法林岳之の「週刊モバイルCATCH UP」

Super ATOK ULTIASでコミュニケーションが楽しくなる「ARROWS NX F-05F」

 NTTドコモから2014年夏モデルが発表され、順次販売が開始されているが、富士通からは「ARROWS NX F-05F」が登場する。フラッグシップモデルらしく、最高峰のスペックを追求する一方、ジャストシステムと共同開発した日本語入力システム「Super ATOK ULTIAS(ウルティアス)」を搭載するなど、新しい取り組みが注目される端末だ。ひと足早く実機を試すことができたので、その仕上がりをチェックしてみよう。

NTTドコモ/富士通『ARROWS NX F-05F』。サイズ:約140×69×10.4mm、重量:約159g、カラー:Gold、White、Red(写真)

幅広いニーズに応える『全部入り』スマートフォン

 NTTドコモから2014年夏モデルが発表され、すでに一部のモデルは販売が開始されているが、今夏はプラットフォームがAndroid 4.4へ移行する一方、サービスでは「VoLTE」対応が発表されるなど、新しい環境へのシフトが注目される。

 そんなNTTドコモの新ラインアップの中、ハイスペックを追求するだけでなく、実用的な機能向上にもしっかりと注力しているのが富士通製スマートフォン「ARROWS NX F-05F」だ。富士通のARROWSと言えば、初期のモデルで発生したトラブルにより、ユーザーに不評を買っていたが、昨年夏に発表された「ARROWS NX F-06E」を機に設計をゼロから見直し、2013年冬モデルの「ARROWS NX F-01F」でも安定した動作と高いパフォーマンスで、各方面から高い評価を得ていた。

 今回発表された「ARROWS NX F-05F」は、ARROWS NX F-06EとARROWS NX F-01Fで培われた信頼性とハイスペックを継承しながら、日本のユーザーがスマートフォンを使う上で、もっとも大事とされる日本語入力システムに、ジャストシステムと共同で開発した「Super ATOK ULTIAS」を採用し、使いやすさとハイパフォーマンスを追求したモデルとして仕上げられている。「スマートフォン史上最高レベルの日本語入力システム」を謳う「Super ATOK ULTIAS」は、単純にソフトウェアだけでなく、タッチパネルについても最新技術を採用したチューニングを加えることにより、今までにない快適な文字入力環境を整えている。

 ハードウェアのスペックについては、約5.0インチのフルHD対応WhiteMagic液晶ディスプレイ、1/2.3型CMOSイメージセンサー「Exmor RS for mobile」による2070万画素カメラ、クアルコム製クアッドコアMSM8974AB/2.3GHz、2GB RAM/32GB ROMなど、フラッグシップモデルらしく、今夏のモデルではトップクラスに位置付けられる。もちろん、防水、フルセグ/ワンセグ、おサイフケータイ/NFC、赤外線通信、急速充電など、日本仕様についてもすべてサポートされた『全部入り仕様』を満たしており、幅広いユーザーの高い要求に十分に応えてくれる一台と言えそうだ。

ホールド感の良さとアクセントのあるボディデザイン

 現在、国内外で販売されているスマートフォンは大型ディスプレイを搭載し、スレート(板)型のボディを採用しているため、ボディデザインがどうしても似通ってしまう傾向にある。ただ、日本市場はケータイ時代の影響もあり、海外に比べると、比較的、豊富なカラーバリエーションがラインアップされており、カラーの使い方も単純な色合いではなく、質感の高いカラーが採用されている。

 今回のARROWS NX F-05Fも同様で、レッド、ゴールド、ホワイトの3色がラインアップされているが、ボディ形状も含め、他機種にはないARROWS NXならではの個性をしっかりと打ち出している。ボディ形状は従来のARROWS NX F-01Fの流れを継承し、側面から背面にかけて、緩やかな曲線で仕上げられているが、従来モデルと違い、カラーごとに異なる樹脂の側面パーツを採用するなど、非常に凝ったデザインでまとめられている。下面側も少し角が落とされ、手にフィットしやすい形状となっている。

