第567回:ドコモクラウド とは

大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我 ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連の Q&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


 「ドコモクラウド」とは、NTTドコモが提供する、さまざまなクラウドサービスを総称したブランド名です。既存の音声エージェントサービス「しゃべってコンシェル」などのほか、主にAndroidスマートフォン向けに新サービスが順次提供される予定になっています。

 クラウド(クラウドコンピューティング)とは、自分の携帯電話やコンピュータといったローカルの機器ではなく、インターネット上のサーバーを介して、さまざまなデータを保存したり活用したりするサービスのことです。

 携帯電話の機能を見ると、これまでは、アドレス帳などが端末内に保存されていますが、たとえばクラウドコンピューティングでは、インターネット上のサーバーに保存して活用する、といったスタイルになります。

 NTTドコモでは、同社ユーザーだけが利用できるクラウドサービスを提供する方針を掲げています。同社のネットワークだからこそ実現できる“クラウド”、として、これを同社独自の用語「ネットワーククラウド」と分類し、他社では利用できない差別化したサービスとアピールしています。

 こうしたサービスを提供する背景として、NTTドコモは、夏モデル発表会などにおいて「右から左へデータをやり取りするだけの“土管化”を避ける」ことを理由の1つに挙げています。また、Androidはこうした独自サービスを実現しやすく、iPhoneは実現しにくい、といった説明が行われることもあります。

ドコモクラウドの各サービス

ドコモクラウドでは、以下のような各サービスが提供されている、あるいは今後提供予定となっています。


・「しゃべってコンシェル」の機能拡充(2012年6月以降予定)
・「メール翻訳コンシェル」の提供(開始済)
・「通訳電話」の提供(1万人限定で試験提供中)
・「フォトコレクション」の提供(2012年8月予定)
・「dマーケット」のマルチデバイス対応:(2012年8月予定)
・「ケータイデータお預かりサービス」(開始済)

 利用するには、それぞれ対応のアプリケーションをGoogle Playからインストールすることが想定されています。ドコモクラウドとされるサービスの一部について、ご紹介しましょう。

 「しゃべってコンシェル」では、現在、ユーザーがスマートフォンに対して喋ると、インターネット上のサーバーに内容を把握し、その意図に適した回答を含むページの候補として、dメニューのコンテンツ、Wikipediaやクックパッドなどの複数の検索結果を表示するようになっています。今後予定されている機能拡充では、今回、回答の推定に、NTTサイバースペース研究所の技術に基づき、ドコモが開発したシステムを利用し、生活に密着した情報や雑学などの幅広いご質問に対して、クラウド上で推定した「回答そのもの」の候補を直接表示できるように機能拡充されます。これにより、自分で回答を探す手間なく、知りたい答えをより素早く、簡単に得られるようになります。

「メール翻訳コンシェル」は、メールなどのテキストコミュニケーションで、入力した日本語の文章をクラウド上で外国語に自動翻訳し、メッセージを送信できるという機能です。アプリ上で翻訳の良し悪しを確認しながら文章を作成できます。また、外国語で書かれたメッセージを日本語に翻訳することも可能です。こちらからメッセージを送信する際は、日本語から英語、中国語、韓国語に翻訳ができ、逆にメッセージを受信する際には、 英語、中国語、韓国語から日本語に翻訳することが可能です。

 「フォトコレクション」は、写真や動画を5GBまで無料でクラウドに保存できるサービスです。スマートフォンで撮影した写真・動画や、パソコンに保存している写真・動画が自動的にクラウドにアップロードされるようになります。また、撮影したスマートフォンに加えて、他のスマートフォンやタブレット、ご自宅のパソコンからも写真や動画へのアクセスが可能になります。クラウド上のコンピュータで、写真や動画を年月・人物・イベント・場所などによる自動グループ分け、ベストショット写真の自動抽出などもできるようになります。

「dマーケットのマルチデバイス対応」とは、「dマーケット」の「VIDEOストア」「MUSICストア」「BOOKストア」「アニメストア」の利用やコンテンツの購入を、複数のスマートフォン・タブレット間で共有できるようになるというものです。8月のサービス開始まで詳細は未定ですが、パソコンなどでも利用ができるようになる、とされています。




(大和 哲)

2012/6/12 12:02