従来のP90Xiシリーズと同じく、カスタムジャケットをサポートしており、ハイエンドのFOMA端末としては唯一着せかえを楽しめる機種だ。これも魅力の1つと言えるが、既にPシリーズを持っている人にとっては、そこだけで機種変更はできないかもしれない。
P903iのオリジナル機能では、やはりあんしんキーを使ったセキュリティ機能が目立つところか。特定小電力無線を使ったロックおよびロック解除機構は、確かに手軽に利用できる。財布の中にあんしんキーを入れておくだけで良いのだから、非常に手軽だ。
iアプリ関連では、OpenGL ESをサポートしたことにより、スクウェア・エニックスの「ダージュ オブ ケルベロス ロストエピソード -ファイナル ファンタジーVII-」が楽しめる。OpenGL ESは、P903iとP903iX HIGH-SPEEDのみサポートとなっており、ゲームコンテンツを楽しみたいのであれば、魅力の1つとなるだろう。プレイする前は、動作がもたつく可能性もあると考えていたが、実際に楽しんでみると、ストレスを感じることなくプレイできた。ただ、P903iだけではないのだが、iアプリ中にメールを受信すると一瞬動作が止まってしまう。これは今後、改善して欲しいところだ。
903iシリーズからiアプリがバージョンアップし、新たに「メガiアプリ」となったが、中心となっているのはゲームコンテンツ。私の場合、RPGや戦略シミュレーションなどのジャンルはともかく、シューティングやアクションなどは携帯電話のキーではちょっと遊ぶ気力が沸いてこない。もちろん携帯電話用に操作がアレンジされるケースはあるが、移植版の場合、そのゲームの本質的な楽しさを保てているのだろうか。また、容量拡大によってもたらされるのがゲームの表現力向上、というだけでは少し寂しいし、ゲームだけではなく、他のジャンルにも期待したい。
さらにスクラッチパッドを外部メモリカードに保存するようになると、従来のiアプリを遙かに凌ぐものが登場する可能性がある一方で、ユーザーにとってはその分コストがかかることになる。特に今はmicroSDカードへの移行期とも言えるだけに、アプリに期待して購入する場合は注意したいポイントだ。
このほか音楽関連機能として約70時間という長時間再生が可能なことも特徴の1つだろう。マルチメディア関連では、専用アプリによって大容量動画コンテンツを楽しめるが、これはmicroSDカードが必須となっているので注意したいところだ。
使い勝手は、P902iの頃からさほど変化はない。デフォルトのメニューアイコンの操作感がもたついたり、デコメールの「文字スタンプ」のバリエーションがあまり増えていなかったりする。またスペックを見ると、液晶ディスプレイのサイズは一般的と言えるもので、ボディサイズは厚さ23mmで手に取ってみるとやや大振りに感じるなど、気になるところはいくつかある。
その一方で、第2階層の画面遷移がよりわかりやすくなったり、メールに添付する画像の撮影でサイズ変更できたりするなど、改善している点は数多い。また、「液晶AI」によってディスプレイのバックライトが自動的に調節される機能、あるいは数字キー周辺のバックライトが明るくなって見やすくなった点は嬉しいポイントだろう。
カスタムジャケットや長時間音楽再生、あんしんキーといった点は、店頭ではその魅力がよくわからず、所有者だけが実感できる良さかもしれないが、自分自身がケータイに求めるポイントを整理した上で購入を検討してみよう。