みんなのケータイ
au 5GとSIMカードにまつわるあれこれ
【Galaxy S20+ 5G SCG02】
2020年7月9日 06:00
スマートフォンや携帯電話を利用するうえで欠かせないSIMカード。最近はeSIMカード対応機種もあるけど、SIMカードは自分の回線契約を構成する要素のひとつなので、慎重に扱いたいところ。
先日、あるテレビ番組で、SIMカードに「PINコード」(起動時に入力する4桁のコード)を設定する方法を取り上げたのに、PINコードを3回、間違えたときに必要な「PUKコード」(PINロック解除コード)には触れずに放送されたため、誤ってSIMカードがロックされてしまう人が現われ、ちょっとした騒ぎになった。本誌でもニュースとして伝えられた。
番組はスマートフォンのセキュリティを意識させるための取り組みだったらしいけど、中途半端な情報を世間に広めて、利用者を混乱に陥れるのは勘弁して欲しいですね。ちなみに、PINコードやPUKコードについては、本誌記事の下に各携帯電話会社のWebページへのリンクがあり、本誌の「ケータイ用語の基礎知識」でも「第334回:PINコードとは」で解説しているので、ぜひ、ご一読を。
au 5Gの契約で手にするSIMカード
さて、そんな大事なSIMカード。いろんな端末を試してみたい人はともかく、一般的なユーザーは機種変更のタイミングでしかSIMカードに触れないことが多い。
各携帯電話会社が発行するSIMカードは、数年に一回程度のタイミングで、仕様やデザイン、サイズなどが変更されることがある。かつてはSIMカードのサイズが変わって、SIMカードを交換したこともあったけど、ここ数年はnanoSIMカードなので、変わることがなく、サービスの仕様を変更するときなどに変更されるケースが多いようだ。
今回、筆者はauのメイン回線で利用していた端末を「Galaxy S20+ 5G SCG02」に機種変更した。その際、au SHINJUKUのスタッフから「SIMカードを新しいものに交換しますね」と告げられた。
SIMカードは4G LTEのときとまったく同じ「au Nano IC Card 04」を使うのに、au 5Gを契約する場合は、SIMカードが専用のものになるとのこと。この 「専用」 というのが少し厄介で、au 5Gを契約したSIMカードを4G LTE対応の旧機種に挿しても動作しないという。
たとえば、これまで機種変更時に「あ、前の機種で○○のアプリで機種変更の手続きを忘れた。SIMカードを元の機種に戻して……」といった使い方をしていたが、au 5G専用になると、こういった使い方ができなくなるわけだ。
機種変更時のデータ移行は、auが「データお預かり」、サムスンも「Smart Switch」を提供していて、移行しやすくなったが、ごくまれにアプリやサービスによってはSIMカードを装着した状態でなければ、移行できないことがある。
同じSIMカードでありながら、利用できる機器が制限されてしまうのは、ユーザーとして、あまり歓迎できるものではない。こうしたSIMカードの種類によって、利用できる機器を制限する手法は、ソフトバンクがiPhone初期の頃から採用していて、最近はauも今回のau 5Gを含め、使うことがあるようだけど、こうした制限に起因するトラブルというか、ユーザーが混乱する様子も何度となく、見かける。ネットワークの仕様上の制限があるのかもしれないが、今後、改善というか、制限が緩和されることを期待したい。
ソフトバンクの5G契約が意外とわかりやすい
ところで、ソフトバンクと言えば、ちょっと話は飛んでしまうけど、意外だったのがソフトバンク5Gの契約。これまでソフトバンクでは5Gを契約するのに、5G対応端末を購入するか、5G対応端末をショップなどに持ち込む必要があったが、つい先日からオンラインで5G回線のSIMカードのみの申し込みが可能になった。
申し込み時にはIMEI番号の入力が求められるが、手持ちの4G対応のSIMフリースマートフォンのものを入力すれば、購入画面に進むことができた。発行されるSIMカードは、ソフトバンクの5G対応端末で利用するものと違い、SIMフリー端末で利用できるもののようだが、5G回線をSIMカードのみで契約できるようになったことは、SIMフリー端末ユーザーにとって、朗報と言えそうだ。
