ケータイ用語の基礎知識
第904回:VRMとは
2019年5月7日 13:14
3Dキャラクター(アバター)向け共通データフォーマット・VRM
VRMとは、ドワンゴを中心としたVRMコンソーシアムが提唱する、VRアプリケーション向けの3Dモデルデータを扱うためのファイルフォーマットです。
人型のキャラクター・アバターの扱いに特化したフォーマットで、プラットフォームに依存せず、さまざまなアプリで同じデータを使えます。
従来の3Dデータでは、アプリごとにフォーマットが違ったり、あるいはフォーマットが同じでも内部構造が違ったりといったことがよくありました。そのため、同じキャラクターを他のアプリでも使いたい場合、VTuberなどの利用者がアプリに合わせて細かく調整をし直したり、場合によってはシステムに合わせてデータを作り直す必要が生じたのです。
そこで「アバター」に限定した3Dデータフォーマットの定義を作ることで、たとえば、自分で作ったキャラクターで様々なバーチャル世界を行き来できるのではないか、ということで作られたモデル形式がVRMです。
VRM形式ファイルには、アバターデータとして必要な情報がそろっています。たとえば、一人称視点なども含めて、アバターとしての見え方ができるだけ破綻しないように設計されています。
VRM形式のデータが使えるアプリとしては、PC用の「Vワールド」などがあります。Vワールドは、VRMアバターで遊べるオンラインコミュニケーションソフトとして開発中で、現在はオフラインβテストが行われています。
HTC ViveなどのVRデバイスを持っていれば、ニコニコ動画の「バーチャルキャスト」で、自分が作ったキャラクターになりきってチャットなどもできます。
AndroidスマートフォンやiPhoneでは、「VPocket」のようなアプリもあります。VPocketはアバターに様々なポーズを取らせたり、表情の変更、ライティングをしたり、あるいは写真を背景に疑似AR写真を作ったりすることもできます。
VRMデータを作るには
VRM形式のデータを作るには、いくつかの方法があります。たとえば3Dモデルをこれまで作ってきた方にとっては、Unityで.fbx形式からコンバートする方法が馴染みやすいかもしれません。
初心者の方にとっては、ピクシブの「VRoid Studio」などを使って作るのが楽でしょう。このアプリでは素体から髪の長さ、陰、色、や肌、身長の高さ、足の長さ、腰幅、服装の色、服のしわの色を編集していくことで1人のバーチャルキャラクターを作っていくことができます。
ドワンゴとS-courtのiOS/Android向けアプリ「カスタムキャスト」では、作成したモデルをニコニ立体経由でVRMデータを出力し、バーチャルキャストとの連携が可能となる機能の提供が予定されています。
なお、自分で作ったアバターがなくても、他の人が作ったデータを利用することも可能です。VRoidHub(https://hub.vroid.com/)というアバターデータを登録するサイトがあるのですが、ここには作成者が誰でも使えるように公開してくれているデータもあります。
公開されているデータにはそれぞれの利用規約などもあるので細心の注意を払う必要がありますが、自分で作る自信がない場合はこのようなサイトを活用するのもひとつの方法でしょう。