みんなのケータイ

クラウドSIM対応ルーターに国内のSIMカードを追加

【GlocalMe G3】

 本コーナーで前回取り上げたように、今年に入って、世界100カ国以上で使えるモバイルWi-Fiルーター「GlocalMe G3」を使いはじめた。

 GlocalMe G3は各サービス提供事業者が提供するサービスと組み合わせて利用するモバイルWi-Fiルーターで、渡航先に着くと、クラウド上に用意されたSIMカードの中から、その国と地域に対応したSIMカードの情報が読み込まれ、モバイルWi-Fiルーターとして利用できるというシロモノ。

 クラウド上のSIMカードは各サービス提供事業者が用意するもので、ユーザー側は利用したい国と地域が含まれるパッケージをオンラインで購入し、端末側で利用するパッケージを選ぶだけ。今までのように、渡航先でプリペイドSIMカードを探し回ったり、SIMカードを入れ替えたりする必要がない。いろいろな国と地域に出張などで出かけることが多いユーザーに適した製品だ。

 前回も説明したように、GlocalMeはいくつかの事業者がサービスを提供しているが、筆者はGlocalMeシリーズのOEM供給元であるuCloudLinkが自ら運営する「GlocalMe」のサービスを利用している。このGlocalMeで販売されているパッケージには、日本で利用できるパッケージ、日本と韓国で利用できるパッケージなどがあり、それらを購入し、選択すれば、GlocalMe G3を日本で使うこともできる。GlocalMe G3は日本の技術適合証明も取得しており、法的にも問題はない。

 ただし、日本で利用できるパッケージは、「3GB data package for Japan」が3GBで19ユーロ(約2500円)/30日、「1GB data package for Japan」が1GB(約920円)で7ユーロ/30日、「300MB data package for Japan」が300MBで4ユーロ(約530円)/30日となっており、当然のことながら、国内のMVNO各社のデータ通信SIMカードの契約に比べると少し高く、有効期限も30日間と短いため、国内に在住するユーザーにはあまりメリットがない。

 ところが、このGlocalMe G3は本体にSIMカードスロットを2つ備えており、国内で契約したSIMカードを挿して、利用することも可能だ。つまり、国内で販売されているSIMフリーのモバイルWi-Fiルーターと同じような使い方ができるわけだ。手順としてはSIMトレイに国内で契約するSIMカードを挿し、GlocalMe G3に装着し、電源を入れると、「SIMカードが検出されました」と表示されるので、挿したSIMカードスロットを選択する。続いて、ホーム画面で「ローカルSIM」という項目を選び、[データ接続]-[APN]でAPNを設定する。画面右上の[+]をタップして、あとはAndroidスマートフォンと同じように、APNの必要な情報を設定するだけだ。

本体右側面にピンを挿して取り出すタイプのSIMカードスロットを装備。nanoSIMカードを2枚、装着可能
SIMカードを挿すと、こんな画面が表示される

 筆者はAmazon.co.jpでuCloudLinkが自ら販売する製品を購入したが、この商品には出荷時にmineoのドコモプラン(Dプラン)で利用するAPNが設定されていた。ちなみに、GlocalMe G3の対応バンドを考えると、NTTドコモ系MVNOを利用した方が快適に利用できるようだ。

 設定後は「お客様のローカルSIMs」の画面で「データ接続」がオンになっていれば、GlocalMe G3は国内のSIMカード契約でインターネットに接続される。ノートパソコンやタブレットをWi-Fiで接続すれば、そのまま利用することが可能だ。ちなみに、GlocalMe G3の画面にはSIMカードスロットごとに月のデータ使用量も表示されるので、使いすぎもチェックすることができる。

ホーム画面から[SIM管理]を選び、[SIM1]を選択する
ホーム画面から[ローカルSIM]を選んで、APNなどの情報を設定する
[モバイルネットワーク]の画面で[APN]を選択する。[データローミング]をオンにすれば、データローミングもローカルSIMでのデータローミングも可能
[アクセスポイントの編集]画面は一般的なAndroid端末と同じなので、それほど迷うことはない
筆者が追加したIIJmioのAPNが上段。下段は出荷時に設定されていたmineoのドコモプランのAPN
[データ接続]がオンになっていれば、インターネットに接続される。データ使用量も月単位、SIMカードスロット単位で集計されるので、安心だ

 ところで、こうした自前のSIMカードを利用できるということは、海外でも活用できることになる。ちょっと本末転倒のような気もするが、たとえば、割安な料金のプリペイドSIMカードが購入しやすい渡航先では、現地のSIMカードを挿して利用し、データ通信量が少なくなったり、プリペイドSIMカードがすぐに買えないような渡航先ではクラウドSIMを利用するといった使い分けをするわけだ。台北やシンガポール、バンコクなど、空港の到着ロビーにプリペイドSIMカードを販売するカウンターがある国と地域では現地のSIMカードを利用したり、本コーナーでよく取り上げられるVodafoneアイルランドのREDローミングのSIMカードを挿しておき、クラウドSIMのピンチヒッター的に使う方法も考えられる。

 まだ使いはじめて2カ月ほどだが、GlocalMe G3は海外渡航時だけでなく、国内でも便利に使うことができるようになり、さらに活用するシーンが増えることになりそうだ。

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