 背面については、耐久性を考慮し、傷が付きにくいハイパーダイヤモンドタフコートで仕上げている。実際にどの程度の耐久性があるかは、長期間利用してみるしかないが、富士通によれば、2011年冬モデルとして販売された「ARROWS X LTE F-05D」と比較して、約5倍の耐久性を持っているという。背面については、従来のARROWS NX F-01Fがつるんとした光沢仕上げだったのに対し、今回はほぼ同じ形状ながら、わずかに光沢感を残したマット調に仕上げており、指紋などが比較的、目立ちにくくなっている。

 本体の左側面には音量キーと電源キー、背面にはボタン式の指紋センサー、カメラ、背面下側の角にはストラップ用の穴、下面にはキャップレス防水のmicroUSB外部接続端子、上面には3.5φステレオイヤホン端子と放送波受信のためのホイップアンテナ、キャップ付きmicroSIMカード/microSDメモリーカードスロットが備えられる。

従来のARROWS NX F-01F(左)との比較。ARROWS NX F-05FのRedは前面のフチにもカラーが見える構造を採用
従来のARROWS NX F-01F(左)との背面の比較。ARROWS NX F-05FのRedは背面がマット仕上げなので、指紋があまり目立たない
従来のARROWS NX F-01F(下)との側面の比較。厚みはほとんど変わらないが、ARROWS NX F-05Fは側面にカーボンのパーツがあしらわれ、デザイン上のアクセントになっている
従来のARROWS NX F-01F(右)との下面の比較。側面同様、ARROWS NX F-05Fはカーボンパーツで面が構成されている。ストラップ穴の位置は背面左に移動
背面には2070万画素カメラとボタン式指紋センサーを搭載。カメラモジュールが大きくなったためか、従来モデルよりもレンズ部が目立つ
下面にはmicroUSB外部接続端子を装備。キャップレス防水なので、そのままケーブルを接続できる
フルセグ/ワンセグ/NOTTVチューナーを搭載。アンテナは内蔵式なので、外部接続のケーブルを持ち歩く必要はない
上面のキャップを開けると、microSIMカードとmicroSDメモリーカードのスロットがある。キャップ開口部内のすぐ右隣の黒い部分が赤外線通信ポートで、利用時はキャップを開ける必要がある

 ディスプレイはR(赤)、G(緑)、B(青)の三原色に加え、W(白)の画素を組み合わせた「WhiteMagic」による約5.0インチのフルHD液晶を採用する。WhiteMagicについては、従来モデルでも採用されていたが、ARROWS NX F-05Fには最大輝度が1000cd(カンデラ)まで向上した新パネルを採用する。この新パネルは一般的なTFTカラー液晶に比べ、同じ明るさでは、消費電力を最大約50%に抑えるなど、省電力性能にも優れている。最大輝度で他機種と比べてみると、非常に明るいため、同じ明るさに設定すれば、グッと消費電力を抑えることが可能だ。従来のARROWS NX F-01Fに採用されていたWhiteMagicディスプレイは、他のディスプレイに比べ、屋外の直射日光の下や快晴時の視認性に優れていたが、その良さはしっかりと継承されており、これからのシーズン、屋外で利用するときなどにも威力を発揮してくれるはずだ。

富士通独自の省電力機能「NX!エコ」を搭載。電池残量やタイマーによる起動が可能

 バッテリーは3200mAhで、本体に内蔵する固定式を採用する。NTTドコモが今回の夏モデルから展開する「急速充電2」に対応しており、別売のACアダプタ05を利用することで、充電を促すメッセージが表示されてから約10分の充電で約1日分に相当する充電が可能だ。市販のACアダプタにもタブレット向けなどを中心に高出力対応のものが増えてきており、こうしたものでも同じように短時間で充電できる。うっかり充電し忘れたようなときでも朝の出かける準備の時間やお昼間の空き時間などに、すぐに充電できるのは非常に心強い。ちなみに、省電力については、従来モデルに引き続き、富士通独自の「NX!エコ」が搭載されており、指定した電池残量や時間帯などによって、エコモードを起動できるようにしている。もちろん、ユーザー自身の好みに合わせて、設定を変更することも可能だ。

史上最高クラスの日本語入力システム「Super ATOK ULTIAS」

 今回のARROWS NX F-05Fで、もっとも注目すべき機能と言えば、ジャストシステムと共同で開発された日本語入力システム「Super ATOK ULTIAS」だろう。ATOKについてはパソコン向けの日本語入力システムをはじめ、ケータイ用などにも採用され、Androidスマートフォン向けにも供給されているため、おそらく多くのユーザーがそのブランドネームを知っているだろう。かく言う筆者もパソコン時代から長らく「ATOK」を愛用してきており、その正確かつ的確な日本語入力環境は、原稿を書くうえで欠かせないものとなっている。

