ケータイ用語の基礎知識

第867回:コード決済とは

 「コード決済」とは、店舗などでバーコードやQRコードを表示し、それを読み取ることで決済を行うことを意味するワードです。最近では、コンビニエンスストアなどで買い物をする際、来店客がスマートフォンで決済用のQRコードを表示し、店員がそれをリーダーで読み込み、支払いが済むといった流れで利用されています。

 来店客でなく、店舗側がコードを表示して、来店客がスマートフォンで読み取るというケースもあるでしょう。いずれにしても支払い側も、販売側も、スマートフォンやPOSを使ってコードを読み取り、決済をした上で、銀行口座やクレジットカード、電子マネーでやり取りします。

 また、コードとしては、より情報を多く伝えることのできるQRコード(二次元コード)を使うのが一般的です。そのためQRコード決済と呼ばれることもあります。またスマホ決済と呼ぶ場合もあるようです。

 日本では、LINE Pay、楽天Pay、Origami Pay、d払いなどがコード決済のサービスとして提供されています。

 海外でコード決済の普及率が高いのは、なんといっても中国です。WeChat Pay(微信支付)やAlipay(支付宝)の普及率が高いことは日本でもよく知られているのではないでしょうか。大手のスーパーだけでなく、個人商店、露天に出前、タクシーや、シェアサイクルなどでも使え、中国で滞在するには、今やなくてはならないものになっています。

 このコード決済のメリットは、お金を扱うのに、おサイフケータイにおけるFeliCaのように、専用のハードウェアを内蔵する必要がないことでしょう。

 バーコードやQRコードを表示するだけの解像度の画面や、スキャンするためのカメラがあれば使えます。つまり、導入のハードルはかなり低くなります。

お金を電子的にやりとりするための「トランザクション」

 なぜバーコードやQRコードで、デジタルとは言え、お金の支払いができるのでしょうか。

 それは、コードを鍵にすることで、「誰が」「誰に」「いくら」支払うのか、また、その支払いは正当なものなのかという確認を通信で行い、口座から口座へお金のデータを移すからです。この取引に関する一連の処理のことを「トランザクション」とも言います。

 たとえば、ユーザーがスマートフォンにコードを表示し、店舗のレジで読み取ると、あらかじめ登録しておいた口座、クレジットカードなどからお金が引き落とされます。こうした場合、コード(バーコード・QRコード)は、一定時間だけ有効で、なおかつ、一見するとランダムな数字といった内容です。いわばワンタイムなコードになっており、数字が直接目にされない限り、不正に複製はできません。

 スマートフォンの決済アプリでは、携帯電話回線を通じて、それが正しいワンタイムキーコードが使われた依頼なのか、そして決済要請の内容が正しいかどうかを確認します。

 ユーザーが決済要請内容が正しいと判断した場合は決済完了して金額の支払いを、そうでない場合は異常終了をもって処理を終了します。

 これだけのステップを踏んで、買う側、売る側がそれぞれ「正しい決済である」と判断できる仕組みがあってコード決済は成り立っているのです。

大和 哲

1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)