また、意外と言っては申し訳ないが(笑)、ソフトバンクオンラインショップの契約時の表示も更新されたようで、料金プランの内容がわかりやすくなっている。
各携帯電話会社の料金プランでは、固定回線の組み合わせや家族回線の取りまとめなど、さまざまな条件による割引サービスを提供しているが、最近は料金プランのWebページでも割引後の料金ばかりを大々的に表記することが多く、本来のその料金プランがいくらなのか、何の割引によって、最終的な試算が導き出されているのかが非常にわかりにくくなっている。
割引後の料金を表示するなとは言わないが、本来の料金をきちんと表記しないから、消費者に「わかりにくい」と言われるわけで、ここ数年の総務省の「ナントカ研究会」や消費者団体は、そこにツッコミを入れるべきなのだが……。
今回のソフトバンクオンラインショップの表記では、「メリハリプラン」の月額8480円がどういう構成なのかがわかり、同じページ内では割引やキャンペーンでいくら割り引かれるのかも明示されている。失礼な言い方だが、ソフトバンクらしからぬ、わかりやすさと言えるかもしれない(笑)。
ただ、こうした表記が確認できるのは、ソフトバンクオンラインショップのページのみで、ソフトバンクの料金ページは相変わらず、最大限の割引を受けたときの表記が中心。内容も雑然としていて、非常にわかりにくい。今後はこちらのページもユーザーが理解しやすいように、全体で表現方法を見直して欲しいところだ。もちろん、ソフトバンクに限らず、他社も今一度、料金プランの表記の見直しを強くお願いしたい。
楽天モバイル、ローミングエリアとの切り替えが……
最後に、もうひとつおまけの話。先月、本コーナーで「楽天モバイルは本当にお付き合いしても大丈夫?」という記事を書いた。その後、楽天モバイルの回線は、無事に利用できている……と書きたいところなのだが、最近、おかしな動作を何度か見かけている。ネット上でも報告例があるようなので、念のため、触れておきたい。
楽天モバイルは基地局が整備されていない地域では、auの4G LTEネットワーク(Band18/26のみ)にローミングする。ローミング時のデータ通信量は月に5GBまでで、5GBを超えたときでも受信時最大1Mbpsでデータ通信を利用することが可能だ。
楽天モバイルとauのどちらのネットワークに接続されているかは、[my楽天モバイル]のアプリで確認できる。ところが、同じ場所にある2台の楽天モバイル端末で、接続されるネットワークが異なるという現象が何度か起きている。片方の端末では「楽天回線エリア」と表示されているのに、もう片方の端末では「パートナー回線エリア」と表示されてしまう。
詳しく検証したわけではないので、あくまでも参考レベルでしかないが、どうも通常は楽天回線エリアとパートナー回線エリアを行き来しても正しくネットワークが切り替えられるのに、機種によってはパートナー回線エリアでネットワークに接続すると、楽天回線エリアに移動しても接続が切り替わらず、そのままパートナー回線エリアで接続されたままになってしまうようだ。
その結果、楽天回線エリアに居るのに、パートナー回線エリアの5GBのデータ通信量を消費してしまうことが起きる。
正しく楽天モバイルのネットワークが切り替えられなかった端末は、機内モードのON/OFFでは接続し直されず、モバイルネットワークの通信モードを「2G」に切り替えたり、「4G/3G」などに戻したりすることで、楽天モバイルのネットワークに接続し直され、[my楽天モバイル]の表示も楽天回線エリアに切り替わるようだ。
こうした事象が起こる原因はわからないが、どうも国内でオープン市場向けのSIMフリー端末や他社向け端末で、起きる傾向があるようだ。
業界の関係者からは、「楽天モバイルが各端末メーカーと十分にIOT(Interoperability Test、相互接続試験)をやってないからでは?」という指摘もある。
楽天モバイルのユーザーは、[my楽天モバイル]のアプリを起動して、どちらのネットワークに接続されているのかを確認したり、友だちや仲間のユーザーと情報交換をしたりしたほうがいいかもしれない。いずれにせよ、楽天モバイルの利用は、まだまだ安心できそうにないというのが正直なところ。大丈夫ですかね?>楽天モバイルさん