法林岳之の「週刊モバイルCATCH UP」

au限定「OPPO Find X2 Pro OPG01」が魅せる美しいデザインと高性能カメラ

 2020年3月に各社がスタートさせた5Gサービスは、コロナ禍の影響もあり、今ひとつ盛り上がりに欠ける状況が続いているが、各社の端末ラインアップには新しい顔ぶれが次々と登場している。

 そのひとつがこれまでオープン市場向けを中心にスマートフォンを展開してきたOPPOがau向けに供給するフラッグシップモデル「OPPO Find X2 Pro OPG01」だ。実機を試すことができたので、その内容をチェックしてみよう。

au/OPPO「OPPO Find X2 Pro OPG01」、約165.2mm(高さ)×74.4mm(幅)×8.8mm(厚さ/ブラック)、9.5mm(厚さ/オレンジ)、約217g(重量/ブラック)、200g(重さ/オレンジ)、ブラック(写真)、オレンジをラインアップ

オープン市場からキャリア市場へ

 スマートフォン時代に入り、すでに10年以上が経過しているが、現在、本誌に掲載中の「ケータイ Watch 20周年企画」を振り返ってみると、国内で購入できる端末のメーカーの顔ぶれも随分と変わってしまった。

 元々、日本市場は欧州を中心とした地域と市場の構成が異なるため、端末メーカーの顔ぶれが随分と違うと言われていた。

 たとえば、国内では第二世代や第三世代の途中までNECやパナソニックなどが強かったのに対し、グローバルではノキアやエリクソン(端末事業はソニー・エリクソンを経て、現在のソニーに承継)、モトローラがトップシェアを争っていた。

 こうした違いは国内市場のほぼすべてがキャリア販売のみだったの対し、欧州はある程度、強いキャリア市場に加え、オープン市場も広く存在したためだ。

 その後、スマートフォン時代に入り、国内でもここ数年でSIMフリー端末を展開するオープン市場が拡がってきたと言われるが、それでも市場規模は10倍以上だとも言われている。

 そのため、端末メーカーが国内市場で戦って行くには、SIMフリー端末だけでなく、キャリアでの取り扱いが必須とされる。

 しかし、かつてほどの厳しさはないものの、国内の各携帯電話会社で取り扱ってもらうには、十分な実績と信頼性が求められ、修理などのサポートも含め、かなりの体制作りが必要とされる。

 よくネット上で「○○は海外で売れてるから、ドコモやauも売ればいいのに……」といった発言を見かけるが、「持ってきたら、売れる」というような簡単な話ではなく、国内市場に合った取り組みがなければ、生き残ることはできない。

 そんな厳しい国内のモバイル市場において、ここ数年、オープン市場向けで実績を積み重ね、いよいよ5Gスマートフォンでキャリア向け市場に参入するのが中国のOPPOだ。本連載でも「OPPO Reno A」をはじめ、数多くの端末を取り上げてきたが、国内市場で戦う体制を整え、いよいよ各キャリア向けの端末として、国内市場での戦いに挑む構えだ。

 今回、au向けに発売された「OPPO Find X2 Pro OPG01」は、OPPOが今年3月にグローバル向けに発表したフラッグシップ「OPPO Find X2」シリーズの最上位モデルになる。

 本来であれば、今年2月下旬に開催されるはずだったMWC20 Barcelonaでお披露目される予定だったが、MWC20 Barcelonaの開催中止に伴い、3月にオンラインイベントで発表された。

 その後、auの5Gサービスの発表時にauでの取り扱いが発表され、7月22日に発売されたという流れになる。ちなみに、OPPOとしては7月30日にソフトバンクから発売される「OPPO Reno3 5G」と共に、初のキャリア向けモデルという扱いになるが、同じKDDIグループのUQモバイルは2018年11月に「OPPO R17 Neo」を扱っており、早くから両社が連携していたことをうかがわせる。

 また、OPPOのラインアップでは、OPPO Find Xシリーズがフラッグシップに位置付けられており、初代モデルの「OPPO Find X」は世界初のスライド式ステルス3Dカメラで話題となった。今回のモデルはこうしたギミックもなく、スタンダードなデザインのモデルとなっている。ちなみに、OPPO Find X2 Proはau独占のモデルとなるため、オープン市場向けには同製品は供給されない。グローバル向けで同時に発表された「OPPO Find X2」はあるかもしれないが……。

 価格についてはau Onlineshopで「9万2040円」に設定されており、かえトクプログラム利用時の実質負担額は5万5200円(2400円×23回)となっている。5G対応スマートフォンは全体的に価格が高めのモデルが多いが、9万円台という価格は4G対応端末と同じか、それ以下となっており、ユーザーとしても、比較的、手を出しやすい設定と言えそうだ。

