おサイフケータイなスマホ、初期化していいの?
さまざまなアプリを導入できるのはスマートフォンの利点だが、使っているうちになんだかギクシャクした操作感になったり、何らかの処理にもたつくようになったりすることはないだろうか? もちろんマシンスペックによって差はあるだろうが、ソーシャルサービスなど常駐するようなアプリが多ければ多いほど、そうした状況になるのかも、と推測し、普段からそうしたアプリは厳選している。
とはいえ、イライラが募るとつい「いっさいがっさい初期化してしまおうか」という衝動に襲われることがある。しかし「いや、しかしおサイフケータイ機能を使っているし、初期化なんてしたらどうなるんだ?」という不安が防壁となって、初期化の衝動を押しとどめる。ちなみに、ここで言う初期化とは、Androidスマートフォンのデータを全て削除するという手順のこと。設定メニューの「プライバシー」あたりに初期化という項目があるだろう。
では、万が一、初期化しようとした場合はどうなるのか。各サービスのWebサイトを見ても、そんな事態への答えは見つからない。ただしおサイフケータイの仕組み上、FeliCaの領域は、携帯電話側と切り離されており、端末を初期化してもおサイフケータイとしてのFeliCa内のデータは残る、とも考えられる。実際、KDDIではそのように案内しているそうだし、ドコモの「iD」は初期化しても、かざして決済という使い方はできるとのこと。ちなみに、初期化で「iD」のアプリが削除されたままでは、機種変更手続きや新カードの追加などができないため、Androidマーケットでアプリを再ダウンロード、ということになる。
またモバイルSuicaの場合、FAQなどでは案内がないものの、サポートセンターでは「機種変更と同じ手続きをする」と案内。どちらかと言えば、より安全な方策を案内することで、不慮の事態を避けるという狙いがあるように思えるが、実際データがどうなるかわからないので、そのアドバイスに従いたい。また電子マネーの「Edy」では機種変更の手続きを案内しつつも、初期化云々ということに関して案内はないようだ。そういえばEdyは機種変更の電子マネー移行が有料ということもあり、事前に使いきってしまったほうがいいかも。
「わざわざ初期化なんて」と思われるかもしれない。確かにおサイフケータイ対応のAndroidスマートフォンでの初期化を頻繁に行うのはちょっと考えにくいし、個人的にはなかなか面倒に思う。先日の国民生活センターの報告でも指摘された通り、スマートフォンで何らかのトラブルがあった場合、その原因を判別するのは難しく、再起動などで手短に解決できなければ、初期化が役に立つ場面があるかもしれない。iPhoneでも初期化・復元といった手順でトラブルから抜け出した、という話はよく聞く。だが、やっぱりおサイフケータイなスマートフォンで初期化、というのは万人に勧められる手段ではないように思える。
初期化を避けるためには、利用するアプリを厳選してむやみやたらに導入せず、より安定した環境の保持を心掛けるのが一番いいのかもしれない――が、なんだかスマートフォンのメリットが1つ失われたような気分だ。