ケータイ用語の基礎知識

第834回:POSAカード とは

 「POSA」とは、ギフトカードやプリペイドカードに関連する技術のひとつで、店頭で支払いをする場であるレジで「アクティベーション(有効化)」をしないと、ギフトカードやプリペイドカードが使えない、という仕組みのことです。

 現在では、コンビニエンスストアやスーパーマーケット、量販店などで各種カードが売られています。たとえば、Google PlayやAmazon、LINEなどのものなどです。VISAギフトカードやJCBプレモカードのようにクレジットカード代わりに使えるものもあります。

 額面が3000円、5000円、10000円と比較的高額で金券に近い要素のあるカードですが、レジカウンターの中でなく、誰もが手に取れる場所に陳列されて販売されているのには訳があります。これらのカードは、レジで代金を支払い、店員が「アクティベーション」という操作を行わないと有効なカードにならないのです。万が一、万引きや盗難されても、そのままでは使うことはできません。

 たとえば、プリペイドカードの券面にバーコードやスクラッチの両方が添えられ、スクラッチだけ削って使おうとしても使えません。バーコードをレジで読み取ってアクティベートされていなければ、スクラッチを削って出てくる下のシリアル番号などは無効になります。

 このようなカードのことをPOSAカードといいます。POSAとは、「販売アクティベーションの場所」を意味する英語「Point Of Sales Activation」から来ています。ちなみに「POSA」は日本ではインコム・ジャパンの登録商標です。また、諸外国でも米インコムの子会社などが各国で商標を登録しています。

POSAは2014年のグッドデザイン賞を受賞している(当時のプレスリリースより)

万引きリスクのないプリペイドカード、展示も派手に行える

 かつて高額なギフトカードやプリペイドカードを店頭で販売するにはいくつか問題がありました。ひとつは、先に挙げた盗難や万引きのリスクです。在庫を持てば持つほどそれだけリスクになっていたわけです。また、販売店にとってはどれだけ在庫を持つべきかという点も課題でした。

 しかし、これらは、POSA技術によって解決されました。POSAカードでは、レジからオンラインで繋がるセンターへ「このカードを有効化してください」と働きかけます。その時点で、センターは有効なカードとしてデータベースへと登録するのです。カードが他店舗やWebサービスで利用される際には、センターのデータベースを参照し、利用できるかどうか判断しているわけです。

 このような仕組みのおかげで、POSAカードは盗難・万引きのリスクを恐れずに、店頭の比較的目立つ場所へ設置できるようになりました。インコムでは、単なる決済手段だけではなく、プロモーションとしても役立つとアピールしています。たとえばデジタルコンテンツを販売する際に「こんな商品がありますよ」と来店客に知らせることができるという意味でも有益でしょう。

 POSAカードを有効化したあと、ユーザーは自分のスマートフォンやパソコンの決済手段として利用できるようになり、コンテンツをどこでもダウンロードして利用できます。プラスチックカードであること、POSレジで有効化することは、商品パッケージの製造や物流などでもコスト削減に繋がっているわけです。

 なおPOSAカードには、有効期限が設けられていることがあります。残高が残っていても、期限を迎えると、無効になってしまうのです。ユーザーとしてはそういった点も念のため確認しておきましょう。

大和 哲

1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)