 今回のARROWS NX F-05Fに搭載された「Super ATOK ULTIAS」は、ジャストシステムの「ATOK」をベースに、ソフトウェアの部分だけでなく、タッチパネルの反応なども含め、トータルで文字入力をするためのチューニングが施されており、それが「スマートフォン史上最高レベルの日本語入力システム」というコピーの裏付けとなっている。

 ただ、パソコンで原稿を書いたり、ビジネス文書を作成するならともかく、たかがスマートフォンを使う上で、日本語入力システムがそんなに重要なのかと考える向きがあるかもしれない。しかし、メールをはじめ、TwitterやLINE、FacebookといったSNSでのコミュニケーション、ブラウザや地図など、さまざまなアプリでの検索キーワードの入力、連絡先やカレンダーへの情報入力など、スマートフォンでは実にさまざまなシーンにおいて、文字を入力する。Googleでの検索のように、多少間違った言葉を入力しても検索できてしまうようなケースはあるが、人と人とのコミュニケーションにおいては、適切な日本語が使えないと、相手にきちんと意図が伝わらなくなってしまう。使う人によって、解釈はさまざまかもしれないが、個人的に日本語入力環境は日本語を使うユーザーにとって、もっとも重要なソフトウェアであり、いかに快適に文字を入力できるかで、スマートフォンを使う快適性も大きく左右されると見ている。

Super ATOK ULTIASの機能設定画面。アプリ一覧からもすぐに起動できる
「さんばんちょう」と入力し、変換すると、そのまま変換するだけでなく、全国の三番町の住所が候補に表示される
「予定が」に続く候補には「遅れる」などがあるのに対し、「予定を」に続く候補は「立てる」「早める」などが表示される
濁音の入力を忘れたり、拗音の入力ミスでも予測変換の候補が表示される

 では、具体的にどのようなことが優れているのだろうか。元々、ATOKが持っている日本語の解析能力の高さはパソコン向けの環境でも知られているが、いくつか例を挙げてみよう。まず、現在の多くの日本語入力では予測変換が標準的な機能としてサポートされているが、「Super ATOK ULTIAS」は、文脈や単語に合わせ、的確な変換候補が表示される。たとえば、「予定が」と入力すると、「遅れる」や「ある」が候補に表示されるが、「予定を」と入力すると、「立てる」や「早める」といった候補が表示される。また、スマートフォンではフリック入力のミスから、読みの入力を間違えてしまうことがあるが、「電車」と入力したいのに、濁点を付け忘れて「てんしゃ」と入力してしまっても変換できたり、「りようかい」で「了解」、「かいたき」で「快適」に変換することができる。日本語としての正しさもきちんと認識されており、ら抜き言葉で「たべれる」と入力すると、「食べられる」にハイライトが付いた状態で候補が表示される。

 標準アプリに限定されるが、アプリごとに適切な予測変換候補が表示されるのも便利だ。たとえば、地図では地名、メールでは話し言葉、連絡先(ドコモ電話帳)では人名が優先される。日本語から英語への変換、カタカナからの英語変換も可能で、辞書アプリなどを利用しなくてもすぐにスペルなどを確認することができる。町名や郵便番号からの住所の入力も可能で、「さんばんちょう」と入力すると、「福島県白河市三番町」からインプレスのある「東京都千代田区三番町」、南は「愛媛県松山市三番町」まで、全国の三番町が候補に表示される。地名の検索やオンラインショッピングの住所入力などにも便利だ。

 そして、これはパソコン版でも非常に重宝している機能だが、そのときの旬の言葉を自動的に無料でダウンロードして更新できる「キーワードExpress」という機能がサポートされている。スポーツ、ビジネストレンド、ホットキーワード、エンタメ・カルチャーなど、複数のジャンルが用意されており、それぞれのジャンルの最旬の単語が辞書に取り込まれ、文字入力時に利用できるようになる。この他にも方言辞書をはじめ、難しい言葉の変換などをサポートしており、スマートフォンでありながら、パソコンの文字入力環境に迫るほどの環境を実現している。

