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Facebook Japan、2016年はモバイル広告ネットワークを本格展開へ
代表取締役の長谷川晋氏が取り組みを解説
(2015/12/9 16:09)
Facebookは、日本のオフィスにて記者向けのイベントを開催し、2015年10月にFacebook Japanの代表取締役に就任した長谷川晋氏から、2015年の総括や2016年の取り組みが解説された。
2015年、ターゲティング精度を背景にしたモバイル広告に手応え
日本市場において、2015年末におけるFacebookのユーザー数(MAU)は2500万人強。このうち1日の平均利用率は64%になっている。長谷川氏が「完全にモバイルシフト」と言うように、92%のユーザーがモバイル端末からもアクセスし、投稿された動画も、1日のうち90%はモバイル端末で再生されている。
Facebookグループの傘下にあるInstagramは、日本でのユーザー数が810万人(MAU)で、前年比2倍以上の伸び。モバイルアプリとしてスタートしているサービスであり、グローバルでは1日の平均利用時間が21分間になっているとも紹介された。
ビジネス面での展開は、広告が中心。その対象範囲は具体的な購買に結びつけるものから、ブランドの認知といった初期段階のものまで広がっており、広告の写真部分を横にスクロールできるカルーセルと呼ぶ仕組みで、画面サイズに囚われない表現を可能にしている。
動画広告も2015年に大きく注力された部分で、ユーザーの居住地や出身地に合わせて内容を変更する広告が登場するなど、個々のユーザーへの最適化が可能なFacebookのターゲティング精度の高さを確認する取り組みとなった。
広告の仕組みや精度とは別に課題として挙げられたのは、クリエイティブ(広告における具体的な制作物)の重要性で、結果の出ていない広告は、クリエイティブの質や方向性が課題になっていると指摘した。同社はレベルの高いクリエイティブを制作できる人材やチームを抱えており、広告クライアントや広告代理店と協力しながら、取り組みを強化していく方針。
「大前提はスマホ。ユーザーは着実に増えており、量だけでなく質にも手応えを感じている。広告もモバイルに最適化し、結果が出始めている」と長谷川氏は2015年を総括した。
2016年、モバイル広告を次のステップに
では2016年のFacebookの取り組みはどうなるのか。グローバル全体でのFacebookとしては、傘下に収めているOculus Riftによる「VR」への取り組みが大きな流れとする。テキストメッセージから始まったスマートフォンのコミュニケーションは、写真、動画と進展し、その次がVRになると位置付ける。例えば、相手にVRヘッドセットを付けてもらい、自分が今いる場所の様子を、その場にいるような感覚で体験してもらうといった利用が考えられるという。
日本では、「Facebook」「Instagram」の2つに加えて、「Audience Network」の本格展開を行う。これは、クライアントが、Facebookの広告ネットワークを通じて、Facebook以外の他社のアプリ上にも広告を配信できるというもの。ターゲティング精度やキャンペーンはFacebookに由来し、クライアントはFacebook以外でも精度の高い広告配信を期待できる。
長谷川氏は、「2016年はAudience Networkをどんどん加速していく。ようやくアクセルを踏める段階になった」としており、2016年に本格的に展開していく方針を示した。
同氏からはこのほか、中小企業がマーケティングを含めて情報を発信をしやすいようサポートしていく取り組みや、前述のクリエイティブ関連の強化が紹介された。
Facebook Japan 東京オフィス
イベントでは、会場となった東京・六本木にあるFacebook Japan 東京オフィスも紹介された。過去3年で5倍に人員が増えたという東京オフィスは、これまで入居していたエリアが拡大され、ワンフロアすべてがFacebook Japanになり、InstagramやOculusチームも合流している。フロアのデザインはグローバルで同じテーマを採用しているとのことで、「旅はまだ1%が終わっただけ」というグローバルのFacebookの方針を反映しており、一部の天井を取り払って空調設備などをむき出しにした部分は「工事中(≒旅の途中)」というメッセージになっている。
先進的なIT企業では会議室にユニークな名前を付ける場合も多いが、Facebook Japan 東京オフィスでは“和製英語”がテーマ。「UFOキャッチャー」「ペアルック」「ワイドショー」「ゴールデンタイム」などで、ガラス張りの壁の向こうで会議をするスタッフとセットで見るとシュールに見える名称になっている。
このほか東京オフィスにはInstagramに関連して、すべてがミニサイズで巨人の気分が味わえる撮影ブース「ミニルーム」を設置。Oculus Riftの開発チーム向けには、防音設備の試験ルームが2つ用意されている。このOculusルームは米国以外では韓国とロンドン、東京にしかない設備とのこと。2つの部屋の名称は「ASUNA(アスナ)」と「KIRITO(キリト)」だった。
【2015/12/10 17:21 お詫びと訂正】
初出時、Oculusルームについて、シンガポールに設置されていると記載していましたが、正しくは韓国です。お詫びしてい訂正いたします。