第475回:QWERTY とは
QWERTYは、キーボードのキーレイアウトの1つで、「クワーティ」と呼ばれます。
3行ある英文字行の最上段左端からの文字が
「Q」「W」「E」「R」「T」「Y」
の順に並んでいることが特徴で、英字キーでは最もよく使われている配列です。
パソコンだけではなく、古くはワープロや英文タイプライターなど多くの機械で、QWERTY配列のキーボードが使われてきました。携帯電話でも、キーボードを搭載している場合、ほぼ全ての機種がこの配列になっています。
最近の機種では、auのシャープ製Android端末「IS01」、NTTドコモの東芝製Windows Phone「dynapocket T-01B」やRIM製の「BlackBerry Bold 9700」、ソフトバンクモバイルのサムスン製Windows Phone「X01SC」などで、QWERTYタイプのキーボードを搭載しています。これらはいずれもスマートフォンですが、一般的な携帯電話ベースの機種でも、たとえばドコモのシャープ製端末「SH-03B」やNEC製「N-08B」などがQWERTYキーボードを搭載しています。
QWERTYキーを使った英字入力の方がテンキーでの英字や日本語の入力より速く入力できる人もいます。また、通話よりもデータ通信の利用率が高まってきていることもあり、一部のユーザーにQWERTYキーは根強い人気があるのです。
■ANSIで標準化
ところでQWERTY配列自体の歴史ですが、その始まりは非常に古く、機械式のタイプライターに遡ることができます。
タイプライター自体はそれ以前からあったのですが、1878年に米国のクリストファー・レイサム・ショールズ(Latham Sholes)が、「タイプライターの改良」として、改善のアイデアを特許申請しています。後に米国特許207559号となったこのアイデアでは、キー配置を「Q」「W」「E」「R」「T」「Y」の順にすることも含まれており、最初の“QWERTY”配列とされています。
1878年に米国のショールズが発明した、最初のQWERTYキー配列。英字キーがQWERTYの順に並んでいる(米国特許公報より抜粋) |
そしてそれから100年以上たった現在では、QWERTY配列は工業規格として定められています。
具体的には、米国内で工業製品などの標準化組織である米国規格協会(ANSI)で標準化されています(ANSI INCITS 154:1988[R2004]Office Machines and Supplies Alphanumeric Machine Keyboard Arrangement)。この中で数字と英字を入力するキーの配置を「ASCII Keyboards」配列として定められています。これを参考に、各国の工業標準、たとえば日本の場合は日本工業規格(JIS)で定めている日本語キーボードの英数字入力レイアウトとして、QWERTY配列が定義されています。
前述の通り、QWERTY配列のキーボードは、多くの機器でよく使われていて、英語だけではなく、日本語入力などでもこの配列になっていることが多くあるのです。
ちなみに、一般的な携帯電話で多く利用されているテンキー型の英字入力は、電話などの国際標準規格を定めている、国際電気通信連合の電気通信標準化部門(ITU-T)において、標準化されています(ITU-T E.161 Arrangement of digits, letters and symbols on telephones and other devices)。
ANSIの規格では数字行と英文字行は分かれており、数字行が1234……という配置で並んでおり、その次の行にQWERTY、さらにその下に空白を入力するスペースなどのキーが配置されています。
携帯電話といった小型機器などで利用されるQWERTY配列のキーボードでは、数字行を省略し、他のキーとの組み合わせで数字を入力できるようにしていることもあります。
QWERTYキーの配列とテンキーの配列例。携帯電話ではキー数を減らすため、英字/数字を同じキーに割り当てるといった工夫がされている。 |
IS01のQWERTYキー | P-06Bのテンキー |
たとえば、「IS01」では数字行の下にQWERTY行が配置されています。一方、「dynapocket T-01B」に数字行はなく、「Fn」キーと「Y」キーを押すと数字の1、というよった入力スタイルです。携帯電話で一般的なテンキーと比較すると、QWERTY配列のキーボードは、遙かにキー数が多くなります。限られたボディサイズで、ユーザーが満足できる配置するため、さまざまな工夫がされているのです。
2010/7/13 16:27