「ら抜き」言葉など、正しくない日本語についても補正された変換候補が表示される
パソコン版ATOKでもおなじみのExpressキーワードはスポーツやビジネストレンドなど、各ジャンルの新しい用語が辞書に追加される

 豊富な機能で快適な日本語入力環境を実現する「Super ATOK ULTIAS」だが、ATOKそのものはソフトウェアであり、Androidプラットフォーム向けにも個別に供給されているため、他機種でも同様の環境を実現できそうな印象がある。しかし、ソフトウェアを追加しただけでは同じ環境にはならない。それが前述のタッチパネルのチューニングだ。富士通は従来からタッチパネルのサクサク感をかなり積極的に取り組んできたが、今回の「プレミアムサクサクタッチパネル」ではタッチパネル駆動ICにDSP(デジタルシグナルプロセッサ)を組み合わせることで、電気ノイズを大幅に低減し、画面に指が触れたときの位置を正確に検出し、誤入力を軽減している。富士通の関係者によれば、タッチパネルの部品については、他社よりもひとつ新しい世代のものを採用し、独自のチューニングをしているため、従来モデルや他機種に「Super ATOK ULTIAS」や「ATOK」を搭載しても同じような利用環境にはならないはずだという。実際の使用感については、まだ利用時間が短いため、簡単に評価できない面もあるが、レスポンスの良さと誤入力の少なさは他機種に比べて、アドバンテージがあるという印象だ。たとえば、5インチ以上のディスプレイを搭載した機種を利用したとき、フリック入力で「い」や「つ」の入力で誤入力してしまうことが多かったが、ARROWS NX F-05Fではその頻度が格段に下がり、快適に入力できている。

他機種のソフトウェアキーボードのキー配列を再現することが可能。STYLE-XPはXperia、STYLE-GAはGALAXY、STYLE-AQはAQUOS。このほかに、iPhoneやELUGAのキーも用意されている

 また、文字入力は機種ごとに画面に表示されるソフトウェアキーボード(キーパレット)のレイアウトが少しずつ違い、機種変更するときの妨げになるケースもあるが、ARROWS NX F-05Fでは他のスマートフォンやケータイに似せたソフトウェアキーボードに変更できるようにしている。機種変更を検討しているユーザーにとっては、うれしい配慮と言えるだろう。

エンターテインメントから実用まで機能充実

 日本語入力はスマートフォンを使う上での根幹になる部分だが、それ以外の要素はどうなっているのだろうか。

 まず、カメラは前述の通り、2070万画素の1/2.3型CMOSイメージセンサー「Exmor RS for mobile」を採用し、これに富士通独自の画像処理エンジン「GRANVU」、従来よりも明るい5群5枚の薄型高性能レンズを組み合わせたものを背面に搭載する。ちなみに、富士通は市販のデジタルカメラで採用されている画像処理エンジンのチップを製造しており、そのノウハウがGRANVUにも活かされているという。

 撮影時の機能などは比較的シンプルな印象で、どちらかと言えば、カメラ任せで撮影するという印象だ。ただ、富士通らしくヒューマンセントリックエンジンを活かしており、レンズが上を向いているときは遠景にフォーカスし、レンズが下を向いているときは食事などを撮ることを考慮し、近くに合わせてフォーカスをする「クイックフォーカス」が搭載されている。明暗差の激しいところでの撮影に適した「HDR」、連写がしやすい「シャッターボタン長押し連写」など、従来モデルで好評を得ていた機能は継承されている。新しいところでは、静止画でフラッシュを発光するときの青みを軽減する「暖色フラッシュ」、真っ暗なところでも背面のLEDを点灯したまま撮影できる「トーチ」、ホーム画面に設定できる「カメラウィジェット」などが搭載されている。

 また、富士通製端末がお得意とする音声サポート機能も充実している。騒がしいところでも聞きやすい「スーパーはっきりボイス4」、年齢に合わせて最適な音質補正をする「あわせるボイス2」、周囲の騒音を検知して、こちらの音を明瞭に相手に伝える「スーパーダブルマイク」などが継承されており、NTTドコモが今夏からスタートさせる予定の「VoLTE」にも対応する予定だ。

