ケータイ用語の基礎知識

第855回:マルチタスク とは

 今回紹介する「マルチタスク」とは、複数の仕事を同時に実行することを意味する言葉です。スマートフォンやパソコンでは、複数のアプリなどを利用する際に使われます。

 本来、コンピューターは、1つのタスクを順番に実行することしかできません。それは、スマートフォンに搭載されているコンピューターでも同じことです。

 そうした前提があっても、複数のタスク(仕事)が同時に実行される、あるいは見かけ上、そう処理されているように見せることをマルチタスクと呼ぶわけです。スマートフォンのOSであるAndroidやiOSは、マルチタスクに対応しています。

 マルチタスクを実現する方法はいくつかあるのですが、一番分かりやすく簡単なのが「タイムシェアリング方式」によるマルチタスクでしょう。

 たとえば「A」「B」「C」という3つのタスクがあるとします。シングルタスクのOSであれば、Aが実行されている間、他のタスクは実行されません。タイムシェアリング方式の場合、それぞれのタスクに「一度に実行できる時間」をあらかじめ決めておきます。もし「A」が実行されていても、事前に決められた時間になれば、強制的に「B」が実行されるよう制御するわけです。ごく短い間隔で、「A」「B」「C」が切り替えられて処理されれば、ユーザーからすれば、同時に処理されているように見えるということになります

タイムシェアリング方式によるマルチタスクの実現方法。短い時間間隔を決めておき強制的に実行しているタスクを切り替える。これで同時にタスクが複数実行しているように、ユーザーには見える

 ちなみに、マルチタスクと相性のよいユーザーインタフェイスとして「マルチウィンドウ」というものがあります。これは、実行するそれぞれのタスクに、画面表示するウィンドウを割り当てるという機能です。

 マルチタスクと似たような機能に「マルチスレッド」と呼ばれるものがあります。これは、複数のタスクを、いくつかの「スレッド」に分けて並列処理するという場合に使われます。

 コンピューターのプログラムは、1つずつ順に実行されていきますが、順に流れていく一連の動きを、「スレッド(thread、糸を意味する英語)」と呼びます。プログラムの作り方によっては、複数のスレッドを同時に実行されるようにすることができます。これを「マルチスレッド」と呼ぶのです。

大和 哲

1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)