法林岳之の「週刊モバイルCATCH UP」
MVNOの新しい方向性を見出す「J:COM MOBILE」
(2016/2/5 12:00)
ここ1~2年で急速に成長してきたMVNO市場。各携帯電話会社の設備を借り、リーズナブルな料金でサービスを提供することで、少しずつシェアを拡げてきたが、昨年あたりから新しい方向性を打ち出すMVNOも登場し始めた。その一つがCATV最大手のJ:COMが提供する「J:COM MOBILE」だ。全国29社74局をカバーするケーブルテレビ会社であるJ:COMが提供するMVNOサービスということもあり、料金やサービス、端末、サポート体制など、他社にはない新しい内容でMVNO市場に挑んできた格好だ。今回は新しいMVNOの方向性を打ち出してきたJ:COM MOBILEにスポットを当てながら、その内容をチェックしてみよう。
拡大するMVNO市場
これまで国内では各携帯電話事業者による携帯電話サービスが提供されてきたが、ここ数年、急速に市場に拡大しつつあるのがMVNO(Mobile Virtual Network Operator)だ。MVNOそのものについては、ケータイ(フィーチャーフォン)が主流だった時代から、通信対応カーナビなどのように、各携帯電話会社から回線を借り受け、専用端末などで利用するという形で利用されてきた。
これに対し、ここ数年、主役となっているのがいわゆる『格安スマホ』『格安SIM』と呼ばれるジャンルだ。各携帯電話会社から回線を借り受けるという形は同じだが、端末にはMVNO各社が独自でスマートフォンやタブレットを調達したり、SIMカードだけを提供して、ユーザーが別途、購入したSIMフリー端末を利用するというスタイルで、市場にも徐々に浸透しつつある。スマートフォンを利用する場合、各携帯電話会社で契約すると、月々の支払いは最低でも5000円以上の出費を強いられてしまうのに対し、MVNO各社のサービスではデータ通信容量が少なければ、2000円以下で音声対応サービスが利用できる。音声通話の話し放題こそ、実現できていないものの、データ通信は1GB単位で利用でき、データ通信のみの契約では月額料金が1000円を切るプランを提供するMVNOサービスも存在する。
ただ、こうしたMVNO各社の月額料金が安いプランでは、通信速度を制限していたり、各携帯電話会社から借り受けている回線の帯域が限られていて、トラフィックの多い朝の通勤・通学の時間帯、お昼休み、夕方などにつながりにくいといったことも起きている。サポート面や補償サービスについてもコスト削減のため、各携帯電話会社に比べると、まだまだ不足しているのが実状で、全体的に拡大傾向にあるものの、価格競争ばかりが注目され、幅広いユーザーにおすすめできる環境が整っていないという指摘も多い。とは言うものの、昨年9月以降、総務省が進めてきた携帯電話料金に関するタスクフォースで、ライトユーザーへの配慮が求められたことが追い風となり、今年は昨年以上にMVNOが注目を集めることになりそうだ。
拡大するMVNO市場において、新しい方向性を打ち出してきたのが昨年10月にスタートした「J:COM MOBILE」だ。J:COMについては改めて説明するまでもないだろうが、国内では約500万世帯、約50%という最大シェアを持つケーブルテレビ会社だ。提供しているサービスはテレビの「J:COM TV」をはじめ、ケーブルインターネットの「J:COM NET」、固定電話サービスの「J:COM PHONE」、電力自由化で注目を集める「J:COM電力」などを提供している。
そんなJ:COMがauの4G LTE網を借り受け、新たにスタートしたMVNOサービスが「J:COM MOBILE」ということになる。安価なスマートフォンやSIMカードのサービスを提供するMVNOサービスは、すでに多くの企業が参入しており、J:COM MOBILEはやや後発というポジションになるが、ケーブルテレビ会社というの特性を活かしたサービス内容に加え、全国29社74局というネットワークの強みを活かした体制を整えており、他社にはない新しいMVNOサービスの方向性を打ち出している。月々の利用料金が各携帯電話会社に比べ、割安であることはもちろんだが、J:COM MOBILEは料金以外に、他社にはないユニークなサービス内容を持っており、MVNOサービスの新しい方向性として注目できるのだ。
J:COM TVでおなじみの番組をモバイルで
では、具体的にJ:COM MOBILEのどんなところがユニークなのだろうか。サービス内容などをおさらいしながら、その内容をチェックしてみよう。