カラーで異なるボディサイズ

 さて、外観からチェックしてみよう。今回、au向けに供給される「OPPO Find X2 Pro OPG01」は、ブラックとオレンジの2色展開となっているが、それぞれに背面の素材が違うため、手に持った印象もサイズも異なっている。

ブラックは背面がガラス仕上げ。オレンジはヴィーガンレザー仕上げになる

 今回、筆者が試用したのはブラックで、オレンジについては発表時のタッチ&トライ、Impress Watch Video「法林岳之のケータイしようぜ!!/#584」の収録時に触ったのみだが、ブラックが光沢感のあるガラス仕上げであるのに対し、オレンジは柔らかな触感のヴィーガンレザー仕上げとなっている。

右側面は電源キーのみを備える。カメラ部は突起しているため、カバーの装着がおすすめ
左側面は分割式の音量キーを装備

 しかもカラーごとにフレームなどのパーツも個別の色が採用されており、非常に凝った仕上げとなっている。背面の素材の違いもあり、ボディサイズの内、厚みと重量はカラーごとに違っており、厚みはオレンジが0.7mm厚く、重さはブラックが17g重くなっている。パッケージにはクリアタイプのカバーが同梱される。IPX8準拠の防水、IP6X準拠の防塵にも対応しており、安心して使うことができる。

下部にはUSB Type-C外部接続端子を備える。3.5mmイヤホン端子はない。右側にSIMカードトレイが装着されており、トレイ部分にピンを挿して、取り出す。外部接続端子とSIMカードトレイの間の穴に間違ってピンを挿さないように注意したい

 ディスプレイはQHD+(3168×1440ドット)表示が可能な6.7インチの有機ELディスプレイを搭載する。画面左上にインカメラのためのパンチホールが開けられているのみで、ディスプレイが本体前面の93.1%を覆う仕上がりとなっている。表示も解像度が高いだけでなく、細かな色合いを再現する10億色表示、なめらかな表示が可能なリフレッシュレート120Hz、HDR10+対応など、写真や映像の視聴などにも適した美しいディスプレイに仕上げられている。

 ちなみに、120HzのリフレッシュレートはシャープがAQUOS Rシリーズで採用し、最近ではGalaxy S20シリーズなども対応しており、徐々にハイエンドスマートフォンの標準仕様になりつつある。

 ディスプレイのガラスにはCorning製Gorilla Glass6が採用されているが、実使用が可能な保護フィルムが貼られた状態で出荷されているため、前述のクリアタイプの背面カバーと合わせて、購入直後の状態で、ほぼひと通りの保護がされた状態で使いはじめることができる。

画面内指紋センサーを採用。指紋の読み取り時のレスポンスは良好で、認識する率も高い

 ディスプレイ内には指紋認証センサーが内蔵されており、画面ロック解除などに利用できる。インカメラによる顔認証にも対応しており、暗いところでも認証できるように明るさを自動的に補正したり、寝ているときの顔認証を避けるための目を閉じた状態での顔認証制限などの機能も用意される。

顔認証にも対応するが、「目を閉じた状態で顔を認識しない」など、細かい工夫も見られる

 ちなみに、今回試用した端末ではマスクを着けていない状態で顔認証を登録したところ、マスクを着けた状態でもロックを解除することができた。メガネをかけた状態でもロック解除ができたが、メガネとマスクを着けた状態ではロック解除ができなかった。

バッテリーのメニューでは前回のフル充電からの時間、予想される使用可能時間などを表示可能

 バッテリーは4260mAhの大容量バッテリーを内蔵し、OPPO独自の急速充電システム「SuperVOOC2.0」に対応した同梱のACアダプターとUSBケーブルを利用することにより、10分で40%、38分でフル充電が可能としている。しくみとしては2130mAhのバッテリーを直列で搭載し、高出力のACアダプターを接続することで、それぞれに効率良く充電をしている。充電時の発熱についても数多くの温度センサーを内蔵し、端末内の温度に合わせ、充電をコントロールしているという。ワイヤレス充電には対応しない。

同梱のACアダプターとUSBケーブルを使い、SuperVOOC2.0で充電すると、充電アニメーションは専用のものが表示され、右上のバッテリーアイコンの表示もブルーに変わる

 ちなみに、充電の安全性については、ドイツの検証機関「デュフ・ラインランド(TUV Rheinland)」の試験をクリアし、安全に利用できるとしている。OPPOは従来から充電技術の開発に積極的に取り組んできた実績があり、7月に発表した次世代のSuperVOOCでは125Wの専用ACアダプターを利用することで、4000mAhのバッテリーをわずか20分でフル充電できるようにしている。こうした充電関連の機能は、OPPO製端末のアドバンテージのひとつと言えそうだ。

