■ ムービースタイルNEXTとSD
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NTTドコモ/パナソニック モバイルコミュニケーションズ『P900iV』。サイズ:50×102×27mm(折りたたみ時)、137g。ブロンズオレンジ(写真)、シャンパンゴールド、クラウドブラックをラインアップ
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P900iVは今年春に発売されたP900iをベースにしながら、AV機能を強化した端末だ。なかでも特徴的なのがP2102Vで好評を得た「ムービースタイル」と「モバイルビデオ」をさらに進歩させている点だ。まずはこの2点に絞って、仕上りをチェックしてみよう。
【この端末のチェックポイント】
- ムービースタイル
- モバイルビデオ
- 基本機能もチェック
- こんな人にオススメ
●スタイルの変化で「撮る」「見る」を実現
昨年発売されたP2102Vは、折りたたみデザインを採用しながら、液晶ディスプレイを90度、ツイストさせることにより、ビデオカメラのようなスタイルで撮影ができた。パナソニックによれば、ムービーを活用したいという高機能指向のユーザーだけでなく、いわゆる『公園デビュー』をする若いママさん層にもウケが良かったという。
今回のP900iVは「ムービースタイルNEXT」というキャッチコピーからもわかるように、このムービースタイルを進化させ、液晶ディスプレイを反転して折りたためるようにしている。つまり、最近の端末で増えている二軸回転式のヒンジを採用したわけだ。ただ、ムービースタイルでの利用もきちんと考慮されており、カメラは左側面のヒンジ部に内蔵され、ヒンジ部の反対側にはシャッターボタンやズームボタンが装備されている。液晶ディスプレイを前面に出して折りたたんだ状態は「ビューアスタイル」と呼ばれ、後述するモバイルビデオの再生などにも適している。
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ムービースタイルではビデオカメラの感覚で撮影が可能。シャッターボタンは押しやすいが、ズームキーの操作性は今ひとつ。側面ボタンでメニューを操作するのも慣れが必要だろう
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液晶ディスプレイは90度まで開いたときにツイストさせることができる。ヒンジ部は十分な剛性感があり、安心して使える。開発時にはこの状態での落下テストもくり返したとか
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P900iVのムービースタイルが特徴的なのは、それぞれのスタイルに応じて、機能を起動できるようにしている点だ。たとえば、端末を開いた状態からムービースタイルに移行すれば、サイドカメラが起動し、カメラが起動した状態から端末を開いた状態に戻せば、メインディスプレイ側のカメラに切り替わる。ビューアスタイルしたときは、イメージビューアやiモーションプレーヤーが起動し、撮影した動画や静止画を再生できるようにしている。このスタイル連動は設定メニュー内でON/OFFができるのだが、欲を言えば、いずれか片方のみを連動できるようにするなど、選択肢を増やして欲しかったところだ。
左側面に装備されたメインカメラは195万画素CCDを採用している。P900iはオートフォーカス機構を搭載していたが、P900iVはムービー指向を強めたためか、オートフォーカスは搭載されておらず、サイドカメラ横で標準/接写の切替ができるのみだ。しかし、画素数的にはP900iVの方が高く、最大1600×1200ドットでの静止画撮影が可能だ。動画も最大320×240ドット/15fpsで録画できるため、かなりスムーズなムービーが楽しめる。ちなみに、撮影した静止画や動画はイヤホンマイク端子に付属のAV出力ケーブルを接続することで、家庭用テレビなどに映し出して再生することが可能だ。
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ディスプレイを前面に本体側に折りたたんだ「ビューアスタイル」。反転した状態は通常の折りたたんだ状態とあまり変わりがない。ただ、この状態で持ち歩くには少し勇気が必要かもしれない
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P2102Vではカバー付きだったカメラは、レンズ部がむき出しの状態に変更された。レンズ部上には標準/接写切替スイッチを備える。背面ディスプレイ横にはiモードロゴのエンブレムが備えられているが、「i」の点と棒の間にはマイクが埋め込まれており、ムービー撮影時のマイクとして使われる
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ただ、実際に使ってみて気になるのは、ムービースタイルで撮影しようとしたとき、設定変更のために側面の[モード/ホーム]ボタンなどを操作しなければならなかったり、画面上にガイダンスがほとんど表示されなかったりする点だ。ムービースタイルで起動し、どのボタンで何が切り替わるのかなどを把握し、ある程度、操作に慣れる必要があるだろう。
●ビューアスタイルでモバイルビデオ
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ムービープレーヤーの一覧画面ではファイル名とサムネイル表示が可能。横長表示、縦長表示のそれぞれに合わせ、ほぼ同じデザインの画面が表示される
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P900iVのもうひとつの特長は、DIGA DMR-E200Hなどで録画した番組をminiSDカードに保存し、再生できるモバイルビデオなど、SDカードによる連携が強化されていることだ。モバイルビデオの機能はP2102Vでもサポートされていたが、DMR-E200Hの発表とタイミングが違ったため、あまりユーザーに知られなかった経緯がある。これに対し、P900iVはメディアがminiSDカードになったが、SDカードによる録画環境が充実してきたため、かなり積極的にアピールされている。
