「D903iTV」は、厚さ20mmをきるコンパクトボディに、D90Xiシリーズのスライドスタイルを継承した三菱電機製のFOMA端末。「iTV」の名称のとおり、ポイントとなるのは、ワンセグ対応だろう。ワンセグはスライドの開閉に連動し、縦画面でワンセグとデータ放送の表示、横画面で2.8インチのディスプレイをフルに使ったワンセグ表示が可能となっている。
また、「D902iS」から採用されている回転式の方向キー「スピードセレクター」を利用することで、回転させてチャンネルが変更できる。本来であれば、古いグテレビのように、ダイヤルを回転させるとチャンネルも次々に切り替わって欲しいところだが、チャンネルが切り替わるレスポンスは他の端末と同様に数秒かかる。見劣りするわけではないが、サクサクしたチャンネル切替を期待している人は店頭の実機で使用感を確かめてみるといいだろう。
なお、視聴中にメール受信した場合はメールアイコンで通知される。マルチタスク機能があるので、テレビの音声を聴きながら「今、ドラマ観てるよ~♪」なんてメールも返信可能だ。さらに、OFFタイマーも用意されており、設定しておけばそのまま寝てしまったとしても、時間になればワンセグが自動終了する。「目が覚めたら電池が切れていて困った」なんて事態も回避できるのだ。
番組の録画は可能だが、予約録画といった機能はない。代替機能として利用できる「テレビ視聴予約機能」は、観たい番組の日にちや時間を設定しておくと、番組開始の時刻にアラーム音などで通知してくれるというもの。このほか、音声なしでもワンセグが楽しめる字幕表示機能も利用できる。
気になるのは、ワンセグのアンテナが搭載されていない点だ。コンパクトな代わりに、側面部の平形イヤホン端子にトランシーバーのような外部アンテナやイヤホンを接続しなければワンセグが視聴できない。パッケージには、アンテナをストラップとして持ち運べる刀のさやのようなアンテナケースも用意されている。
そのほかの機能はD903iベースとなっている。快適な操作フィーリングを実現する「スピードセレクター」は、使うほどに利便性を感じるポイントだ。例えば、フルブラウザなどを利用した際の画面スクロールは、パソコンのマウスに搭載されているスクロールホイールを操作するような直感的なものとなっている。フルブラウザは横画面で表示させてもスクロールできる。また、着うたフルやNapsterといった音楽サービスを利用する際も、iPodライクな操作が期待できる。個人的にうれしいのは、待受画面で操作キーを回転させると、そのままメニュー画面が表示できる点だ。小さな配慮だが、メニュー画面へのアクセスが非常にスムーズに感じる。
「D903iTV」は、コンパクトな端末で大画面(2.8インチ)のワンセグを楽しみたいユーザーにお勧めだ。ただし、同じくスライド式+ワンセグ対応であるauの「W52T」、ソフトバンクの「911T」と比較すると、機能の充実度で見劣りするところもある。とはいえ、「スピードセレクター」の気持ちよさは他の端末にはない大きな魅力なので、この操作スタイルをどう評価するかが購入のポイントとなるだろう。