DATAで見るケータイ業界
縮む「キャリアショップ全国網」、地方での店舗維持が焦点に
2019年4月19日 12:39
本コーナーで既報の通り、通信キャリア各社の「キャリアショップ」は減少傾向となっている。今回は一歩踏み込んで、都道府県別の店舗数推移を整理してみたい。
削減数上位は大都市圏が中心も、ブランドによって異なる出店戦略
画像にある表は、過去2回実施した調査結果をもとに、店舗数の減少数が多い都道府県を取りまとめたものである。
減少数上位には、福岡や大阪、東京など大都市圏が並んでいる。もともと店舗数が多いエリアのため、店舗数を絞り込みやすい土壌があると言える。
ただし、ブランドによって出店戦略には違いも垣間見える。最も減少数が多かった福岡県を例に取ると、UQコミュニケーションズはプラス、NTTドコモは横ばいで、残るブランド(au、ソフトバンク、ワイモバイル)がマイナスとなっている。
店舗数が増加したのは10県のみ、地方も含め減少傾向に
ブランドによって動きは異なるものの、削減の動きは全国的な傾向だ。店舗数が増えたのは鹿児島県(4店舗増)や新潟県(3店舗増)など10県で、変動なしを除く31都道府県で減少を記録している。
既に回線契約数が国内人口を超えるまでに膨らみ、成長が鈍化する中、端末の買い替えサイクルは長期化の一途をたどっている。さらにオンラインショップへのシフトという逆風もあり、キャリアショップの全国網維持は岐路に立たされている。
折しも、NTTドコモが自転車や充電器のシェアリングサービスなど、ドコモユーザー以外でも利用しやすいサービスを取り扱う実証実験店舗「d garden 五反田店」を18日にオープンさせるなど、各社の危機意識の高さがうかがえる。
ドラッグストアチェーン(各社2000店前後)を凌ぐ店舗網を持っている通信キャリア各社だが、今後どのようにその役割を再定義するのか、新たな取り組みにも期待したい。