ケータイ用語の基礎知識
第820回:AOSP とは
2017年8月29日 11:48
「AOSP」は、スマートフォンに多く使われているソフトウェアプラットフォーム「Android」の開発プロジェクトです。Androidオープンソースプロジェクト(Android Open Source Project)の略から来ています。
AOSPは、そのリポジトリ(ソフトウェアの貯蔵機構のこと)やWebサイトからさまざまなものを提供しています。その中で最もよく知られているのが「Android」です。最近では、2017年8月、最新OS「Android 8.0 Oreo」が、AOSPで公開されました。Androidは、Googleが開発したものがAOSPを通じてオープンソースプログラムとして公開されます。そして、AOSP上で改良・改善され、レベルアップ(マイナーバージョンアップ)がさらに行われます。
OSそのものだけでなく、セキュリティパッチや、OS周辺の情報、開発ツールなども提供しています。たとえば、AOSPのサイトでは、掲示板が公開されており、OSに対する指摘を行ったり、その内容を他の人が見られるようになっています。
あるいは「AOSPガイドライン」というような、AndroidがAndroidとしてあるべきガイドラインや、たとえば、Androidを搭載した機器が互換性を保っているかをテストするツール「CTS」なども公開されています。
AOSP版から機種用としてリリースされるまで
AOSPで公開されているAndroidは、俗に「AOSP版Android」や「素(す)のAndroid」などと呼ばれます。しかし、そのままスマートフォンやタブレットにインストールされているわけではありません。グーグルが提供するスマートフォン「Pixel」、あるいはそれに準じた存在と言える「Android One」といった機種でさえ、実際にインストールされているのは、AOSPをベースに修正されたものです。
AOSPでAndroidのソースが公開されてから、端末用のパッケージとして配布、インストールされるまでは次のような流れになっています。
まず、AOSPに"素のAndroid"が公開されます。このAOSP版Androidにチップセットメーカーが、カスタマイズやコードの追加などを行います。
スマートフォンやタブレットには、CPUやGPUといった機能を集積したチップセットが搭載されています。Androidを動かすため、あるいは互換性を保つためといった目的のために、このチップセットに合わせてOS内部の修正や、コードの追加を行うわけです。
チップセットメーカー版のAndroidを使って、さらにスマートフォンのメーカーが修正をかけます。スマートフォンメーカーは、チップセットメーカーからチップセットを購入し、設計、そしてスマートフォンを製造しています。スマートフォンの仕様や設計、それから通信事業者からの要求によってもOSの修正が必要になるのです。ここでようやく、Androidはスマートフォンで利用できる形になります。
機種ごとに手を入れられたAndroidは、スマートフォンが工場から出荷される際にあらかじめインストールされます。バージョンアップの場合は、ソフトウェアアップデートという形で通信事業者や、メーカーから配信されるのです。
こうして見ると、AOSPはAndroidの源流と言えます。しかし、公開されてから時間をかけて機種ごとのパッケージが開発され、スマートフォンで使われるAndroidとなるのです。Android 8.0 Oreoも、AOSPとして公開されましたが、多くのスマートフォンで利用できるようになるのは、2017年末~2018年初頭と見込まれています。