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格安ナビとしてのAndroid Autoの実力~第2章

【Galaxy S8 SCV36】

ダッシュボード用のホルダーも導入。Amazonで売っていた廉価な品ですが、Galaxy S8との相性はなかなか

 9月の記事でAndroid Autoの使いこなし術について書きました。そもそもの経緯については、その前回記事をご覧いただきたいのですが、以前使っていたポータブルナビが本格的に壊れたこともあり、現在はAndroid Autoへ完全に一本化しました。

 利用してまだ3カ月、車に乗るペースも週に2~3回のライトなユーザーではありますが、やはり「以前のカーナビには(金銭的理由で)戻れない」という切迫感がさらに高まったこともあり、以前ならスルーしていたことにも気付き始めております。今回もまた、そのあたりを列記していきます。

(1) 地図の縮尺を任意に固定したままナビしてくれない

ナビ中の画面。地図の拡大縮小関係の要素はかなり絞り込まれています

 Android Autoのナビ画面では、地図の拡大・縮小はピンチイン・ピンチアウトで行います。それ以外での操作方法はなし。ナビ専用機なら拡大・縮小のアイコンが表示されて当然ですが、Android Autoではもう思想的に根本から違うようです。

 それはまあ理解できるのですが、拡大縮小操作をしてしまうと基本的にはナビが(目的地設定してあっても)中断してしまいます。それを解消するには「現在地へ戻る」アイコンをタップして、自車表示連動に戻さなければなりません。よって、都市部を走行中は近隣の目標物を詳細に知りたいから高縮尺にしておき、郊外へ抜けたら先の道を知りたいので広範囲表示に切り替える……といったことができません。交差点までの距離などを逆算して自動で縮尺を調整する機能はあるようですが、かなり戸惑う部分です。

 Android Autoは地図画面の表示自体、相当シンプルで、道路名・交差点名などはかろうじて表示されるものの、交差点の目標物になりそうなコンビニなどを厳選してアイコンで明示するなどの設定はありません。

(2) 「ポーン」音は偉大だった

 Android Autoは音声で「400m先、右方向です」などとナビゲーションしてくれます。ただ、国内のナビ専用機とは違い、音声案内の前に必ず出る「ポーン」という例の予告音がありません。

 最初のうちはまったく意識していなかったんですが、この「ポーン」音は、ナビゲーションの注意喚起をする上で、本当に重要だと改めて気付きました。車内ではラジオ音声はもちろん、同乗者との会話も含め、「肉声」が溢れていて、運転に集中しているとその聞き分けが結構アヤフヤになってしまう印象があります。そこへ例の「ポーン」音が入ることで、自然とナビ音声に耳を傾けられるようになってたんですね。いや勉強になりました。

(3) 本当にトンネル・地下駐車場ではまともに機能しない

山手トンネルの内回りを走っているはずなのですが……。車速パルス検知のない、スマホ用ナビの限界なのかもしれません

 これは周知の事実らしいのですが、僕自身どこか「一昔前のスマホはともかく、都市伝説でしょ?」くらいに思っていました。しかし、これが見事なまでに真実。先日、首都高の山手トンネルを熊野町JCT→大井JCT方向に全線約18.2km走行してみたんですが、トンネルに入った途端にナビが中断し、じきに「GPS信号が失われました」のガイダンスが流れ、その後トンネルを抜けるまで正確な表示には復帰しませんでした。

 地下駐車場も基本的には同じ傾向。もちろん公道ではないのでナビはなくても大丈夫なんですが、ちょっと寂しくはあります。

(4) 画面上部の緑色の画面をタップするといろいろ便利

 ここまで不満ばかり連ねてしまったので、ちょっと軌道修正。ナビ実行中、画面上部には緑色の領域があり、ここへ交差点までの残り距離・右左折の指示などが表示されます。

 ヘルプ記事にはほとんど載っていませんが、この緑色の領域をタップする事で、その交差点のクローズアップ表示に切り替わります。もう一度押せば通常の自車追従表示へと復帰します。つまり、その2つがトグルする感じになります。画面下の「現在地へ戻る」アイコンよりも、大きさ・視認性で優れていてタップしやすいので、ぜひ念頭に置いておいてください。

(5) 音楽アプリとの連携は超便利

 Andorio Autoは単なるカーナビアプリではなく、「車運転中に必要なものをまとめたフロントエンド」というのが、恐らくは正確な理解です。そのため、画面下にはナビ・通話・音楽再生の各機能を利用するためのアイコンが常時表示され、シームレスに連携します。ナビ中に音楽を流すことも当然可能です。

 そして、Android Autoのインターフェイスを表示したまま音楽を再生するには、音楽アプリ側の対応が必要になります。筆者が確認した限りではGoogle Play Music、Spotify、Amazon Musicでは利用が可能。プレイリスト機能で「ドライブ用の音楽」なんてあたりを呼び出せます。

 邪推するに、Android Autoの開発者はホントに音楽アプリの連携を重要視しているのでしょう。それほど音楽に興味のない私でも、この実装、そして操作感は実に優れていると感じます。逆にAndroid Auto対応の3アプリを使っている方は、それを活かすためにAndroid Autoを選択するのもアリかと。

Android Auto対応の音楽アプリを複数インストールしてあれば、使うものをどれか1つ選択できる
こちらはSpotifyのプレイリスト。これだけあればロングドライブでも聴く曲には困らないはず

 以上、Android Autoの魅力をさらに深掘りしてみました。いくつか不満も書きましたが、冒頭で「一本化した」とご説明したように、トータルではかなり満足いくアプリだと感じていますし、ガッツリ使い続ける予定です。

 ただ、我が家の車がすでに新車登録から20年を超えておりまして、さすがに車自体の買い替えが視野に入ってきました。乗り換えまでに半年あるかどうか……。そんな微妙な季節に、格安ナビであるAndroid Autoがもたらしてくれた経済性にはただただ感謝するばかりです。