 そして、本体背面には従来モデルに引き続き、ボタン式のスマート指紋センサーが搭載されている。画面ONからロック解除までの操作を端末を持ち替えることなく操作できるもので、これに慣れてくると、パターンやPIN入力でのロック解除などが面倒になってしまうくらい快適だ。最近、他製品での指紋センサーを搭載するスマートフォンが増えているが、やはり、ユーザーが端末を操作するときの流れがもっともスムーズであり、サポートされている機能の実用性なども含めると、ARROWS NX F-05Fに一日の長があると言えるだろう。

 なかでもNTTドコモのメールサービス「ドコモメール」が出荷時から提供されるようになったこともあり、今回のARROWS NX F-05Fでは富士通独自の「NX!メール」でドコモメールの送受信ができるようになり、富士通製ケータイで絶大な人気を得ていたプライバシーモードもほぼ完全に再現されることになった。プライバシーモードについては、改めて詳しく説明するまでもないが、指定した人物からの新着メールや不在着信を第三者に知られないようにするものだ。ただ、そのままではユーザー自身も気付かないため、富士通製ケータイでは、電池アイコンの表示切り替えでわかるようにしていたが、これを今回のARROWS NX F-05Fで再現している。プライバシーモードが利用できるのは「NX!メール」や「NX!電話帳」といったプライバシーモード対応アプリに限られるが、LINEについても新着通知を非表示する設定が可能だ。ちなみに、「NX!メール」と「NX!電話帳」については、購入後、ショートカットからダウンロードして、設定やデータをコンバートする必要がある。

 この他にも内蔵の伸縮式アンテナで安定した視聴が可能なフルセグ/ワンセグ、迫力あるサウンドが楽しめるDolby Audio、スマートフォンの画面をテレビに映し出せるMiracastなど、エンターテインメント機能なども充実しており、思う存分に楽しむことができる。

フィットするボディと快適な日本語入力はスマートフォンを楽しくする

 スマートフォン選びのポイントにはいろいろなものがあるが、これまではどちらかと言えば、ハードウェアのスペックや数値ばかりが重視されてきた傾向が強かった。スマートフォンが急速に進化を遂げる時期においては、それも大切な評価軸の一つだったが、現在はプラットフォームがある程度、成熟し、ハードウェアの進化のスピードも少し落ち着きつつあるというのが実状だ。

 こうした状況下において、ユーザーがスマートフォンの何に着目すればいいのか。確かに、デザインやブランドもひとつの注目点かもしれないが、「スマートフォンを使う」という点においては、実は日本語入力環境ほど、大切なものはないはずだ。メールやSNSなどのメッセージ、検索ワード、情報入力など、スマートフォンのあらゆる利用シーンに関わる重要な機能だ。今回のARROWS NX F-05Fは、ジャストシステムとの共同開発による「Super ATOK ULTIAS」を搭載し、今までのスマートフォンとは一線を画した快適な日本語入力環境を提案している。もちろん、日本語入力環境がすべてというわけではないが、このアプローチは日本のユーザーにとって、もっと重視すべき項目であり、そこに手を入れようとしてきた富士通の取り組みは評価できるだろう。実際の利用でもストレスなく、日本語を入力できており、タッチパネルのレスポンスや的確性などとも相まって、快適にスマートフォンを利用できているというのが率直な印象だ。

 これに加え、本稿ではあまり触れられなかったが、富士通のヒューマンセントリックエンジンを活かしたオリジナルの機能も充実しており、スマートフォンがはじめてのユーザーだけでなく、これまで他機種を利用してきたユーザーの乗り換え用としてもかなりおすすめできるレベルに仕上がっていると言えるだろう。ぜひ、店頭のデモ機などで、Super ATOK ULTIASの快適な日本語入力環境を中心に、ハイスペックかつ安定したARROWS NX F-05Fを体験してみて欲しい。

法林岳之

1963年神奈川県出身。携帯電話をはじめ、パソコン関連の解説記事や製品試用レポートなどを執筆。「できるWindows 8.1」「できるポケット docomo AQUOS PHONE ZETA SH-06E スマートに使いこなす基本&活用ワザ 150」「できるポケット+ GALAXY Note 3 SC-01F」「できるポケット docomo iPhone 5s/5c 基本&活用ワザ 完全ガイド」「できるポケット au iPhone 5s/5c 基本&活用ワザ 完全ガイド」「できるポケット+ G2 L-01F」(インプレスジャパン)など、著書も多数。ホームページはこちらImpress Watch Videoで「法林岳之のケータイしようぜ!!」も配信中。