スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

スマホと好相性のカメラ、ニコンの「KeyMission 80」

スマホと好相性のカメラ「KeyMission 80」

 2016年10月28日に発売されたニコンのアクションカメラ3機種(公式ページ)。ニコンのアクションカメラこと「KeyMission」シリーズですが、一瞬「おおっ! ニコンから!」と思って惹かれたものの、考えてみたらソニーの「アクションカム」(公式ページ)持ってるし、全天球画像なら「RICOH THETA 」(公式ページ)持ってるしで、短時間で興味が冷めちゃいました。

左がニコンのアクションカメラ「KeyMission」シリーズ。中央はソニーのアクションメラ「アクションカム HDR-AS300/AS300R」、右はリコーの全天球カメラ「RICOH THETA S」。※画像は各メーカーサイトより抜粋。

 ただ、その後も「KeyMission」シリーズ3機種のうち、ちょっと気になっていた機種がありました。「KeyMission 80」(公式ページ)です。写真でしか見ていませんでしたが、小さそうですし、メカニカルな雰囲気の外見も好印象。ガジェットとして楽しげ♪ でもまあ、そんな程度で徐々にフェードアウトして4カ月経過。2017年になっちゃいました。

 そして今年の2月、たまたま知り合いが「KeyMission 80」を使っているのを見て、触らせてもらったら、コレは非常にイイじゃないか! 欲しいゾ! と。結果、すぐに購入しました。

 良かったのは、サイズ感と扱いやすさ。詳しくは後述しますが、ホントにポケットサイズのカメラで、片手で容易に操作できます。

 それとスマートフォンとの連係。「KeyMission 80」はAndroid/iOS端末とBluetoothやWi-Fiで接続でき、画像転送やリモート撮影などができます。とくに、撮った写真がBluetooth経由で自動的にスマートフォンへと自動で転送される機能が良さそう。

 さておき、購入後は軽く紆余曲折がありました。というのは、期待していた「スマートフォンへの自動画像転送」機能が不安定。いくら待っても転送できなかったり。たまに転送できたかと思えば、「失敗しました」的なメッセージとか出ちゃって、「あーっ、もう!」とかイラッとな。結局は「KeyMission 80」をスタンドアロンで使っていました。2月頃の話です。

 と思ったら、2017年04月11日に「KeyMission 80」のファームウェアアップデートが実施されました。現時点での最新版はメーカーのダウンロードセンター(KeyMission 80用ファームウェア)にありますが、変更内容として「アプリとカメラの接続安定化」や「画像転送時の安定性向上」が含まれていたので、即アップデート。結果、2月頃の状況とは一変して、安定的にスマートフォンへの自動画像転送ができるようになりました。

 そこからさらに使って1カ月少々。「やっぱりこの超小型カメラいいなぁ」という印象です。とくにスマホと好相性で、「KeyMission 80」で撮っていると「いつの間にか写真がスマホに転送されている」という利便がナイス。画質もそこそこイイですし、防水カメラですし、シャッター音もオフにできたり、いろいろと実用的。てなわけで、今回は「KeyMission 80」の使用感についてレポートしてみたいと思います。

小さい! 片手で操作可能!

 初めて「KeyMission 80」に触れて思ったのは「小さっ!」ということ。しかも軽い。触った感じはややプラスチッキーですが、細部のデザインに緻密さがあり、スパイカメラ的な雰囲気も備えています。

「KeyMission 80」とiPhone 7 Plusを並べた様子。iPhoneでかっ! と思うほど、「KeyMission 80」は小さいです。具体的なサイズは、約幅44.8×高さ86.5×厚さ15.0mm(突起部除く)で、質量は約74g(内蔵充電池、メモリーカード含む)。
「KeyMission 80」はデザインも独特。眺めても楽しめるようなプロダクトです。形状やボタン位置は奇抜に見えますが、片手での扱いやすさまで含めて、機能性を優先したデザインに思えます。

 コレ、片手で扱えるんです。ボタン2つとダイヤル1つのシンプルな操作系で、画面はタッチ対応。2つのボタンどちらかを押すと起動し、そのままシャッターを押せば撮影できます。画面タッチでの撮影にも対応。

 ともあれ、片手で取り出してボタンを押して起動し、シャッターを切ることまで、完全に片手で行えます。なお、電源オフはMENUボタンを押してから画面表示のオフをタップすればOKですが、自動オフ機能もありますので放っておいても大丈夫です。

