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国内モバイル決済市場は2023年度に4.3兆円まで拡大、矢野経済研究所予測

 矢野経済研究所は、国内モバイル決済市場に関する調査結果を発表した。調査期間は2018年5月~10月で、調査対象は各種決済サービス提供事業者等。

国内モバイル決済市場規模推移と予測(出典:矢野経済研究所)

 2017年度の国内モバイル決済市場規模(モバイルコンタクトレス・QRコード決済合算)は、1兆円だった。市場規模は2023年度までに4兆円を突破すると見ている。

 日本市場で「Apple Pay」の導入や「Google Pay」の本格展開により、モバイルコンタクトレス決済が急速に拡大していることに加え、QRコード決済の普及により市場は大きく拡大していると分析している。

 モバイルコンタクトレス決済は、2016年10月に日本市場で「Apple Pay」が導入され、2018年に国内の実店舗及びECサイトでnanacoや楽天Edyに加え、SuicaやWAON、そして、QUICPay加盟店でもGoogle Payが利用できる「Google Pay」の本格展開が始まったことで、モバイルコンタクトレス決済拡大の機運が高まっている。

 QRコード決済は、中国で普及している「Alipay」や「WeChat Pay」の利用者を取り込むことを目的として、日本の加盟店の導入が進んできた。2018年に入り、日本国内でQRコード決済サービスを提供する事業者が急速に増加しており、QRコード決済サービス事業者は導入コストや手数料率の低さを訴求し、これまでクレジットカード決済サービスを導入しなかった、もしくはできなかった中小事業者等での導入に取り組んでいる。また、スマートフォンアプリにQRコード決済サービスを組み込むことで、ポイント付与や販促メールの送信など、顧客の利得性を高め、顧客の囲い込みを目的にマーケティング施策との連携が進んでいる。

 ​さらに、ハウスマネー領域においてカードレス化の機運が高まっており、また、日本全体では、キャッシュレス化を推進する動きも出てきているとし、今後キャッシュレス化の軸となっていくのは、スマートフォンを活用したモバイル決済領域であるとしている。一方、QRコード決済においては、今後は決済サービス単体での導入というより、ハウスマネー領域における顧客の維持獲得のためのマーケティング施策と連動した利活用が進むものとみている。

 モバイルコンタクトレス決済は、「Apple Pay」や「Google Pay」などのさらなる利用拡大や、「LINE Pay」の「QUICPay」加盟店での利用など、利用範囲の拡大による市場の成長を予測している。