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渋谷でチャージして深センでWeChatPayを活用

 先週、中国・深センに出張する機会があったので、以前から導入していた「WeChatPay」を利用してみることにした。WeChatPayそのものについては、本誌読者にはもはや説明不要な感があるので割愛。簡単にいうと、QRコードを利用した決済手段の1つで、中国ではWeChatPayのほか、アリババが提供するAlipayが爆発的に普及している。これらを使えれば、現金はほとんど持ち歩く必要がないほどだ。

中国で話題のWeChatPayを使ってみた

 ただし、WeChatPayは基本的に、中国在住の人に向けたサービスになっており、外国人が使おうと思うとハードルが高い。アプリのWeChat自体は日本語化されているが、銀行口座がないため、WeChatPayをアクティベートできないのだ。クレジットカードは登録できるが、中国の銀行口座がないと、オンラインでのチャージも行えない。

 筆者は、あの香港人……ではなく、本コーナーでもおなじみの携帯電話研究科・山根康宏氏に、1元を送金してもらってアカウントを開設。昨年、Mobile World Congress Shanghai(MWC上海)で中国・上海を訪問した際に、WeChatPayを有効化していた。パスポートを紛失する大失態をおかし、MWC上海ではWeChatPayを使う余裕はおろか、取材すらままならかったため、晴れて今回、デビューすることができた格好だ。

渋谷に設置されていたPocket Changeを使って、日本円からチャージした

 チャージができない問題は、日本に設置されているPocket Changeと呼ばれるマシンを使うことで解決した。Pocket Changeは本来、海外旅行の余った外貨を、電子マネーに変換するサービスだが、日本円を入れられる上に、WeChatPayにも対応している。このPocket Changeがたまたま、筆者の事務所のある渋谷にあったため、事前に日本円を入金して、WeChatPayにチャージしておいた。日本円を入れるとレシートが発行され、そのQRコードを読み取ればOKだ。

 実際に使ってみたが、確かにこれは便利。パスコードを入力する必要はあるが、自分のスマホに表示させたQRコードをレジで読み取ってもらうか、逆にレジ付近に置かれているQRコードを読み取るだけで、代金が支払われる。手軽さでいえば、端末をかざすだけでいいFeliCaやNFCを使った決済方式に軍配が上がるが、中国ではQRコード決済の対応店舗がとにかく多いので、どこでも使える安心感がある。

QRコードをレジで読み取ってもらい、支払いを行う

 送金もメッセージを送ったり、画面に表示したQRコードを読み取ったりするだけで簡単にできるため、割り勘もしやすい。ただ、難点なのは、やはりオンラインでチャージできないこと。外国人の場合、誰かに現金を渡して送金してもらうのが手っ取り早いが、相手の好意に頼るしかなく、万全な手段とはいえない。

メッセージで送金することも可能だ
画面に表示されたQRコードを読み取ることでも、送金できる。この方法だとWeChatで友だちになっている必要がない。なお、このQRコードを読み取ると、筆者に100元送金できる(笑)

 上記のように、Pocket Changeを使って日本でたっぷりチャージしておくという手はあるが、チャージしすぎると、今度はお金が余ったときに、日本円に戻せなくなってしまう。事前にいくらチャージしておくかを見極めるのは、なかなか難しい。クレジットカードでのチャージに対応すれば、外国人の使い勝手がもっとよくなりそうだ。

 とはいえ、中国では、クレジットカードに対応している店舗が非常に少なく、キャッシュレスで生活しようと思うと、やはりWeChatPayは使えた方がいいと感じた。あまりにキャッシュレスが進みすぎた弊害ともいえるが、コンビニではお釣りの小銭がないなど、現金だと損をしてしまう場面もあった。6月にはMWC上海があり、再び中国を訪れる機会があるため、ここでもWeChatPayに頼ることになりそうだ。