 ほか、付属の取り付け具でバックパックのショルダーストラップに装着すると、そこから外したら電源オンになったり、ストラップに装着したまま設定時間毎に自動撮影することも可能です。用途に応じていろいろデキますので、そのあたりは製品情報ページをチェックしてみてください。

 メーカーの想定としては、「KeyMission 80」は登山やトレッキングなどの記録のためのカメラという感じです。が、片手で操作できることと、競合機種皆無の超コンパクトデジカメという点で、ワタクシは常時携帯の小型カメラとして使っています。後述しますが、撮った写真はBluetoothによりスマホへと自動転送されますので、デジカメ専用機の使い勝手の良さをある程度持ちながらも、スマホのアシスタント的な映像記録外部機器としても機能してくれて、実用性においてもなかなか魅力的だと感じております。

広角でソコソコ写る、自撮りも十分広角♪

 さて、ポケットサイズっていうか手のひらサイズの「KeyMission 80」、どんな感じで撮影できるのか? 結論から言えば、テキトーにスナップして使っていても、ソコソコ写るなぁという感じ。小ささ手軽さ扱いやすさまで含めて考えれば、ここまで小さいのによく写るカメラだと思います。

 このカメラは2つのレンズを搭載しています。本体前側にある「カメラ1」と、本体手前(液晶画面側)にある「カメラ2」です。35mm判換算の焦点距離は、「カメラ1」が25mm相当で「カメラ2」が22mm相当。どちらも十分広角なレンズで、広い範囲を写し込むことができます。

「KeyMission 80」には2つのカメラが搭載されています。左が本体前面にある「カメラ1」。右が本体手前側(液晶画面側)にある自撮り向けの「カメラ2」です。35mm判換算の焦点距離は、「カメラ1」が25mm相当で「カメラ2」が22mm相当。画素数は「カメラ1」が1235万画素(最大記録画素数3968×2976)で「カメラ2」が492万画素(最大記録画素数2528×1896)。

 とくに「カメラ2」は超広角と言えるレンジです。「カメラ2」は液晶画面で構図を見ながらの自撮りに使えるカメラで、スマホで言うところのインカメラ。「KeyMission 80」の「カメラ2」の余裕のある画角は、より自然な自撮りにつながっていると思います。

 ここで「カメラ1」や「カメラ2」で撮った写真を見てみましょう。以下の写真は、「KeyMission 80」で撮影後にトリミングのみを行っています。

「カメラ1」で撮影。右はドットバイドットの画像です。発色も明暗の階調もなかなか良好です。ちょっとした風景スナップにも使える感じ。
「カメラ1」で撮影。右はドットバイドットの画像です。「この自販機、なんか高い?」とか思ってのスナップですが、細部までよく写っていました。手っ取り早く画像メモを残すのにはとても便利です。
「カメラ1」で撮影。右はドットバイドットの画像です。近寄ってきた馬をスナップ。曇天で手前が日陰の逆光状況で、条件は良くありませんでしたが、まずまずしっかり写りました。
「カメラ2」で撮影。どちらも自撮りですが、多くのスマートフォンと比べると、腕をあまり伸ばさなくても自撮りできたり、背景をより広く写し込んだ自撮りができたり、快適な自撮りカメラとして使えます。
ワタクシの場合、「KeyMission 80」にストラップを付けて首から下げたりポケットに入れたりして持ち歩いています。このカメラがあるだけで、上のようなスナップを自由に撮れるというコトに楽しさを感じています。ちなみに写真のストラップは平たい靴紐です。

 このカメラの画質なんですが、まあ被写体や撮影状況によるものの、ハッキリ言って、たとえばiPhone 7 Plusなどの「高画質カメラ搭載スマートフォン」に勝てないこともアリガチです。逆に、勝つこともアリガチ。でも、画質に勝ち負けを求めているなら、最初からミラーレス機なりフルサイズ一眼レフなりを使えばいいでしょう。

 この「KeyMission 80」の大きな良さのひとつは、「あっ」と感じた日常の瞬間を最小の手間でクイックに切り取れることと思います。そのための我慢がほとんど要らない。サイズ然り、手間然り、カッシャン的な大きな電子的シャッター音声もありません。これは、いわゆる「スナップ」のためのカメラとして優れた素養だと思います。

スマートデバイスとBluetoothやWi-Fiで連係

 前述しましたが、2017年04月11日に「KeyMission 80」のファームウェアアップデートが行われました。それ以前、ワタクシの場合は「カメラからスマホへ全然画像が転送されないし、されても失敗が多いし、画像自動転送機能は使えない!」と感じていました。まあスタンドアロンの超小型カメラとしては便利だったんですけどネ。

