正式版になったAndroid版「Chrome」
先日開催されたイベント「Google I/O」では、「Nexus 7」といったハードウェアだけでなく、Googleが提供するブラウザ「Chrome」にも触れられ、Android版についてはBetaが取れて正式版が発表された。また、Android 4.1以降ではこのChromeがAndroid標準ブラウザになる見込みという。
正式版へのアップデートでは安定性とパフォーマンスに関する修正がメインで、タブレット向けのUIに若干の修正が加わった。大きな機能追加などは無いので使用感はBeta版の頃と大きく変わらないが、今後はAndroidの標準ブラウザになるということで、メインブラウザとしての使い勝手にも改めて注目したいところだ。
個人的に気に入っているのは、リンクが密集している箇所をタップした際に拡大表示され、リンクを押しやすくしてくれる機能だ。画面全体の拡大・縮小が自在に行えるとはいえ、正確にリンクをタップするためだけに拡大する、という手間が省けるので便利だ。
そして、描画性能やタブ管理に加えて、大きな魅力になりつつあるのが同期機能だ。「Firefox」でも同様の機能は提供されているが、Chromeの場合はGoogleアカウントを入力するだけと簡単だ。モバイル端末に限った話ではなくなっているが、今どきのブラウザは、ほかの端末で利用するブラウザといかにデータを同期させるかという機能次第で、使い勝手が大幅に変わる。自宅のデスクトップパソコン、ノートパソコン、会社のパソコン、会社のノートパソコン、スマートフォン、タブレット……と筆者も気がつけばさまざまな端末でブラウザを利用している。パソコンで開いていたタブが、スマートフォンでもすぐに開けるというのは想像以上に便利。というより、これまで別の端末ではアクセスし直すというのが当たり前だったので、タブ一覧でさっきまでパソコンで開いていたタブが表示されていると、拍子抜けしてしまう印象すらある。
筆者は、タブレットとして利用しているモトローラの「XOOM」が早々にAndroid 4.0にバージョンアップできたこともあり、「GALAXY NEXUS」と合わせて、パソコン、スマートフォン、タブレットの3つすべてでChromeを利用できる環境が整っている。また、ChromeはiPhone向けにも提供されているので、同期や共有の便利さはAndroidユーザーだけにとどまらない。
Android 4.0のスマートフォン(GALAXY NEXUS SC-04D)のChromeのタブ表示 | Android 4.0のタブレット(XOOM)で使うChrome。タブ一覧にはスマートフォンで開いているタブが表示されている |
さて、このChromeだが、Android版は仕様の都合上、Android 4.0以上でしか利用できないので、Androidユーザー全体からすれば、体験できている人はまだ少ないだろう。もっとも、例えばドコモは一部の端末をAndroid 4.0にバージョンアップすると案内しているので、遠からずAndroid版Chromeを利用できる環境が整う人は結構いるのではないだろうか。それまでは、パソコンにChromeをインストールして準備を進めおくのもいいかもしれない。