スタパ齋藤のコレに凝りました「コレ凝り!」
虫歯予防の意外な方法「イエテボリ」
2019年12月11日 06:00
歯のツルツルがずっと続いてキモチいい~♪
2019年の5月に知った、筆者にとっては非常に斬新な虫歯予防方法があります。イエテボリ式とかイエテボリ法とかイエテボリテクニックとか呼ばれる「フッ素を歯の表面になるべく長時間付着させる」というデンタルケア方法です。NHKの「ガッテン!(旧 ためしてガッテン)」(該当ページ)で知りました。
イエテボリテクニックは簡単。用意するのはフッ素配合の歯磨き粉や洗口剤と、歯ブラシくらいです。
その「やり方」は、フッ素配合の歯磨き粉の場合なら、チューブからたっぷり(2cmくらい)のを出して2分程度歯磨きし、口をすすがずに(歯磨き粉を吐き出す程度で)歯磨きを終了するというもの。つまり、フッ素配合歯磨き粉を歯の表面にたっぷり残すというものです。「すすがないで終了」なので、最初は口の中に残った歯磨き粉が気持ち悪いんですが、そのうち慣れたりします。
フッ素配合の洗口剤の場合、普通に歯磨きをした後に(口内をゆすいで歯磨き粉を吐き出してから)、洗口剤が歯の表面全体に行き渡るようにブクブクとうがいすればOK。こちらの目的も「歯の表面や口の中にフッ化物を行き渡らせること」です。
その効果はすぐわかりました。筆者の場合は寝る前や食後に歯磨きをしていますが、イエテボリテクニックを使うと「いつも歯の表面がツルツル」なんです。一方で、例えば出張時にフッ素入り歯磨き粉を使えない場合だと、「ちゃんと磨いたのに数時間すると歯の表面のツルツル感が失われている感じ」がします。そのギャップが大きい。また、口臭や口中のベタつきも生じにくいような気が。ともあれ、効果がすぐに体感できたので、以降ずーっとイエテボリテクニックで歯磨きをしています。
歯は酸で虫歯になる、フッ素が酸を抑えて虫歯を予防する
虫歯ができる原因は主に「酸」です。口の中には常在菌が多数存在していますが、そこに食物中の糖分やでんぷんなどが入ると、唾液や常在菌の働きで口中のpH(ペーハー)が5.5を下回るそうです。
ちなみに、pHは酸性アルカリ性の度合いを示す指標で、pH0が強酸性、pH7が中性、pH14が強アルカリ性。また、口の中の(唾液の)pHは平均で6.8と言われており、これはほぼ中性のちょっとだけ弱酸性です。
さて、このpH5.5は「歯の臨界pH」と呼ばれ、pH5.5以下の環境では歯の表面が溶け始めます。歯の表面のエナメル質は人体で最も硬い部分で、鉄より硬い。水晶とほぼ同じ硬さがありますが、それでも口内が酸性になると溶け始めるんですね。
要するに、食事をすると口内に糖分などが供給され、口内常在菌がそれを得て口内を酸性に偏らせて、その結果、歯の表面が溶け始めて虫歯ができ始める、というわけです。で、この「口内の酸性化」を抑えるのがフッ素(フッ化物)。
フッ化物は口内で細菌や酵素の働きを「酸の生産を低下」させる方向に作用するそうです。同時に歯の表面の再石灰化などを促進する働きもあるとのこと。フッ化物にはそういう作用あるので、単に歯磨きするよりもフッ素入り歯磨き粉などを使うのが好ましい。さらにはイエテボリテクニックによりフッ化物を長時間口中に漂わせておくことで、効果的に虫歯の進行をより抑えられるというわけです。
余談ですが、食事後の口内は数分でpH5.5を下回り、虫歯を促進させる環境になるそうです。ただ、そのままでも唾液の働きによって口内のpHは通常値に戻っていくそうで、食べたからいきなり虫歯ができるというわけではありません。しかし、食後に飴を舐めるとか、3食の間に甘いものを間食するといった習慣がある場合、口内pHが低い時間が長く続きます。虫歯になりやすい生活スタイルと言えましょう。
また、睡眠中は唾液の分泌が緩慢になり、口中pHが通常値に戻りにくいことを考えると、就寝前にイエテボリテクニックを使った歯磨きは特に効果的。筆者の場合、就寝前にイエテボリテクニックで歯磨きをした結果、朝起きた直後の口の中のベタつきのようなものが以前より減り、起き抜けでも歯の表面にツルツル感があります。
どの歯磨き粉がいい?
イエテボリテクニックでの歯磨きは、歯の表面や口腔内にフッ化物をたっぷり漂わせるのが目的。なので、歯磨き粉に含まれているフッ素も多い方がいいわけです。じゃあ、どの歯磨き粉がフッ素配合量的に最強なの? ザッと調べてみました。
結果、なぜだかフッ素入り歯磨き粉市場にはミョーな平和があって、どの製品もフッ素の含有量が横並びで同じでした。どれも「1450ppm」。以前はフッ化物の含有量は1000ppmまでと法律で決まっていたそうですが、数年前にその規制が緩和されて現在は1500ppmまでとなっています。50ppm低いのは、規制を超えないようちょっと下げている感じ? 各社一緒に50ppm下げているあたり、な~んか平和な感じがします。
上の歯磨き粉、一応は一通り使ってみました。味や粘度や粉っぽさの感じが微妙に違ったりしますが、まあどれも似たり寄ったり。味は、ちょっと甘め、やや柑橘寄り、多少スパイス感あり、くらいの違いはありますが、まあ取り立てて書くほどの差異・おもしろみは感じられませんでした。
結局、イエテボリテクニックでは「磨いた後に口内に歯磨き粉を残す」のが最大の狙いですから、歯磨き後はすすげません(少量の水ですすぐのはアリとされている)。なので「なんか口の中に歯磨き粉残ってるな~」感はどの製品でも共通。まあ慣れちゃえば「ミントのさっぱり感が残るのは悪くない」と思えるようになる、みたいな。
あと、歯磨き粉以外では、泡立ちの少ないジェルや洗口液もあります。↓こんなの。
なお、イエテボリテクニックなどのフッ化物による洗口や歯磨について「フッ化物洗口法は6歳未満児には用いるべきではない」という見解があります。上の製品にも「6歳未満への使用を控えること」などと書いてあります。
これは、そのくらいの子供だと洗口液などを全部飲み込む可能性があり、フッ素摂取量が過剰となって歯のフッ素症(歯の表面に白などの模様が出る症状)になる恐れがあるためだそうです。フッ化物を全部飲んだりせず、ブクブクして吐き出せるよう練習すればOKなんじゃないでしょうか。
この点について、日本口腔衛生学会は「フッ化物洗口法は、就学前から小・中学校まで一貫して応用すると特に有効であり、幼児においても安全に実施することができる。わが国の実状に適合したフッ化物応用法としてフッ化物洗口法の普及を推奨する」と1996年に発表(口腔衛生学会PDF)しています。
ともあれ、フッ素入りの歯磨きや洗口剤を使ったイエテボリテクニック、口内のサッパリ感が長時間持続する気持ちよさと、それから恐らくシッカリと虫歯の予防になっているだろうという実感があります。オーラルケアをより充実させたい方は、ぜひ一度試してみてください♪