第537回:災害・避難情報 とは
「災害・避難情報」とは、国や自治体などが大きな災害で避難勧告や避難指示が行われる際に一斉配信される情報です。
たとえば、津波警報や火山の噴火警報といった自然災害に関わる情報のほか、大規模テロ発生や他国からの弾道ミサイルの飛来などを含め、多くの人にとって生命の危機が及ぶような事態には、この情報が出されます。
これまでにNTTドコモが携帯電話向けサービス「エリアメール」で対応しているほか、ソフトバンクモバイルが2012年2月以降、au(KDDI)が来春以降に対応する予定です。情報の配信元は国や自治体で、それぞれ携帯各社と有料・無料で契約して、有事の際に配信します。なお、ユーザー側の利用料は無料です。
主な携帯電話の対応の仕組み、対応機種は以下のようになっています。既にサービスを提供しているドコモの利用規約を見ると、配信情報の文字数は制限され、リンク(URL)や電話番号、メールアドレスを入れることはできません。似た文面の迷惑メールがあったとしても、区別しやすくなっていると言えるでしょう。
■NTTドコモ
ドコモでは、従来、「エリアメール」というサービスの仕組みを利用して災害・避難情報を配信します。緊急地震速報も同じサービスを利用して配信されています。ドコモの携帯電話向けの災害・避難情報は、緊急地震速報と同じく、ブザー音とともに、携帯電話の画面で情報が表示されます。またメールボックスには専用のアイコンで保存されます。ブザー音自体は、緊急地震速報とは異なります。
ドコモのエリアメールは、パケット通信を使った通常のEメールではなく、CBS(Cell Broadcast Service)方式、あるいはETWS(Earthquake and Tsunami Warning System)方式で配信されます。
ユーザーが受信するための手続きは不要で、対応機種もN705i、F905iのような古めの機種かららくらくホンシリーズ、最新の機種まで対応しているほか、スマートフォンやタブレットでも対応、あるいは対応予定となっています。またドコモのWebサイトでは、配信を行う各自治体のリストも公表されています。
■au
auでは、災害・避難情報を2012年春以降(地域によっては同年7月以降)に提供する予定です。配信の仕組みとしては、これまでのau向け緊急地震速報と同じく「BroadcastSMS」と呼ばれる仕様が用いられます。
これまでもauの携帯電話では、ドコモと同じく、緊急地震速報を受信できるようになっていましたが、この災害・避難情報もあわせて、これら情報配信を行うサービスの総称して「緊急速報メール」というサービス名称となります。
ただし、災害・避難情報に対応するためには、端末側のソフトウェアの改修が必要となるため、対応機種は2011年秋冬モデル以降の機種となります。
■ソフトバンクモバイル
ソフトバンクモバイルは、「災害・避難情報」を、2012年2月以降に提供開始します。au同様、現在提供している緊急地震速報と合わせて、サービス名は「緊急速報メール」となります。情報は、ユーザーに一斉配信され、「災害・避難情報」を受信した場合、端末には警報音、バイブレーション、画面表示で知らされます。配信の仕組みにはCBS方式が採用されます。
対応機種としては、一部機種を除く2011年秋冬モデル以降の機種となる予定で、現在発売中および2011年秋冬モデルで、本サービス非対応のSoftbank スマートフォンについては、ソフトウェアのアップデートによる対応が予定されています。また、ディズニー・モバイルのスマートフォンも対応する予定です。
■通常のEメールとは異なる方式で配信
各社ともに、災害・避難情報は、緊急地震速報と同じ仕組みで配信されます。この方式(CBS方式かETWS方式)は、携帯電話の通信規格で国際標準として取り入れられたものです。
自治体によっては、気象情報などをパケット通信によるEメールで配信するところもあります。またスマートフォンアプリで、そうした情報を取得するものが存在するかもしれません。しかし、今回紹介した災害・避難情報、そして緊急地震速報は、パケット通信とは異なる仕組みで、対象地域のユーザーに対し、スピーディな一斉同報が可能です。大規模な災害などが起こった際には、通信は繋がりにくくなりがちですが、災害・避難情報/緊急地震速報は、そうした影響を受けずに配信されます。ただし、対応端末では、購入直後の状態ではオフになっていることがありますので、利用したい場合は、一度設定を確認しておくと良いでしょう。
2011/10/25 06:00