第460回：docomo IDとは

　「docomo ID」は、NTTドコモに契約しているユーザーが利用可能なIDのことです。

　「My Docomo」や「ドコモオンラインショップ」といった、ドコモが提供するパソコン向けサービスのログイン用IDとして利用されるほか、ドコモ以外のOpenID対応サイトでの「docomo IDでログイン」や、パソコンからケータイへiモードメールで接続用URLが送れる「docomo IDでケータイ送信」サービスなどでも利用されます。

　ドコモの携帯電話ユーザーは、iモードが利用可能な携帯電話からIDを取得可能です。また、iモード未契約で取得したい場合は、郵送でその情報を得ることもできます。

■パソコンとケータイ、どちらで利用しても同じIDがサーバーに送られる

　ドコモ以外のOpenID対応サイトへの「docomo IDでログイン」機能ですが、これは、2010年3月9日からサービス開始された機能です。仕組みとしては、発行IDとしてMy Docomoなどで利用されていたdocomo IDを使って、そのままOpenIDの認証などの仕組みを利用したものといえます。

　なお、OpenIDとは、ひとつのIDでさまざまな対応サイトを利用できる技術です。利用者は、WebサイトがOpenIDに対応していれば、そのサイトにログインするために、自分の普段よく使うサイトが発行するIDでそのサイトを利用することが可能になります。

　日本ではOpenIDのID発行は、OpenID.ne.jpやmixi、Yahoo! JAPAN、livedoor、BIGLOBEなどが行っています。これら発行機関は、OpenIDの用語ではOP（OpenID Provider）と呼ばれます。

　発行されたIDを利用するサイトをRP（Relying Party）と呼びます。RPは、OPから認証情報を受けたり、属性情報の交換などを行うなどが可能です。たとえば、OPとしてmixiを選ぶと、ユーザーが正しいmixiユーザーであると判定されれば、RPにはmixiから利用者のmixiでのニックネームなどの情報が送られてきます。

　RPには、OPのID発行サーバーに接続できる環境があれば、基本的などんなサイトでもなることができます。たとえば、個人サイトでも利用が可能です。docomo IDの場合でもそれは同様で、たとえば、ドコモ公認サイトではない、いわゆる勝手サイトでもdocomo IDによるユーザー認証が可能になります。

　このdocomo IDの場合、RPサイト上で認証を利用すると、OPであるドコモからは「iモードID」「myDocomoに登録されているユーザーの利用機種名を含むユーザーエージェント名の一部」がRPに送られてきます。

　iモードIDとは、「ケータイ用語の基礎知識：iモードID とは」で紹介したように、ドコモのiモード携帯電話がiモードサイトにアクセスする際に、サイトに通知されるID番号です。

　つまり、iモードIDは、これまでも公式・非公式両サイトでユーザー認証のために利用されてきましたが、このdocomo IDに対応したサイトでは、さらに同じ利用者が、パソコンや携帯電話どちらでアクセスしてきても同じIDを使ってアクセスすることができ、RPサイトにとっては、どちらでアクセスしてきても同じユーザーであることを識別することが可能になったわけです。

　なお、docomo IDを使った認証にもiモードIDを使った認証と同様の制約があります。たとえば、同じ利用者がアクセスしたとしても、利用する電場番号を変えた場合はiモードIDが変わってしまうため、RPは同じユーザーであることが識別できません。

　逆に、iモードIDは、同じ電話番号であればどのサイトにアクセスしても同じIDが通知されるため、複数サイトを運営している会社の場合、どのサイトからどのサイトへ渡り歩いたか、といった解析も可能となるということに、ユーザーは注意しなければなりません。ちなみにiモードIDは、携帯電話の番号1つについて1つ割り振られますが、内容はランダムな英数字の羅列で、このIDから直接電話番号を割り出すことはできません。

　また、ユーザーエージェント名には、(実際にアクセスに使用している端末名ではなく)ドコモのユーザー用サイトである「My Docomo」に登録されているユーザーの携帯電話の機種名を含んだ文字列がRPには送られます。実際に利用している携帯電話を機種変更などをして換えても、My Docomo上の登録が変わらなければ変更されません。