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QRコードでJRに乗車してきた! JR四国のアプリ「スマえき」で切符購入~乗車まで

 JR四国は、4月1日より専用アプリを利用して事前にきっぷを購入し、画面に表示したQRコードで乗車できるサービスを開始したので、実際に試してきた。

専用アプリ「スマえき」で切符の購入から乗車までが可能に

 JR旅客会社全6社のうち、唯一独自で交通系ICカードサービスを展開していないJR四国。現在は香川県内の一部駅でJR西日本のICOCAを利用した乗車が可能だが、導入コストの高さなどもあって、より多くの駅への導入は難しいようだ。

 そういった中、JR四国が開始したのが、スマホアプリ「しこくスマートえきちゃん(スマえき)」とQRコードを利用したきっぷ販売と乗車のサービスだ。

 スマえき自体は、2022年11月28日より利用が開始されている。

 当初は特定区間の特急乗車券やお得なきっぷ(いわゆるトクトクきっぷ)を購入し利用できるだけだったが、2023年4月1日よりアップデートされ、「普通乗車券」や「自由席特急券」、「定期乗車券」などのきっぷをアプリから購入し利用可能となった。それも、児島駅以外のJR四国管内の駅および土佐くろしお鉄道会社線の駅にまたがる任意区間のきっぷを購入し利用できるようになった。

 同時に、高松駅と高知駅に、スマえきで購入したきっぷのQRコードを読み取って通過できる、QRコードリーダーを備える「スマえき専用改札機」も設置された。つまり、JR四国はアプリできっぷを買い、QRコードで列車に乗車できるのだ。

JR四国のスマホアプリ「しこくスマートえきちゃん」。4月1日のアップデートで、JR四国管内の任意駅間の普通乗車券などが購入可能となった
高松駅と高知駅にQRコードリーダーを備える「スマえき専用改札機」を設置。こちらは高松駅のスマえき専用改札機で、2列用意している
既存の交通系ICカード専用自動改札機にQRコードリーダーを追加して対応

使い方はそれほど難しくないがクレカが必須

切符をアプリで購入する

 スマえきでのきっぷの買い方は、特に難しいことはない。

 スマえきを起動してきっぷ購入メニューに進み、乗車駅と下車駅、利用日時、利用人数を指定。そして、経路や運賃などを確認したうえで、あらかじめ登録しておいた決済手段で決済するだけだ。

 利用日時は操作している当日が、利用人数は大人1人があらかじめ入力済みとなっているので、乗車直前に自分だけのきっぷを購入するのであれば乗車駅と下車駅を指定するだけでいい。よく利用する駅は「マイ駅」に登録しておけば、そこから乗下車駅を簡単に選択できるので便利だ。

スマえきを起動して「チケット購入へ」をタップ
きっぷの種類、利用区間の上下車駅、利用日、利用人数などを登録。自分1人で当日利用する場合であれば、利用駅のみの登録だけでいい
あらかじめ「マイ駅」によく利用する駅を登録しておけば、そこから選択するだけでよく便利
利用区間や利用日、人数、経路、金額などを確認し「経路を選択」ボタンをタップ
「購入」ボタンをタップすると、あらかじめ登録した決済手段で決済され、きっぷの購入が完了する

アプリで乗車

 購入したきっぷを使う時は、購入済みのきっぷを選んで「利用開始」ボタンをタップ。すると背景がブルーに変わって使用中に切り替わり、きっぷの利用が可能となる。この状態で、駅改札のスマえき専用改札機のQRコードリーダーにかざすか、駅員に画面を見せて入退場する。無人駅からの乗車の場合には、列車の乗務員に画面を見せることになる。

 今回は、高松駅から栗林駅までの区間でスマえきで購入したきっぷを使って列車に乗車してみた。

 高松駅にはスマえき専用改札機がある。もともと設置されていた2列の自動改札機にQRコードリーダーを追加することで対応している。

 購入したきっぷを利用開始にし、画面に表示されるQRコードを自動改札機のQRコードリーダーにかざす。QRコードが読み取られると効果音が鳴って正常に読み取ったことが通知され、改札を通過できる。

 QRコードを読み取る時間は、交通系ICカードと比べるとやや時間がかかる印象だが、感覚的には1秒未満で、特に遅いという印象はなかった。改札を通過したあとは、通常どおりに列車に乗車すればいい。

スマえきのホーム画面に表示される購入済みきっぷの中から使う切符をタップ
きっぷの画面に切り替わったら、QRコード右の「利用開始」ボタンをタップ
きっぷ画面の背景がブルーに変わったら使用中となる
利用開始にしたきっぷのQRコードをスマえき専用改札機のQRコードリーダーにかざして入場。専用改札機のない駅では、駅係員か乗車した列車の乗務員に画面を見せる

アプリで下車する

 次に下車時だ。

 栗林駅には自動改札機はなく、時間帯によって駅係員が改札できっぷの確認や回収の対応を行っている。今回の利用時は駅係員が対応する時間帯だったので、出場時にスマえきのきっぷの画面を係員に見せて通過した。

 高松駅のようにスマえき専用改札機のある駅では、自動改札機のQRコードリーダーにかざして出場すればよく、無人駅で下車する場合には列車乗務員に画面を見せて下車することになる。

 その後、通過後にはきっぷに表示されている「使用終了」ボタンをタップして、きっぷの使用を完了させると使用終了となる。

栗林駅では駅係員にスマえきのきっぷ画面を見せて出場。無人駅では列車乗務員に画面を見せることになる
出場後にQRコード右の「使用終了」ボタンをタップしてきっぷの使用を終了する

 このように、QRコードきっぷの使い勝手自体はそれほど難しくはない。とはいえ、事前のきっぷ購入手続きやきっぷの画面を表示させたり、使用開始、試用終了ボタンをタップするといった操作が必要となるため、カードやスマホをタッチするだけでいい交通系ICカードに比べると面倒だ。

 また、決済手段としては、VISA、Mastercard、JCB、AMEXなど対応するブランドのクレジットカード、デビットカード、プリペイドカードが必須となる。そのため、利用のハードルもやや高い。

スマえきできっぷを購入するには対応するクレジットカード、デビットカード、プリペイドカードが必須なため、利用のハードルはやや高い

 JR四国としては、本来なら交通系ICカードを導入したいはずで、そういう意味では苦肉の策だったのかもしれない。それでも、スマホだけできっぷの購入から使用まで行えるのは、駅などでのきっぷ購入の手間を省けるし、なにより交通系ICカードに対応していない駅でもキャッシュレスで上下車できるわけで、それ自体はかなり便利だ。

 少なくとも、普段からほとんど現金を持ち歩かない筆者にとって、非常にありがたいサービスであることは間違いなく、今後頻繁に使うことになりそうだ。