第461回:MeeGoとは
「MeeGo」は、Linuxベースのモバイル向けソフトウェアプラットフォームで、「ミーゴ」と発音します。
以前から米国のIntelが、Atomプロセッサーベースのプラットフォーム用に推進していた「Moblin」と、フィンランドのNokiaがインターネットタブレットに搭載している「Maemo」を1つのプラットフォームに統合したものです。
「MeeGo」とそのプロジェクトが発表されたのは2010年2月で、最初のバージョンは、2010年第2四半期にリリースされる予定です。ベースとなったMoblinプロジェクトの運営は、2009年4月から、Linuxの普及・保護・標準化を進めるNPO(非営利組織)であるLinux Foundationへ移管されていることもあり、「MeeGoプロジェクト」もLinux Foundationで運営され、オープンソースモデルにより開発が促進されることになっています。
発売済みの端末へ「MeeGo」が搭載された実績はありませんが、携帯電話、あるいは将来的にはインターネット端末や、小型モバイルPC、ネットブックなどに搭載されることが想定されています。MeeGoは、オープンソースであり、誰にでも無償で提供が可能であるため、Nokiaだけでなく、他のメーカーからのデバイスに搭載される可能性もあります。
MeeGoは、もともと仕様的にも似通ったMoblinとMaemoがまとめられたこともあり、インテルのMoblinを核に、アプリケーション動作環境やモバイル環境への最適化などをMaemoに近づけたようなものになっています。
ターゲットのCPUとしては、MoblinでサポートしていたAtomなどのx86ベースアーキテクチャのほか、MaemoのサポートしていたARMアーキテクチャ向けにも提供されます。
ユーザーインターフェイスやアプリケーションの動作環境としては、ノキアの一部門であるQtデベロップメントフレームワークスが開発する「Qt」が利用されています。Qtは、LinuxだけでなくWindows、Mac OSなど多くのプラットフォームに対応しています。また、開発もC/C++だけでなくコミュニティによってJava、Ruby、Perl、C#などさまざまな言語から利用できるバインディングが開発されていて、多くの開発者にとってアプリケーション開発が容易になっています。
また、Moblinでも利用可能だった、OpenGL/ESをベースとしたGUIライブラリ「Clutter」もMeeGoで利用可能です。アプリケーションの開発環境は一般のユーザにもオープンにされており、開発したアプリケーションを一般に配布することも可能です。
■アプリケーションストア「OVi」が利用可能
MeeGo搭載デバイスでは、MeeGo用のアプリケーションをダウンロードしたり、購入するために「OVi」と「AppUp Center」が利用できるようになったりする予定です。
フィンランド語で「ドア」を意味する「Ovi」は、Nokiaが携帯電話向けに行っているアプリケーションストアサービスです。音楽データのダウンロード販売を行う「Nokia Music Store」や、モバイルゲームサービスの「N-Gage」、地図サービスの「Nokia Maps」が提供されています。パソコン用のデスクトップソフトウェアも提供されており、パソコンからアクセス、ダウンロード・購入したアプリケーションを携帯電話に同期、というような使い方も可能になっています。
また、AppUp Centerは、インテルが現在β版を公開しているネットブック向けのオンラインストアです。インテルの開発者向けプログラム「Atom Developer Program」に参加するデベロッパーが開発したアプリケーションを販売(無料のものは配布)しています。
2010/3/30 12:08