まず、J:COM MOBILEが他社と比較して、もっともユニークなのが「J:COMオンデマンドアプリ」による動画視聴だ。現在、国内ではスマートフォンが市場の半数近くまで普及が進んだが、実際にスマートフォンに移行したユーザーがどんなことに利用しているのかを見てみると、インターネットやメール、SNSといった定番的なサービスが利用されている一方で、動画視聴の利用が急速に拡大している。かつて、ケータイ時代はテキストや静止画コンテンツがケータイで、動画コンテンツはパソコン向きと言われていたが、LTEネットワークによる高速化などが進んだことで、現在はスマートフォンでもYouTubeやニコニコ動画といった動画共有サイトが広く利用され、各社のビデオ・オン・デマンドサービスを利用するユーザーも着実に増えてきている。
ただ、動画を利用する上で、どうしてもネックになるのがデータ通信量だ。各携帯電話会社やMVNO各社が提供する料金プランでは、あらかじめ使いたいデータ通信量を契約しておき、その一定量を超えると、通信速度が数百kbpsに抑えられるという仕組みを採用している。一部のMVNOでは使い放題をうたうプランが提供されているが、通信速度が元々フルスピードで提供されておらず、動画コンテンツなどは快適に視聴できないケースが多い。つまり、スマートフォンによる動画視聴は拡大しているが、誰もがデータ通信量の制限に苦しんでおり、なかなか快適に利用できる環境は整っていない。
これに対し、J:COM MOBILEの場合、「J:COM MOBILE スマホセット」を契約し、J:COM TVに加入すると、J:COMオンデマンドアプリで映像コンテンツを視聴したときのデータ通信量(パケット通信量)は、月々のデータ通信量にカウントされないため、いつでもどこでも制限を気にすることなく、動画視聴を楽しむことができる。ネットワーク混雑回避のため、直近3日間で3GBを超えると、J:COMオンデマンドアプリの利用でも制限される場合があるが、外出先で何時間も延々と視聴しなければ、それほど問題になる心配はない。
J:COMオンデマンドアプリ以外での動画視聴は、月々のデータ通信量にカウントされるが、J:COMオンデマンドアプリではJ:COMオンデマンドで配信中の最新映画や国内外のドラマ、アニメをはじめ、ゴルフやプロ野球などのスポーツ番組のライブコンテンツを楽しむことができる。ライブ配信は「J:COM TVスタンダード」「J:COM TVスタンダードプラス」の加入者が対象だが、プロ野球は昨年も全球団の試合が中継されてた実績を持つ。たとえば、シーズン中、ナイターを見たいが、帰宅が間に合わなかったり、出張中でいつもの番組が見られないといったときにもJ:COMオンデマンドアプリがあれば、さまざまな番組を楽しめるわけだ。
au 4G LTE網を活用
J:COMオンデマンドアプリで動画を存分に楽しめるJ:COM MOBILEだが、肝心のネットワークと端末はどうなっているのだろうか。
ネットワークについては、前述の通り、auの4G LTE網を利用している。現在、国内でMVNOサービスを提供する事業者の多くは、NTTドコモのネットワークを借り受けており、auのネットワークを借り受けたMVNOサービスとしては、UQコミュニケーションズの「UQ mobile」やケイ・オプティコムの「mineo」などが挙げられる。NTTドコモとauのどちらのネットワークがつながるかという点については、エリアによって差があるため、一概に言えないが、auの4G LTEネットワークは800MHz帯を利用し、人口カバー率で99%超を達成しており、ユーザーからの評価も高い。
そして、同じauのネットワークを利用しながらもJ:COM MOBILEが他社と少し違うのは、4G LTE網のみを利用しており、音声通話はau VoLTEによる高音質な音声通話が利用できるという点だ。VoLTEについてはすでに各携帯電話会社がサービスを提供しているが、本来、データ通信のみを利用するLTEネットワーク上に音声データを流すことで、通常の3Gよりも幅広い音声の帯域で通話ができるようにしている。筆者自身も各社サービスでVoLTEを体験済みだが、かかってきた着信に応答して、すぐにわかるくらい明確に音質に差がある。
通信速度については受信時最大150Mbps、送信時最大25Mbpsで、今回、対応端末として販売されているLGエレクトロニクス製「LG Wine Smart LGS01」は、800MHz帯と2GHz帯に対応する。公衆無線LANサービスについてもワイヤ・アンド・ワイヤレスの「Wi2 300」の提供エリアであれば、一部の例外を除き、ログインIDやパスワードを入力することなく、自動的に利用できるため、月々のデータ通信量を節約することもできる。ちなみに、「Wi2 300」は今年6月末までの提供が決まっており、それ以降の提供については未定とされている。
