DATAで見るケータイ業界

20年10~12月期の端末販売、3キャリア揃って前年同期比10%強の増加を記録

グラフで比較するキャリア決算(1)

 通信キャリア各社の2020年10~12月期決算が出揃った。そこで今回と次回の2回にわたり、各社の主要数値の動きを比較していく。初回は端末販売と契約数の動向を整理したい。

端末販売数は前年同期比10%強の増加、2年前と同水準に

 2020年10~12月期におけるスマートフォンの販売数は、NTTドコモが305.8万台(前年同期比12.0%増)、KDDIが195万台(同14.7%増)だった。ソフトバンクは2社と異なり、スマートフォンに加えタブレット・従来型携帯・モバイルデータ通信端末なども含めた「主要回線」の端末出荷数を開示しており、281.5万件(同18.4%増)だった。

 各社で基準は異なるものの、3社の数値を単純合計すると約782万台で、前年から約100万増となっている。この数字は、2年前(約780万台)と同水準の販売量である。

通信契約数、KDDIが6000万の大台に乗せる

 続いて回線契約数の状況を見てみよう。2020年12月末時点における各社の累計契約数は、NTTドコモが8175.1万(前四半期比76.4万増)、KDDIが6012.1万(同18.6万増)、ソフトバンクが4687.8万(同30.9万増)となった。

 KDDIは、昨年9月末時点で5993.5万契約まで数字を積み上げていたが、遂に今回6000万の大台を突破した。記念すべきタイミングではあるが、純増ペースに急ブレーキがかかったように見える点が気がかりだ。四半期単位で純増数が50万を下回るのは6年以上前の2014年4~6月期(49.4万増)以来となる。対して、10~12月期に純増数が跳ね上がったのがNTTドコモだ。直近では2020年1~3月期の93.5万増に次ぐ、76.4万増の高水準となった。数字を細かく見ると、純増の8割超にあたる62.9万を通信モジュールが稼いでいる。

 ソフトバンクは「主要回線」が21.6万増、「通信モジュール等」が23.8万増、そして「PHS」が14.5万減で、全体としては30.9万増となっている。PHSは今年1月末のサービス終了に向けて契約数の減少が続いており、昨年12月末時点で108.7万となった。1~3月期は、1月末のサービス終了で一時的に減少幅が拡大しそうだが、その後は2023年3月のテレメタリングプラン終了まで、減少幅もゆるやかなものになるだろう。

 最後に、次の決算では、新たに開始されるオンライン専用プランの数字をどのように公表するのかに注目したい。現行のサブブランド契約数について、KDDIは「UQ mobile+MVNO契約数」として開示している(昨年12月末時点で362.1万契約)。一方、ソフトバンクは「Y!mobile」「LINEモバイル」の数字も合算した契約数の開示にとどまっている。

 さらに言えば、楽天モバイルについては、昨年12月末で201万、今年2月8日時点で250万といった数字が発表されているが、これはあくまで「累計契約申込数」で、契約数とは全く異なる概念だ(そのため、上記グラフには楽天モバイルの動向は含めていない)。また、他社は開示している解約率などの情報も明らかにされていないのが現状だ。

 新プランの導入を契機に、各社には今後の丁寧な情報開示を期待したい。

IT専門の調査・コンサルティング会社として、1993年に設立。 主に「個別プロジェクトの受託」「調査レポート」「コンサルティング」サービスを展開。 所属アナリストとの意見交換も無償で随時受け付けている。 https://www.mca.co.jp/company/analyst/analystinfo/