POBox TouchとATOKと

2011年11月7日 06:00
(日沼諭史)

 ソニー・エリクソンの端末で文字入力時に使えるソフトウェア「POBox」。同社のフィーチャーフォンから伝統的に搭載され、早い時期から予測変換やユーザー辞書など当時としては比較的斬新で独自性の高い機能を備えており、常に機能アップが図られてきました。

 Xperia acroでは、そのスマートフォン版である「POBox Touch」が搭載されており、フィーチャーフォン版と同様に予測変換など多数の機能を備えていますが、中でも個人的に気に入っているのは、他の文字入力アプリにはあまり見られない、入力ミスをできるだけ減らすためのカスタマイズ機能です。

 実は筆者は、タッチスクリーンのキーボードにいまだに慣れません。5文字くらい入力しては途中の入力ミスに気づき、直してはまた5文字ごとに1文字直す。その繰り返しで入力ミスが絶えず、短いメールですら送信し終わるまで本当に時間がかかります。人並みよりはやや大きい手と、少し太い指、そしてたぶん指先の不器用さが原因と思われます。また、頑なに一つのキー面積の小さいQWERTYキーボードに固執していることも原因の一つ。ケータイよりもPCの方がはるかに使用歴が長いので、QWERTYキーボードからなかなか離れがたいのです。

 そんな筆者には、「POBox Touch」のカスタマイズ機能がとても頼もしいのです。たとえば「アシストキーボード選択」では、母音キーのみ少し大きめにする「ワイド」や、母音キーを大きくしつつ次に入力するであろう文字を予測して適切なキーのみ押せるようにする「ハイライト」、母音キーをさらに大きくしてハイライトも行う「ダイナミック」という3つのモードを選べます。そして「表示キー選択」では、通常日本語入力時には使うことの少ない「Q」や「X」といったキーを表示させないことで、そのぶん他のキーのスペースを大きくできます。

入力ミスが頻発する悪い指「ダイナミック」で「Q・X・アンダースコア」を表示にして使用

 まさに筆者のような不器用な人のためにあるような機能。当然のごとく「ダイナミック」で、可能な限り「表示キー」を減らし、これによって入力ミスが激減。しかし、それでも時々、筆者の指先は頑として狙ったキーのわずか横を狙いすまします。一度「POBox Touch」を離れ別の文字入力アプリを試してみるのはどうかと思い、「ATOK」をインストールしてみました。PC版のIMEとして実績のあるジャストシステムの製品だけに、軽快な動作や高い変換精度は魅力的でしたが、残念ながらQWERTYキーボードには「POBox Touch」ほどのカスタマイズ性はありません。「ATOK」はQWERTYキーボード入力よりも、どちらかというと独自性の高いフリック入力の操作性に慣れれば使いやすくなりそうな印象でした。

「ATOK」の独特なフリック入力インターフェイスは使いやすそう残念ながら「ATOK」のQWERTYキーボードはわたしに合ったカスタマイズ機能は少ない

 ただ、諸悪の根源はデカくて不器用な筆者の指ですので、いっそのこと指先での操作を諦め、タッチスクリーン対応のスタイラスを試してみたいと考えることもしばしば。スタイラスを使っているシーンを想像すると、10年ほど前に使っていたPDA端末「Palm」を思い起こさせてノスタルジックな気分になってしまいそうですが、使い心地が気になるところです。