして。ホワイトのリモコングリップは予約するとして。

 ん〜ぬぬぬぬ、ZV-E10はレンズ交換式でより高画質に撮れそうだが……レンズ沼が待っていそうだし……お気軽お手軽で定評もあるコンデジタイプのZV-1かな。ですね! ですっ!!! ZV-1のホワイト買うしかポチェ〜ッ!!!

ソニーのVlog向けカメラ「VLOGCAM ZV-1」のホワイトを購入。もちろん4K動画撮影に対応している。ピュアな感じのホワイトで斬新。実勢価格は8万3000円前後
ワイヤレスリモートコマンダー機能付シューティンググリップ 「GP-VPT2BT」もポチッとな

 ZV-1を使ってみてすぐ思ったのは、やっぱり動画撮影機材はソニー製が使いやすいな〜、と。ソニーのビデオカメラばっかり使ってきたからそう感じるってのもあると思うが、動画撮影機材を作り慣れていてツボを心得ているメーカーだと感じる。

 たとえばソニーZV-1とキヤノンPowerShot G7 X Mark IIIを使い比べると、ワイヤレスリモコングリップの操作性にしても、動画撮影時の感触にしても、俺的にはソニーZV-1のほうが好みで、気分よく撮れる。ただ、ボタン類の操作感については、キヤノンPowerShot G7 X Mark IIIのほうが良好に感じる。押しやすいし誤操作しにくい感じ。この2台、目指す方向が違うカメラって感じである。4K動画撮影だと、画質は別にして、ソニーZV-1のほうが快適かなと思った俺である。

Mac Studioを中心にいろいろ刷新されていく

 もぉ〜バカバカバカ!!! 全部Mac Studioのせいなんだからっ!!! Mac Studioさえ買わなかったら4K熱がぶり返さなかったんだし!!! Mac Studioさえ発売されなかったらMac Studio買わなかったし連続して4K動画対応カメラを3台も買わなかったんだからーっ!!! 全部Mac StudioとAppleのせいなんだしっ!!! もう〜バカバカバカ〜!!!

 はっ、失礼。連続してカメラ買って動揺して気絶したら、現在ファミ通で執筆中コラムのツンデレ芸風で書かれていた。お目汚しすまんス。

 だがカメラ3台だけでは終わらないのであった。たとえばストレージ。

 追加しないとな〜4K動画ファイルそこそこデカいしな〜、と。4K動画はフルHD動画の倍近いファイルサイズになる。それだけ大容量のストレージが要る。また単に大容量ってだけではコピーなどに時間がかかるので、ストレージが高速である必要も。……必要っていうか、そのほうが絶対に快適だ。

 でも、けっこう多数持ってるんだよな〜ストレージ。そう思って保管していた大容量HDDを出してきたら、数年するうちにそれらは大容量な感じではなくなっていた。

手持ちSATA3.5インチHDDの一部。安いときに買っておけ的な流れで備蓄していたもので、新品も含まれている。容量は500GB〜2TBで、買ったときは大容量クラスであったものの、現在では……
SATAの2.5インチHDD。容量は1TBで、これも安いときに予備品を買ったものである

 1TB〜2TBでも、趣味の動画を保管しておくストレージとしては十分な容量だ。まあでも現在だと8TB容量でも1万5000円くらいで買えてしまう。ストレージの容量増加は早いですな。そして陳腐化も早い。

 それ以前に、快適さ云々を言えば、SSDのほうがいい。どう考えても速い。実際、SSDを使うと「もうHDDには戻れない」と感じがち。ということで、最近ではストレージをSSDに移行しまくっている。HDDは分解して美しいディスクだけ取り出して廃棄処分を進行中なのであった。

最近ではSSDを多用している。Mac Studioには多数のThunderbolt 4ポートがあるので、その速度・快適さからなおさらSSDへの移行が進んでいく
不要になったHDDは分解して廃棄することにしている。内部のディスクを取り出し、それ以外のパーツを廃棄する感じ
HDDのディスクの素材はガラスやアルミだが、表面は共通して鏡面になっていて、とても美しい。なので、実際に鏡として使っている。なお、ガラス素材の場合は落とすと割れることがあるので、扱いには要注意

 といった感じで、Mac Studioを中心にいろいろ刷新されていく俺的環境。コンピュータの力って、いろいろ変えちゃうんですネ。というか、コンピュータの力がもたらす変化は、とてもポジティブなことが多いと感じており、そこまで含めてMac Studioにたいへん満足している俺なのであった。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。