 で、ファームウェアアップデート以降、快適に画像の自動転送が機能するようになりました。この自動転送機能はBluetooth LE(4.1)によるもので、自動転送しているからと言ってカメラやスマートフォンのバッテリーが大きく減るというような印象はありません。何もしなくてもバックグラウンドで勝手に転送してくれている、というのが安楽だし便利です。

 ただ、何をきっかけに「KeyMission 80」からスマートフォンへ画像が自動的に転送されているのかイマイチわかりません。「KeyMission 80」で撮ってしばらくしてスマホ(の専用アプリ)を見ると、撮影した画像が転送済みであることがほとんどです。

 また、撮影後しばらくしてスマホを見ても、撮った画像が転送されていないことがあります。そのまま放っておくと、いつの間にか転送が完了していたりします。

 たまに「あれ? 転送されていない」と思って専用アプリを見ていると、まさにその瞬間に転送が始まったりすることもあります。でもまあ結果的に、転送できてはいるんですけどネ。

「KeyMission 80」をスマートデバイスで利用する場合、専用アプリ「SnapBridge」(公式ページ)が必要です。このアプリを使うと、スマートデバイスと「KeyMission 80」の接続、画像の自動転送や画像の利用、リモート撮影などを行えます。画像はiOS版のものですが、Android版もあります。

 ファームウェアアップデート以降、この自動画像転送機能は十分実用的なレベルで機能していましたが、つい先ほど本記事を書くために検証していたら、ファームウェアアップデート以降で初めて自動転送に失敗しました。1枚だけ、転送されませんでした。アプリ上には「失敗しました」的な表示が。

 このような場合、専用アプリで手動にて画像転送を行えます。基本的にはアプリの操作だけでOKで、カメラに触れる必要はありません。アプリ側からBluetoothによりカメラが操作されるというイメージ。また、スマートフォンとカメラをWi-Fi接続し、より高速に画像の手動転送を行うこともできますが、この場合もスマートフォン側の操作だけで行えます。

「KeyMission 80」からスマホへの画像自動転送が失敗した場合や、画像を手動で転送する場合、専用アプリの「お好み画像転送」機能を使います。この機能により、カメラとスマホがBluetooth接続され、カメラ内の画像を選択してスマホへ転送することができます。基本的にスマホ側(アプリ)の操作だけでOK。
アプリ上で「Wi-Fi通信の許可」を設定している場合、Bluetooth接続以外にWi-Fi接続が選べます(カメラがWi-Fiアクセスポイントとなる)。Wi-Fi接続での転送などは、Bluetooth接続より少し手間がかかります。右の写真が自動転送に失敗した写真ですが、手動で転送できました。

 ファームウェアアップデート以前と比べると、アプリの使用感や挙動は、よりわかりやすくなったという印象です。ただ、前述のように「どういうタイミングで自動転送?」というコトや、アプリのUI面で一部わかりにくさが残っていたりはします。個人的には「もっとわかりやすくなり、間口の広いアプリになってほしい」と思います。

 でもまあ、「KeyMission 80」で撮った写真がほぼ全部(「ほぼ」というのは前述のとおりファームウェアアップデート以降で本日初めて1枚だけ転送に失敗したので)、自動的に転送されるのは非常に便利。スマートフォンと連係させた「KeyMission 80」は、「スマホより手っ取り早く使えて、フツーのスマホと比べたら画質もかなりイイし、撮影もしやすい」というあたりで「スマホの外部映像機器としてベストパートナー」という気がします。

 最初からスマホだけで撮影を済ます、という考えもあったんですが、「KeyMission 80」を使っていると、そのラクさやスピーディさから、「スマホのカメラだけ使えば済む」的な結論には至っておりません。まあユーザーによるとは思うんですが。

 ともあれ「KeyMission 80」、すっごく小さく軽く、外見的にもソソられるものがあり、画質もそこそこイケて、(ファームウェアアップデート以降は)スマートフォンとの連係もイイ感じでキマるようになりました。実勢価格は3万1000円前後。わりとモノ好きでないと3万円以上出して一種キワモノ的なカメラは買わないような気がしますが、なんかコレ、いろいろな観点でちょっとした歴史を刻むような存在って気がしなくもありませんので、興味のある方はぜひ一度チェックしてみてください♪

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。