 チップセットは米クアルコム製Snapdragon 865を採用し、12MB RAMと128GB ROMを搭載する。

 microSDメモリーカードなどの外部メモリーには対応していないため、基本的には128GBのストレージ内で、写真や動画、音楽、映像コンテンツなどを保存していくことになる。

 ただ、内蔵カメラで撮影した写真はGoogleフォトなどのクラウドサービスにアップロードできるうえ、音楽や映像などのコンテンツサービスもストリーミングが主流になり、加えて、OPPO Find X2 Pro OPG01は5G対応端末なので、auが提供する料金プラン「データMAX 5G」シリーズを選ぶことで、データ通信量は無制限となるため(テザリングなどは制限あり)、ストレージの容量を気にしなくてもいいという捉え方もできる。機種変更時のデータ移行もクラウド経由などで対応することが可能だ。

本体下部にピンで取出すタイプのSIMトレイを内蔵。メモリーカードは装着できない。au向けのモデルなので、当然のことながら、シングルSIM仕様

独自のカスタマイズや機能も豊富なColorOS

 プラットフォームはAndroid 10ベースのColor OS7.1を搭載する。過去のOPPO製端末の記事でも説明してきたが、OPPOはAndroidプラットフォームに独自のユーザーインターフェイスやカスタマイズを加えたColor OSを搭載している。

ホーム画面とその続きのページ(左にスワイプで表示)にすべてのアプリを表示する仕様が標準

 Androidスマートフォンのホームアプリよりも広い範囲がカスタマイズされ、設定メニューの項目の表記などは異なるが、Google Playでのアプリ配信をはじめ、Googleの各サービスは他のAndroidスマートフォンと同じように利用できる。日本語入力はAndroidプラットフォーム標準の「Gboard」を採用する。

ナビゲーションボタンは一般的な仮想ボタンが2種類から選べ、ジェスチャーによる操作にも対応する
端末の物理的な動きに合わせ、反応を個別に設定できる。本体に耳を近づけて自動で応答するなどの機能も用意される

 Color OSはAndroidプラットフォームと基本的に操作体系が同じだが、独自のカスタマイズや便利機能も充実している。

 たとえば、大画面の特徴を活かし、画面を上下に分けて、複数のアプリを利用する「画面分割」モードをはじめ、よく使う機能やツールなどをすぐに起動できる「スマートサイドバー」、特定の時間はアラームやタイマーを除き、着信音やバイブレーションをオフにする「おやすみモード」、三本指を縦方向にスワイプして撮ることができる「スクリーンショット」など、ユーザーが端末を使っていくうえで、役立つ機能が搭載されている。アイコンの表示もAndroidプラットフォーム標準と少し違うため、他機種からの乗り換えユーザーは少し戸惑うかもしれない。

通知パネルはアイコンやカラーが少し独特のデザイン
アイコンのデザイン(外周部分)もカスタマイズできる
設定メニュー内の[便利ツール]で[スマートサイドバー]の設定が可能
ホーム画面だけでなく、ゲーム以外のアプリを起動中、いつでもサイドバーを表示し、登録したアプリを起動することができる
3本の指で上方向にスワイプすると、画面分割モードを起動できる。スマートサイドバーからアプリをドラッグ&ドロップするなど、他の方法でも起動可能
設定した時間中はアラームとタイマー以外、すべての着信音やバイブレーションをオフにできる「おやすみモード」。特定の相手のみの着信やメッセージを許可することも可能

ペリスコープ構造を含むウルトラビジョンカメラを搭載

 OPPOは中国市場において、ファーウェイやシャオミなどと厳しい競争を戦ってきたこともあり、カメラ機能についてもかなり注力している。今や、どのスマートフォンでも当たり前となったビューティーモードをもっとも早くから手がけ、最新のスマートフォンで各社が注力している高倍率ズームについてもいち早くペリスコープ構造のカメラを搭載し、ユーザーを驚かせてきた。

背面にはトリプルカメラを搭載。もっとも上のカメラがペリスコープ構造のレンズを内蔵した望遠カメラ

 今回のOPPO Find X2 Pro OPG01は、ズームからワイドまで、幅広いシーンで撮影が可能な「ウルトラビジョンカメラ」が搭載される。本体背面には3つのカメラが縦方向に並んで搭載されており、その下にLEDフラッシュが備えられている。

超広角カメラで撮影。やや周囲の光の影響を受けすぎてしまった印象

 本体背面の上部側から順に、1300万画素のイメージセンサーにF3.0のレンズを組み合わせた望遠カメラで、ペリスコープ構造のレンズに光学手ぶれ補正を組み合わせ、10倍のハイブリッドズームと最大60倍のデジタルズームが利用できる。

