みんなのケータイ
ライブ変換やショートカット操作でiPadのテキスト入力が快適になってきた
【Smart Keyboard Folio】
2020年7月10日 06:00
今春モデルの11インチiPad Proについて、前回のみんなのケータイでは「Magic Keyboardがあまりにも重たいので、持ち歩きのためにSmart Keyboard Folioも買い足すべきかな」と書いたが、結局買い足した。軽いキーボードがないという理由で最新のiPadを持ち歩けないというのが悔しかったからだ。
手持ちのキッチンスケールで計測すると、Magic Keyboardが約600gに対し、Smart Keyboard Folioが約302gだった。11インチiPad Proが約484gなので、合わせたときの重量は約1084gと約786g、だいたい3割くらい軽くなる。300gというと飲みかけのペットボトルくらいの重さなので、カバンが軽いときは体感できる重量差だ言える。
もっと荷物を軽くしたいときは、フルキーボード付きのAndroid端末の「Gemini PDA」を使うと思うが、そこまで軽さにこだわらない場面では、11インチiPad ProとSmart Keyboardを持ち歩くことになりそうだ。この組み合わせは、画面の大きさやキーボードの打ちやすさ、普段使っているアプリとの連携などの総合的なバランスが良い(10.5インチiPadも同様であるが)。
物理キーボードが必要な理由は、外出先で快適にテキスト入力するためだが、テキスト入力に必要な要素はキーボードだけではない。
まず重要なのは日本語入力システムだ。iPad/iOSには制限があり、外部キーボード使用中はATOKなどのサードパーティ製の日本語入力システムを利用できず、OS標準の日本語入力システムを使うことになる。
このアップル純正の日本語入力システム、仕事で使うとなると足りない部分も多かったのだが、今春のiPadOS 13.4でちょっと使いやすくなっている。
個人的に影響が大きかったのは、外部キーボード利用時、推測変換をしなくなったことだ。高速なタイピングができるキーボードを利用する場合、推測変換はしばしば邪魔になる。操作が増えたり、意図しない文字が混入したりするので、外出先で多い「高速でメモる」という用途に向いていなかったのだ。
推測変換の代わりに、最新のiPadOSで外部キーボードを利用すると、ライブ変換という日本語入力システムが利用できる。これはスペースキーによる変換操作をしないでも、随時かな漢字変換を進めていくものだ。慣れるまで違和感があるが、慣れてしまうと余計な変換操作が減るので、外出先で多い「高速でメモる」という用途では効果的に機能してくれる。
従来の日本語入力システムではショートカットキーなどで強制的にカナや英字に変換する機能がなかったが、これもiPadOS 13.4から追加されている。パソコンで言うCTRL+Iやファンクションキーなどに割り当てられている機能だ。
これらのショートカットは、珍しい外国の名前やフィクション中の名称をカタカナに変換したり、自動変換された漢字を平仮名にひらいたりするときに使う。あるとないとでは使い勝手に大きく影響する操作だ。
このほかにもいろいろなショートカットがあるようだが、たとえば文字入力中には以下のようなショートカットが確認できた。
操作 | 機能 |
CTRL+J | ひらがなに変換 |
CTRL+K | カタカナに変換 |
CTRL+L | 全角英字に変換 |
CTRL+; | 半角カタカナに変換 |
CTRL+: | 半角英字に変換 |
キーボードの右手のホームポジション中心に設定されている。アップルの日本語キーボードはCTRLキーがAの左側にあり、ホームポジションからほとんど動かさずに押せるので、慣れると最小限の指の動きで操作できる。ひらがな、カタカナ、半角英字だけでも覚えておきたい操作だ。
ちなみにこのライブ変換、macOSでも使えるので、そちらでも使っているとキー操作などに慣れやすくて良いのだが、macOSだと若干使いづらさを感じることがあるので、筆者はATOKと併用している。
また、iPhoneでもBluetoothキーボード利用時などにはライブ変換を使いたいところだが、現時点では最新のiOS 13.5にも実装されていないようだ。カナ変換などのショートカットも使えない。
iPhoneでライブ変換やショートカットが使えると、200g程度のBluetooth折りたたみキーボードを持ち歩くだけで済むので、荷物をかなり小型軽量化できる。iPhoneは画面が小さく、複数アプリを同時に使うこともできないが、この荷物の軽さは魅力なので、テキスト入力環境の選択肢の一つとするためにも、iOSもライブ変換に対応して欲しいところ。
将来的にはiPhoneにも搭載してくれるというパターンなら助かるのだが、はたしてどうなるか、今後のOSアップデートに注目したい。