DATAで見るケータイ業界
算出方法や対象収入の違いで三者三様の動きを示す「契約あたり収入」
グラフで比較するキャリア決算(3)
2019年12月5日 06:00
携帯キャリア3社の2019年度第2四半期決算から、主要数値を比較する本特集。最後は「契約あたり収入」の動きを取りまとめてみたい。
通信料値下げの影響をまともに受けたドコモ、割引圧縮で影響をかわしたソフトバンク
まず、NTTドコモとソフトバンクの動きを見ていこう。両社は、売上を契約回線数で割って算出されるARPUを開示しており、NTTドコモが前年同期比 80 円減の4740円、ソフトバンクが同120円増の4450円だった。
通信料金の値下げ圧力が各社に降りかかる中で、明暗が分かれた要因はどこにあるのだろうか。
NTTドコモのARPUが減少傾向なのは、算出に用いる収入を通信関連に限定しており、新料金プランによる値下げ影響をもろに受けやすい点が挙げられる。同社のARPUは、モバイルの基本料や通話料、通信料からなる「モバイルARPU」と「ドコモ光ARPU」から構成されており、コンテンツや決済など付帯サービスの収入は含まれていない。
一方、ソフトバンクのARPUには、端末保証サービス、広告、コンテンツ関連の収入が含まれており、通信収入を補うことができる図式となっている。
あわせて、割引の圧縮もソフトバンクのARPU下支えに貢献している。
回線あたり割引額を示す「割引ARPU」は、ソフトバンクが前年同期比380円減の740円まで減少した。端末割賦契約期間の長期化による影響もあるとはいえ、NTTドコモが前年同期比横ばいの950円だったのとは対照的だ。