気になる料金とサポート体制
気になる料金については、2年契約を選んだ場合、月額2980円で音声通話と最大3GBまでのデータ通信が利用できる。もちろん、月額2980円には前述のJ:COMオンデマンドアプリの利用が含まれており、くり返しになるが、同アプリでの通信は最大3GBまでのデータ通信量の対象には含まれない。他のアプリを利用するなどして、3GBを超えた時は、通信速度が200kbpsに制限されるが、追加パケットは100MBあたり200円で申し込むことが可能だ。
音声通話は30秒20円の従量制となっており、各携帯電話会社のような音声通話定額は提供されていない。しかし、実際にシミュレーションしてみると分かるが、例えば、NTTドコモのカケホーダイとデータSパック(2GB)の組み合わせでは1カ月あたり88分以上、カケホーダイライトとデータMパック(5GB)では100分以上通話して初めて音声定額の恩恵を受けられることになる。
ちなみに、ユーザー1人あたりの月間の通話時間を「MOU」(Minutes of Use)というが、総務省がまとめた資料「通信量からみた我が国の音声通信利用状況-平成26年度の利用状況-」によれば、2014年度における1契約1日あたりの通話時間は2分16秒とされており、1カ月を30日として計算すると68分となる。つまり、大多数のユーザーは、30秒20円の従量制の方が得になるわけだ。
それ以上によく通話するというユーザーの場合も、楽天でんわやG-Callなど、通話料が30秒10円になる第三者課金サービスを併用すれば、毎月3時間ほど通話しない限りは従量制の方が支払額が少なくなる。メールやLINE、メッセンジャーアプリなどを上手に利用すれば、さらなる節約も可能だろう。
メールについてはJ:COM MOBILEとして提供していないものの、J:COM NETを契約していれば、メールアドレスがすでに発行されており、これを端末に設定して、利用することができる。もちろん、Gmailなどのオンラインのメールサービスも自由に利用することが可能だ。MNPにも対応しているので、既存の各携帯電話会社やMVNO各社で音声通話契約をしているユーザーは、同じ携帯電話番号のまま、J:COM MOBILEに移行することができる。セキュリティについては、自宅などでJ:COM NETを契約している場合、「マカフィー for ZAQ」が無料で利用でき、未成年者向けの有害サイトフィルタリングについては同じく「iフィルター for ZAQ」を無料で設定することが可能だ。
月額2980円という料金は、他のMVNOと比べて割高に感じられるかもしれない。しかし、J:COM TVやJ:COM NETといったJ:COMの他のサービスをすでに利用しているユーザーや、あわせて契約するユーザーを対象に、LG Wine Smartの端末代金の3万3000円を実質0円にするキャンペーンが実施されている。さらにMNPで新規契約の上、対象プランに加入すると、1万円がキャッシュバックされるため、2年間での総支払額が安くなるケースも出てくる。2月18日よりJ:COM MOBILEでの取り扱いが開始されるarrows M02でも僅差だ。
J:COM MOBILE | J:COM MOBILE | 楽天モバイル | NTTドコモ | |
---|---|---|---|---|
端末 | arrows M02 | LG Wine Smart | arrows RM02 | arrows Fit F-01H |
プラン | 3GB | 3GB | 3.1GB | 2GB+音声定額 |
月額料金 | 2,980円 | 2,980円 | 1,600円 | 6,500円 |
端末代金 | 40,800円 | 33,000円 | 29,800円 | 57,024円 |
割引(MNP) | ▲43,000円 | ▲43,000円 | ▲57,024円 | |
2年間の支払額 | 69,320円 | 61,520円 | 68,200円 | 156,000円 |
また、前述の通り、J:COM MOBILEでは「J:COMオンデマンドアプリ」で動画を視聴する分には通信量としてカウントされないが、他の通信事業者ではその分が通信量としてカウントされ、必要に応じて追加チャージを行う必要が出てくる。SD画質(中程度のクオリティ)の動画を視聴した際のデータ量を約0.7GB/時とした場合、週に1回30分程度の視聴を行うと、1カ月の通信量は約1.5GBとなる。仮に1GB余分に使うと想定するなら、楽天モバイルでは3000円(100MBにつき300円)、ドコモでは1000円(1GBにつき1000円)の追加チャージを行うか、一つ上のプランで契約する必要が出てくる。