ケータイで再生できる動画のファイルフォーマットはいくつかあるが、P900iVはiモーションで採用されている3GPP形式のほか、SDビデオ規格のASF形式に対応する。こうしたモバイルビデオの動画は録画サイズ(解像度)が176×144ドットなどのように、小さいサイズに制限されていることが多いが、P900iVは最大320×240ドット/30fps、ビットレートも最大1.5MbpsのASF形式のファイルを再生できる。つまり、P900iVの画面いっぱいに高画質の動画が再生できるわけだ。もちろん、最近、増え始めているAVプレーヤーでMPEG-2ファイルを再生した環境にはかなわないが、手のひらサイズのケータイで手軽に楽しめるのは大きなアドバンテージだろう。ちなみに、P900iVのムービープレーヤー(iモーションプレーヤー)は、しおり機能が用意されており、動画の再生中に着信があったとき、通話を終了したときに前回の終わったところから再生することができる。ユーザーが任意の場所に2カ所までしおりを設定しておくことも可能だ。さらに、再生中の動画の動きに合わせ、液晶ディスプレイの明るさを自動的に調整する「液晶AI」という機能も搭載されている。
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ビューアスタイルに合わせ、卓上ホルダの底面には足が装備されている。この状態なら、机の上でも動画を楽しみやすくなる
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miniSDカードスロットはヒンジ部に装備されている。筆者の環境では256MBのminiSDカードの動作を確認している(512MBはまだ試していない)
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ただ、こうした面白い機能も再生できる動画を簡単に生成できればの話。筆者は今のところ、DIGA DMR-E200HでMPEG-4同時録画を設定し、録画した番組をminiSDカードにコピーして使っているが、PCに内蔵したテレビチューナー機能で録画したときは、何らかの形でASF形式のファイルに変換しなければならない。もっともわかりやすいのは以前、他機種のレビューでも紹介したパナソニックの「SD-MovieStage」だが、このアプリケーションは多くのテレビチューナー機能で採用されているMPEG-2形式からの変換に対応していない。MPEG-2からのASF形式への変換に対応したアプリケーションとしては、Panasonicが新バージョンをリリースした「MediaStage Premium Edition」などが挙げられる。しかし、こうしたパソコンで録画した番組を活用する情報はあまり積極的に提供されておらず、購入したユーザーが今ひとつ活用できない状況にある。ちなみに、SDビデオの連携としては、筆者の利用するDMR-E200H、後継モデルのDMR-E500H、SDマルチカメラの「D-snap」なども利用可能だ。
■ P900iから改良されたデコメール
P900iVはP900iと基本的なソフトウェアが共通仕様となっているが、発売された時期も若干、異なるため、使い勝手の面でもいろいろな改良が図られている。基本機能を中心にチェックしてみよう。
●ビューアスタイルでのコンテンツ閲覧に対応
P900iVのメニュー画面はP900iと共通となっているが、P900iVではビューアスタイルでいろいろな操作をできる点が異なる。ビューアスタイルでは右側面の[機能/メニュー]ボタンから操作を行なう。短押しで[iモード]メニュー、長押しで通常の[Main Menu]、カーソルの移動は右側面の[ズーム]キー、操作の決定は[シャッター]ボタンを利用する。短押しで[iモード]メニューが表示されるため、コンテンツ閲覧は簡単だが、メールは[Main Menu]から呼び出すしかないので、やや操作性に不満が残る。ちなみに、スタイル連動をONに設定していると、ビューアスタイルに切り替えたとき、イメージビューアやiモーションプレーヤーが起動してしまうが、右側面の[クリア]キーを押せば、ひとつ上の階層の画面に戻ることができる。もちろん、スタイル連動をOFFにしてもかまわない。
●メール
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デコメールの作成画面はパレット式を採用し、P900iよりも使いやすくしている。[開始]ボタンで、本文入力とパレットが切り替えられることを覚えるのがコツだ
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メールの管理はP900iとほぼ同じ仕様。フォルダへの自動振り分けの条件も題名やメールアドレスから設定できる
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メールの基本的な仕様はP900iと共通だが、デコメールの利用を考慮し、若干、ユーザーインターフェイスが変更されている。P900iではデコメールで効果を加えるとき、[機能]メニューから項目を選ぶ必要があったが、P900iVではパレット入力にも対応し、パレットから効果を選べるようにしている。デコメールのパレットは[開始]ボタンで呼び出すことができ、[テレビ電話]ボタンで効果を加えた状態をプレビューできるようにしている。
メールの管理はP900iと共通で、フォルダによる管理やゴミ箱機能も用意されている。日本語入力は通常入力のほかに、T9入力にも対応しているが、N506iなどが対応したT9入力の漢字直接変換には対応していない。
●カメラ及び画像編集
カメラは前述の通り、左側面に195万画素CCDカメラ、液晶ディスプレイ上に自分撮り及びテレビ電話用10万画素CMOSカメラを搭載している。他機種ではカメラキーを押して起動するのが一般的だが、P900iVはスタイル連動をONに設定しておけば、スタイルを変更するだけでカメラを起動できるのは便利だ。スタイル連動をOFFにしているときは、[テレビ電話]ボタンの長押しでカメラが起動できるのを覚えておきたい。