 3つのカメラの中央に位置するのが4800万画素のソニー製「IMX586」イメージセンサー(1/2インチ)にF2.2のレンズを組み合わせた超広角カメラで、120度のワイドアングルでの撮影に対応する。撮影モードをマクロに切り替えることにより、被写体に3cmまで寄れる接写にも対応する。

1倍で撮影。条件が良くなかったのか、明暗のバランスが今ひとつに見える
2倍で撮影。1倍に比べ、少しバランスが良くなったが、ちょっと明るい部分の解像感が足りない
5倍で撮影。文字もクッキリ読める
10倍で撮影。対象が明るいとは言え、夜間の望遠の撮影で、これだけクッキリ撮れれば、十分

 もっとも本体の中央寄りに搭載されているのが4800万画素のソニー製「IMX689」イメージセンサー(1/1.4インチ)にF1.7のレンズを組み合わせたメインカメラで、光学手ブレ補正も搭載する。全画素による位相差検出を利用した高速なオートフォーカス、暗いところでの撮影に強いウルトラナイトモード3.0、Live HDR動画撮影などに対応しており、動画撮影では3つの録音マイクを使い、風切り音を低減したり、被写体をロックして、指向性を持った録音を可能にするなど、多彩な機能を備える。

夜景を窓越しに撮影。ナイトモードで撮影したため、全体的に明るめに撮影できている
おなじみの薄暗いバーでの撮影。これは背景もしっかりとボケて、非常に美しい仕上がり

 インカメラについては3200万画素のイメージセンサーにF2.4のレンズを組み合わせたものが前面左上のパンチホールに内蔵される。OPPO製スマートフォンではおなじみの補正機能の「A.I.ビューティーモード」をはじめ、暗いところでの撮影に強い「ナイトセルフィー」などの機能も利用できる。

 オープン市場向けの「OPPO Reno3 A」のときにも指摘したが、4800万画素のイメーセンサーをフルに活かした撮影をするには、カメラ起動時に画面右上のメニューをタップし、表示されたメニューで[48 MP]を選ばなければならない。

 通常のカメラモードではシーンがクライト、複数の画素をまとめて撮影するビニングが有効になり、明るく撮影できるが、デジタルカメラ的な設定や操作よりもスマートフォンらしい仕様が優先されているように見える。もっとも撮影した写真については、暗い場所でも非常に美しく撮影でき、スマートフォンのカメラとしては他のライバル機種と並ぶトップクラスの仕上がりと言って、差し支えないだろう。

手を出しやすい価格を実現したフラッグシップモデル

 auに限った話ではないが、国内の5Gサービスはコロナ禍の影響もあり、今ひとつ盛り上がっていない。決算会見でもKDDI代表取締役社長の高橋誠氏も「5Gサービスの出遅れを危惧している」とコメントしていた。auとしては5Gサービス開始に合わせ、さまざまなイベントを仕掛け、「データMAX 5G」シリーズという使い放題の料金プランまで用意し、5G対応端末のラインアップも揃え、かなり5Gサービス開始に気合いを入れていた印象だが、やや肩すかしを食らったと言えるかもしれない。

パッケージにはクリアタイプの背面カバー、SuperVOOC2.0対応のACアダプター(左上)、イヤホンマイク(右上)が同梱。イヤホンマイクの容器内にUSBケーブルも同梱される

 とは言うものの、データ通信が使い放題になる料金プランは、4Gのエリアでも適用されるため、自宅でも外出先でもストレスなく使えるようになり、テレワークやリモートワークが増える状況においても助けになる。5G対応エリアはまだ限られているものの、サービス開始から数カ月が過ぎ、都市部では「あ、ここは5Gでつながってる」と気づくこともある。

 そうなると、次は5G対応端末ということになるが、正直なところ、現時点では4G対応端末と5G対応端末で、できることにそれほど大きな違いはない。

 そのため、ユーザーとしては、4G対応端末と変わらない価格で購入できることがひとつの条件になってくる。

 今回、取り上げた「OPPO Find X2 Pro OPG01」は、au Onlineshopでは9万円台で販売されており、4G対応端末と変わらない負担で購入することができる。

 しかもスペック的には他のフラッグシップモデルにひけを取っておらず、カメラについてはライバルメーカーとトップ争いが可能な性能を持ち合わせている。

 ほかのau 5G対応端末との比較で、マイナスとなるのはおサイフケータイやTVチューナーなどに限られており、これらが気にならないのであれば、多くのユーザーが手を出しやすいモデルに仕上がっていると言えるだろう。