そして、J:COM MOBILEでもう一つ心強いのがサポート体制だ。冒頭でも触れたように、現在、MVNOサービスは徐々に浸透しつつあるが、サポートの体制が整っておらず、ユーザーの問い合わせに対応できていないことが指摘されている。特に、MVNOサービスの場合、サービス、端末、OS、アプリなどが個別に組み合わさっているため、ユーザーはどこに問い合わせればいいのかがわからなかったり、たらい回しにされてしまうといったことが起きている。その点、J:COM MOBILEの場合、元々、各地域にはケーブルテレビサービスを支えてきた訪問スタッフやサービスエンジニアがいる上、70店舗のジェイコムショップも存在するため、はじめてのユーザーにも心強い。
J:COM MOBILEを申し込んだ場合、スマートフォンを利用するための各種IDなどの初期設定サービスは、遠隔サポートを使い、無料で対応してもらえる。より充実したサポートを求めるのであれば、J:COM NETやJ:COM TVなどと同じように、1世帯あたり月額500円で「おまかせサポート」を受けることも可能だ。このあたりはデジタルにあまり強くないシニア&シルバー世代などが既存のフィーチャーフォンから移行するときにも安心できるポイントと言えそうだ。
スタイリッシュで使いやすい「LG Wine Smart」
これまでのMVNOサービスと違い、コンテンツサービスを含めつつ、データ通信量も別に計算できるようにするなど、「料金だけではないMVNO」としての方向性を打ち出したJ:COM MOBILEだが、第1弾として提供される端末もなかなかユニークな製品だ。
J:COM MOBILEで提供されるのは、LGエレクトロニクス製「LG Wine Smart」という折りたたみデザインのAndroidスマートフォンだ。現在、国内で販売されているスマートフォンは、そのほぼ全機種が一般的なスレート状(板状)のボディを採用しており、タッチパネルで操作を前提としている。しかし、これまでフィーチャーフォンを利用してきて、「そろそろスマートフォンに……」と考えているユーザーにとっては、ちょっと扱いに慣れない端末ということになってしまう。その点、LG Wine Smartは折りたたみボディを採用しているため、これまで広く利用されてきたフィーチャーフォンの扱う感覚をそのまま活かすことができる。
ただし、プラットフォームはAndroid 5.1.1を採用しており、内部的にはスマートフォンそのものとなっている。昨年来、携帯電話各社はAndroidプラットフォームを採用したフィーチャーフォンを販売しているが、同じ折りたたみデザインではあるものの、LG Wine SmartはGoogle Playに対応し、GmailなどのGoogleの各サービスもそのまま利用できるAndroidスマートフォンで、テンキーとタッチパネルを併用しながら操作する。
折りたたみデザインのボディは幅58.7mmで、筆者のような男性の手なら、ちょうど手のひらに収まり、女性の手にも持ちやすい仕上がりとなっている。ボディのトップ面と背面はレザー調のパネルが採用され、手に持ったときの質感も良く、指紋なども目立たない。トップパネル側の先端部の角には通知LEDが内蔵されており、端末を閉じた状態でも不在着信などの通知があるときはボディカラーはネイビーとブラウンがラインアップされており、どちらも落ち着いたイメージだ。
折りたたみボディを開くと、ディスプレイとボタン面が表われる。ディスプレイは320×480ドット表示が可能な3.2インチのハーフVGA液晶を搭載し、タッチ操作にも対応する。ボタン面は中央上部に[ナビ(方向)]キーと[OK]キーを組み合わせたものを配し、左上に[メッセージ]キー、左下に[カメラ]キー、右下に[連絡先]キー、右上に[ざっくぅ]キーを並べており、それぞれの機能をすぐに起動できる。
これらのうち、[ざっくぅ]キーはちょっと耳慣れないが、ケーブルインターネットZAQのキャラクターとして使われている「ざっくぅ(ZAQ)」を表わしたもので、この[ざっくぅ]キーを押すと、お気に入りに設定したアプリを起動でき、長押しでは起動するアプリをカスタマイズすることができる。ちょうど、かつてのケータイで利用されていた[EZ]キーや[iモード]キーのような位置付けと考えれば、わかりやすい。ディスプレイにもっとも近い最上段には、Androidスマートフォンに欠かせない[戻る]キー、[ホーム]キー、[履歴]キーがレイアウトされている。左側面には[音量]キーを備える。
