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2022年度のモバイルキャリア投資は1.5兆円を維持、5G基地局数は17万局に拡大

 MCAは、携帯電話基地局市場の調査を実施し、その結果を調査資料「携帯電話基地局及び周辺部材市場の現状と将来予測 2023年版」として取りまとめた。

 同資料をもとに、国内の基地局市場動向について3回にわたりお伝えしていく。第1回は、キャリア各社の設備投資額および、5G基地局数と5G投資額について取り上げたい。

国内モバイルキャリア投資:2022年度は前年度並みの1.5兆円規模を維持

 2022年度におけるキャリア各社の設備投資額はNTTドコモが5466億円、KDDI(au)は3380億円、ソフトバンクが3475億円、楽天モバイルは2952億円、UQコミュニケーションズ(UQC)が90億円、Wireless City Planning(WCP)は100億円の合計1兆5463億円と推定した。

 セルラーキャリア各社はKDDI(au)を除き、ほぼ横ばいの投資額になっている。なお、楽天モバイルは単独の設備投資額を公表しており、当該レポートから単独の数値を採用した。

ソフトバンクと楽天モバイルによる投資抑制がはじまる2023年度

 2023年度は、NTTドコモが5660億円、KDDI(au)は3400億円、ソフトバンクが2700億円、楽天モバイルは1776億円、UQCが100億円、WCPは100億円の合計1兆3736億円を見込む。

 ソフトバンクと楽天モバイルによる投資抑制が2023年度からはじまり、国内キャリア投資額に向かい風となる。

2社の投資抑制が響く2024年度以降は1.2兆円規模にとどまる見込み

 今後、NTTドコモは5000億円半ばで推移し、KDDI(au)がモバイル向けに3000億円超の投資が続き、2026年度に3000億円に落ち着く。ソフトバンクは2022年度をピークに、2023年度以降は2700億円の投資が続く。

 一方、楽天モバイルは2022年(2022年12月期)まで約3000億円の投資が続くが、2023年以降は大幅に投資抑制が進む。それに伴い、合計投資額は2026年度に1兆2100億円にまで縮小する見込みである。

5G基地局数:2022年度は約17万局に拡大

 国内市場における5G基地局数(LTE周波数のNR化含む)は、2022年度時点で16万9800局となった。NTTドコモが3万900局、KDDI(au)は5万2000局、ソフトバンクが6万5300局、楽天モバイルは2万1600局である。

 KDDI(au)が2022年度にLTE周波数のNR化を積極展開したことにより、大幅な拡大となった。

 5G専用周波数帯に注力するNTTドコモと楽天モバイルに対し、LTE周波数のNR化に注力するKDDI(au)とソフトバンクとの新局数の開きが際立っている。

現在は5Gがメインとなる大手3社の基地局投資

 現在、キャリア各社の設備投資は5G向けが主流になっているものの、LTE向けも小規模に推移していく。

 今後、各社の基地局投資はNTTドコモが2500億円強で推移するのに対し、KDDI(au)は2024年度以降、ソフトバンクが2023年度以降、投資抑制がはじまる。

 楽天モバイルに至っては、2024年以降、大幅に投資が抑制される見込みである。

IT専門の調査・コンサルティング会社として、1993年に設立。 主に「個別プロジェクトの受託」「調査レポート」「コンサルティング」サービスを展開。 所属アナリストとの意見交換も無償で随時受け付けている。 https://www.mca.co.jp/company/analyst/analystinfo/