第538回:Android 4.0(Ice Cream Sandwich) とは

大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我 ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連の Q&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


 Androidは、スマートフォンやタブレット向けのOS(ソフトウェアプラットフォーム)として知られていますが、これまでは主にスマートフォン向けのバージョンが「2.X」シリーズで、タブレット向けには「3.X」が開発されていました。機種によっては、タブレット型であっても、2.XのAndroidを採用するものもありますが、2011年10月に発表された「Android 4.0」では、この2つの系統が統合され、今後はスマートフォン・タブレットともに「4.X」が搭載されることになります。

 Android 4.0搭載スマートフォンとしては、日本では、まず最初にNTTドコモから「GALAXY NEXUS SC-04D」が11月にも発売される予定です。今後も各事業者からAndroid 4.0を搭載したモデルが発売されることでしょう。

 ちなみに、Ice Cream Sandwichは、「Android 4.0」のコードネームです。Androidのコードネームは、Donut(ドーナツ)、Eclair(エクレア)のように、アルファベット順でデザートの名前がつけられています。最新のバージョン4.0では単に“アイスクリーム”とせず、“アイスクリームサンドイッチ”となったのは、以前のバージョンのコードネームである「Froyo(フローズンヨーグルト)」と、ロゴマークで区別が付きにくいからだ、という説があります。

GoogleがYouTubeで公開した動画では、Google本社内に建立された、Ice Cream Sandwich像が紹介されている

Ice Cream Sandwich(Android 4.0) の新機能

 Android 4.0は、これまでスマートフォン向け、タブレット向けに開発されてきた機能を継承していますが、ベースは3.0系と言えます。たとえば、ハードウェアとしてのバックキーは、端末には基本的になく、その代わりに画面上にソフトウェアキーとして表示されます。こうした点は、Android 3.Xのタブレットのユーザーにはお馴染みでしょう。そうした端末を使っていれば、さほど目新しく写らないかもしれませんが、機能面では、さまざまな点で改良が施されています。


・お気に入りトレイ
 これまでホーム画面のアイコン表示部分には1箇所に1つのアイコンを置くことしかできませんでしたが、複数のアイコンを1箇所に置き「フォルダ」化できるようになりました。

・ウィジェットのサイズ変更
 これはAndroid 3.1以降でもありましたが、ユーザーがウィジェットのサイズを自由に変更できるようになりました。

・スクリーンショット
 細かな改良ですが、これまでAndroid標準ではなかったスクリーンショット機能が搭載されました。これは画面上の表示状態をそのままファイルとして、記録する機能です。

・モバイルデータ通信の制限機能
 Android 4.0 では、モバイルネットワークを使ったデータの流量などを監視できるようになりました。現在バックグラウンドでどのようなプログラムが実行され、どの程度データが転送されたのかをOSの標準機能として確認できるようになりました。
 また、実行されているプログラムを停止したり、あるプログラムがデータ量をある程度以上使ったら通信を強制的に止める、制限も行えるようになりました。

・ブラウザ
 Androidの標準ブラウザがタブブラウザになりました。現在表示中のコンテンツをそのままに新しいブラウザを開くことができ、最大16のタブまで開くことができます。また、Web表示コンテンツは保存でき、後でオフラインで見ることもできます。また、表示ページに関しては、スマートフォン用だけでなく、強制的にデスクトップ版のページを表示することもできるようになりました。

・カメラアプリケーションと編集機能の改良
 Android 4.0では、カメラアプリケーションが大きく改良され、多くの新機能が追加されています。その中でももっとも最も特徴的で便利な機能を挙げるとするとパノラマ撮影機能でしょう。カメラを撮影しながら視点を動かしていくだけで、パノラマ写真を撮影することができます。撮影だけでなく、撮影した写真を編集する機能もAndroid 4.0では追加されました。撮影後、スマートフォン上で写真の切り抜き、回転、シャープ処理などの調整ができます。

・顔認証によるロック解除
 Androidでは、電源投入後など、ホーム画面を表示する前に「ロック画面」が表示されていました。これを解除するために指スライドや暗証番号、パターン認証などによるロック解除方法が提供されていたのですが、Android 4.0では新たに「顔認証」によるロック解除機能が追加されました。Android端末のカメラに、利用者の顔を映し、それが利用者の顔であった場合のみロックを解除できるように設定が可能です。

・Androidビーム
 これは、スマートフォンに搭載されたNFC(近距離無線通信規格)機能を利用したものです。NFC対応のスマートフォン同士を背中合わせにするだけで、名前やメールアドレスや電話番号、写真などを転送できます。Androidビーム機能に対応しているのは、現在のところ、Androidに搭載されているGoogleのアプリケーションのみですが、近い将来APIが公開され、サードパーティ開発元もこの機能を利用したプログラムを作成できるようになる予定です。


エミュレータで実行したAndroid 4.0。「お気に入りトレイ」の作成なども試せる




(大和 哲)

2011/11/1 11:04