[ナビ]キーとダイヤルキーの間には左から順に[開始]キー、[クリア]キー、[電源/終了]キーがレイアウトされ、[電源/終了]キーの長押しで電源のON/OFF、文字入力時は[開始]キーで逆順操作、ダイヤルキーの[#]キー長押しでマナーモードなど、ケータイでおなじみの操作も反映されている。
折りたたみデザインのAndroidスマートフォンとしての工夫も盛り込まれている。たとえば、ダイヤルキーの[*]キーの長押しで通知パネルが表示されたり、[音量]キーの下方向と[電源/終了]キーを同時に2秒以上、長押しすることで、画面のキャプチャを撮ることもできる。
文字入力はフィーチャーフォンと同じように、ダイヤルキーを使って操作する。文字種の切り替えやマルチタップ入力の逆順など、使い勝手はフィーチャーフォンとまったくかわらないが、画面の文字入力エリアをタップすると、スクリーンキーボードを表示することもでき、画面をタッチしながらの文字入力も可能になる。スクリーンキーボードを利用するときは、Google音声入力も利用できるので、ダイヤルキーでの入力が面倒なときなどは音声入力に切り替えて使うこともできる。ちなみに、Google音声入力はブラウザで[マイク]ボタンをタップしての音声入力による検索にも利用することが可能だ。
ホーム画面についてはシンプルな[easyホーム]が出荷時に設定されている。シンプルにレイアウトされ、フォントサイズも大きいため、はじめてスマートフォンを持つユーザーにも安心して利用できる。もう少し詳しい表示が必要なときは、ホームアプリを[ホーム]に切り替えると、一般的なAndroidスマートフォンと同様のホーム画面を使うことができる。ホーム画面にウィジェットやショートカットを追加して、さまざまな機能にすばやくアクセスすることが可能だ。どちらのホームアプリを使うのかは、使う人のスキルと好みに合わせて、選べばいいだろう。
フィーチャーフォンのユーザーがスマートフォンに切り替えたとき、もっとも心配する電源についてだが、本体背面のカバーを外すと、1650mAhの電池パックが装着されており、充電は底面側のmicroUSB外部説端子を利用する。電池の持ちはさすがにフィーチャーフォンにかなわないものの、ディスプレイがハイエンドのスマートフォンのように高解像度ではない上、本体を折りたたんだ状態ではバックライトが消灯できるため、意外に電池の持ちはいいという印象だ。
その他のスペックとしては、CPUはクアルコム製クアッドコアMSM8909/1.1GHzを搭載し、Wi-FiはIEEE802.11b/g/n対応、Bluetooth 4.1対応、カメラはメイン(外側)が300万画素、サブ(内側)が30万画素となっている。AndroidプラットフォームはAndroid 5.1.1を搭載する。パフォーマンス的にはまったく申し分なく、快適にサクサクと使うことができる。ワンセグやおサイフケータイといった日本向けスマートフォン及びケータイ独自の機能は搭載されていないが、「緊急地震速報」アプリが搭載され、Wi-FiについてもJ:COM NETで採用されているケーブルモデムのメーカーを選べば、手順に従って、セットアップができる「Wi-Fiかんたん設定」アプリも提供されている。
また、端末の保証についても月額380円で、万が一のトラブルでも短期間で交換機器を提供する「端末補償サービス」が用意されている。端末購入時のみ加入可能なので、契約時に検討することをおすすめしたい。
コンテンツ、サポート、端末で独自性を打ち出すJ:COM MOBILE
国内では半数以上まで普及したスマートフォン。端末だけでなく、スマートフォンで利用できるサービスも充実し、いよいよ本格的に誰もがスマートフォンを利用できる環境が整ってきた。こうした状況の中、総務省が昨年来、進めてきた携帯電話料金のタスクフォースの流れを受け、MVNOサービスに注目が集まっているが、これまでの多くのMVNOサービスはどうも料金体系やデータ通信量ばかりに目が向いてしまい、ユーザーがスマートフォンに期待している部分に十分に応えられていない印象がある。
これに対し、今回取り上げたJ:COM MOBILEは、単純にMVNOサービスを提供するだけでなく、J:COMオンデマンドアプリによる動画視聴、全国各地のJ:COMによるサポート体制、これまでスマートフォンを使ったことがないユーザーでもなじみやすいLG Wine Smartという端末を提供することで、今までのMVNOサービスとは違った新しい方向性を打ち出している。対象はJ:COM TVやJ:COM NETのユーザーになるが、リーズナブルな料金体系やしっかりとしたサポート体制は、幅広い年代層のユーザーにも安心しておすすめできるものであり、今後の展開も含め、もっとも注目できるMVNOサービスの一つと言えそうだ。