ケータイ用語の基礎知識

第861回:Google Polyとは

 Google polyは、Googleが公開している3Dオブジェクトのライブラリです。

Google Poly画面

 2017年11月に公開されたこのライブラリには、Googleを始め、さまざまなクリエイターたちが作成した背景画像や、Google Blocksで創り出されたポリゴンモデル、Google Tilt Brushで描かれた3D絵画が大量に収録されています。

 そのテーマも動物、建築物、アート、人、時事的なもの、食品など「ありとあらゆる」と表現できるほど、数多く掲載されています。

 多くのオブジェクトが再利用可能な「Creative Commons」ライセンスを採用しており、比較的自由に使うことができることも特徴です。ただし、現在のところ、クリエイターがオブジェクトを有料で販売する仕組みはなく、CCに基づいて再利用を可能にするか、再利用不可にするしか選ぶことができません。この辺りが他の3Dライブラリのアセットストアと違うところです。

Google Polyに掲載されている3D絵画オブジェクトとアニメーション作成機能を使って作ったGIF画像の例(James Pound/Satoshi Yamato)
※このGIF画像は CC-BY ライセンスで公開されています。著作権に関する情報を表示することで自由にコンテンツを使用できます

 Google Polyに公開できるファイルは、モデルファイル.obj、glTF、glb、またはmtlファイル、テクスチャとしてPNG、JPGを置くことができます。

 スマートフォンでGoogle Polyにアクセスすると(Google VRサービスのインストールが必要になりますが)、物体を3Dで見られる「Google Cardboard」モードなどで3Dオブジェクトを表示できます。このモードでGoogle Cardboardなどのスマートフォン用VRヘッドマウンタで見ると、宙に浮かんで3Dオブジェクトが見られるはずです。

Poly用のデータを作成できる「Tilt Brush」「Blocks」

 Googleではまた「Google Tilt Brush」、「Google Blocks」というような初心者クリエイター向けのツールも公開しています。

 「Tilt Brush」は空間にインクやスモークなどでブラシツールの要領で空間に絵を描いていくことで3Dオブジェクトを作るものです。

 「Blocks」はその名前の通り、ポリゴンでブロックを作っていき、それを空間に配置したりつなげたりすることで、3Dオブジェクトが作れます。

 どちらのツールも、使用にはOculus Rift、またはHTC Viveというような機器が必要ですが、バーチャルリアリティ空間上で、落描きや積み木を積む要領で立体物のオブジェクトデータを作ることができるのです。

 そして、これらで作成したデータは「Google Poly」にそのままエクスポートできます。

 たとえばOculusには「Medium」という優れたオブジェクト作成ツールがあり、それに比べると「Blocks」は非常に表現力の弱いツールです。しかし、初心者でも比較的簡単に立体造形ができること、それにポリゴン数が少なくテクスチャも粗くてよいならパソコンのブラウザや、スマートフォンでも見られます。手軽な環境を用意することで、間口を拡げることもまたGoogleの目指すところなのでしょう。

大和 哲

1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)