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SXGAサイズのサンプル画像。(モデル:篠崎ゆき/スーパーウイング所属)
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SXGAサイズのサンプル画像。こちらは逆光のため、人物が少し暗くなってしまった
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ムービースタイルでは液晶ディスプレイの向きが変わるため、サイズ変更やトリミングの種類も増えている。できれば、VGAなどのサイズも欲しいところだが……
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画像編集もP900iとほぼ共通仕様で、制限もあまり大きな違いはない。ただ、リサイズとトリミングについては352×288ドット以下のフリーサイズを選べるようになっている。とは言え、カメラの画素数が向上し、最大撮影サイズがひとまわり以上、大きくなっているのだから、このあたりはもう一歩、機能向上を期待したいところだ。
動画の編集については「αブレンド編集」という機能が用意された。「αブレンド編集」は撮影した動画に静止画や文字、イラストなどを挿入して、オリジナルのムービーを作成する機能だ。静止画の挿入もスライドインやフェードアウトなど、見栄えのするエフェクトを加えられるようにしている。ただ、動画と静止画では画質や解像度が異なるため、納得のいくムービーを作成するには慣れが必要だ。
また、カメラを利用するテレビ電話は、液晶ディスプレイ側のカメラを利用するのが基本だが、ムービースタイルに変更して、周囲の様子を映し出すこともできる。FOMA端末の中で、もっとも実況中継的なテレビ電話が楽しみやすい環境と言えるだろう。同様のスタイルを変化させた活用例としては、音声通話中に静止画をメールで送信できる「えチャット」が挙げられる。送信できる画像サイズは制限されるが、電話帳にメールアドレスを登録しておけば、誰でも同じように通話中に画像付きメールが送信できるので、意外に活用例が多いかもしれない。
●付加機能
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スケジュール機能は全般的にシンプルな構成で、あまり凝ったことはできない。スケジュール機能そのものも待受画面をカレンダーに設定したとき以外は、あまり呼び出しやすくない
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スケジュール機能は[Main Menu]画面から[アクセサリ]-[スケジュール]で呼び出すことができるが、待受画面にカレンダーを設定すれば、コマンドナビゲーションボタンを押して呼び出すことも可能だ。登録件数は100件までで、毎日、曜日指定(毎週)などのくり返し設定ができ、0~99分の範囲で事前通知も設定可能だ。アイコンも割り当てることができるが、標準設定のものの他に、カメラで撮影した静止画(VGAよりも小さいサイズ)やiモードからダウンロードしたアニメーションなども表示させることもできる。
休日や記念日は100件まで登録できるが、1日単位でしか登録できないので、期間の休みはひとつずつ設定する必要がある。休日や記念日はくり返し設定もできるが、年単位でのくり返しになるため、「毎週火曜日」といった休日は個別設定が必要だ。ちなみに、登録したスケジュールはminiSDカードに保存し、バックアップすることもできる。
ただ、スケジュール入力時に現在の日時が参照できなかったり、画面表示などもかなりシンプルなため、今ひとつ本格的に使おうという気が起きにくいスケジュール機能だ。もう少し工夫を凝らした機能を期待したい。
■ ムービースタイル&ビューアを活用するなら「買い」
最後に、P900iVの買いについて考えてみよう。FOMA P900iの派生モデル的な位置付けがなされているP900iVだが、P2102Vで支持されたムービースタイルをきちんと進化させ、「撮って」「見て」「楽しむ」端末として仕上げられている。市場の反響を見てもわかるように、P900iのカスタムジャケットは大きな魅力だが、内部の機能やソフトウェアはP900iVが一歩進んでおり、「使う」楽しみがさらに増している。
これらのことを総合すると、P900iVはムービースタイルで手軽に動画を撮影したいユーザー、ビューアスタイルでカメラで撮影した動画や静止画、録画したテレビ番組を楽しみたいユーザーということになる。P900iがカスタムジャケットで「魅せて楽しむケータイ」とするなら、P900iVはムービースタイルとビューアスタイルで「使って楽しむケータイ」という印象だ(P900iが使えないという意味ではない)。ただ、P900iのレビューでも触れたように、mova端末のPシリーズは使いやすさや機能で高い評価を受けてきた経緯があるが、FOMAのPシリーズは使いやすさに対する工夫がまだまだ足らない印象が残る。Nシリーズとの協業という制約はあるにせよ、movaのPシリーズのユーザーも納得できるユーザーインターフェイスの追求を期待したい。
■ URL
ニュースリリース(NTTドコモ)
http://www.nttdocomo.co.jp/new/contents/04/whatnew0601.html
製品情報(NTTドコモ)
http://900i.nttdocomo.co.jp/p900iv.html
ニュースリリース(パナソニック モバイルコミュニケーションズ)
http://panasonic.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn040617-2/jn040617-2.html
製品情報(パナソニック モバイルコミュニケーションズ)
http://panasonic.jp/mobile/p900iv/index.html
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(法林岳之)
2004/11/18 12:15
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