ケータイ用語の基礎知識
第936回:S/N比とは
2020年1月8日 06:00
信号(Signal)とノイズ(Noise)の比
信号の伝送を行うとその経路上や受信時に雑音が発生し、信号の邪魔になり結果として信号が届きにくくなります。S/N比とは、信号(Signal)と雑音(Noise)の比率のことです。SN比、SNRと書かれることもあります。
S/N比は元々、電気通信や信号処理といった、工学分野で使われてきた用語です。一般的な通信や信号処理の分野の用語としてのS/N比は、単位にdB(デシベル、ディービーとも)を使います。
つまり、S/N比は、数値が大きいほど雑音が少なく高品質の信号が得られ、逆に数値が低くなるほど雑音の影響が大きく信号の品質は低くなります。
通信の場合、Signalではなく搬送波(Carrier)に対しての雑音比ということで、特にデジタル通信などの分野ではC/N比、CNRという単語がS/N比に代わって使われることもあります。
S/N比が信号電力 対 雑音電力の比率であるのに対してC/N比は、搬送波電力 対 雑音電力の比率ということになります。意味はS/N比と同じなのですが、搬送波への変復調を伴う伝送系で、伝送信号そのものではなく搬送波におけるノイズを議論していることを明確にするために使われることが多いです。
C/N比が高いデジタルメッセージ信号は、当然、ビット誤り率(Bit Error Rate)、つまりデジタル通信において、送信した0あるいは1が受信時に「誤って」判定される確率を低くでき、結果として通信品質が良くなるという点でもS/N比とC/N比は同じです。
現在は、応用的に他分野の用語としても
本来工学分野で使われてきた、このS/N比という用語ですが、最近では、いろいろな分野で使われ始めてきています。本来の目的の情報と、それ以外の情報の比率を指す用語として便利だからです。
たとえば、映像分野において映したい対象と、ノイズ強度の比率をS/N比と言います。品質工学の分野では、製品のばらつきをノイズとみなして評価尺度にしています。
さらに、社会情報学的分野において、メディアごとのS/N比というような考え方をすることもあります。たとえば「Twitterから目的の情報を探すのは非常に難しい、S/N比が低い」というイメージです。また、デザイン分野では、伝えたい情報が全体要素のどれ程度の割合を占めているかを表す言葉として使うこともあるようです。