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「Xperia Z1」国内で披露、「カメラからスマホを再定義」
(2013/9/13 18:08)
ソニーモバイルコミュニケーションズは、グローバル向けに発表され、日本市場への投入も表明されている「Xperia Z1」について、日本国内で記者向けに説明会を開催した。
取り扱いキャリアなど国内展開の詳細は明らかにされなかったが、秋冬モデルとして登場する見込み。
発表会には、ソニー 取締役 EVPで、ソニーモバイルコミュニケーションズ 代表取締役社長兼CEOの鈴木国正氏が登壇し、ソニーグループの技術を結集させた様子が語られたほか、端末の開発者も登壇し「Xperia Z1」のハードウェア・ソフトウェア面の特徴が語られた。
なお、東京・銀座の銀座ソニービルでは、一般ユーザー向けのタッチ&トライイベント「Xperia Z1 Japan Premiere」を14日~29日にかけて開催する。
「Z1は一言でいうとカメラ。カメラからスマホを再定義する」
最初に登壇したソニーモバイルコミュニケーションズ 代表取締役社長兼CEOの鈴木国正氏は、「“One Sony”の旗のもとでXperiaに技術を投入」「Best of Sony、最高の技術を実現した」といったフレーズで、グループ一丸となって取り組んだ様子を語る。壇上からのプレゼンテーションでは深く触れられなかったが、鈴木氏は「Z1のためだけに集まったのではない。継続的にできるよう、そういう体制ができている」とプレゼンテーション後に語っており、グループ全体の技術を集め結実させたZ1の取り組みは、今後さらに発展させていける体制であることを明かしている。
一方で、ソニーから頻繁に発信される“One Sony”のキーワードは、あくまで自社のこだわりであり、「ユーザー目線ではない」とした上で、「Z1は、一言でいうと何なのか。それはカメラ」とし、「カメラからスマホを再定義」というキーワードを披露。これは、Z1から新たに打ち出す方針であることを明らかにした。
Z1に搭載のカメラは、ソニーのレンズとして定着している「Gレンズ」を搭載。2070万画素で、1/2.3型という大型のセンサーを搭載し、ISO6400までと高感度特性を向上させるなど、これまでのスマートフォンにはない、一歩踏み込んだ技術が投入されている。さらに、画像処理エンジン「BIONZ for mobile」もデジタルカメラの部署と連携したもので、これまでは、門外不出という意味も込めて「秘伝のタレ」と呼ばれていたデジタルカメラ関連のノウハウや技術が惜しみなく投入されているという。
鈴木氏はさらに、ソニーが作るアプリにも言及する。すでにGoogle Playでは多数のアプリが用意されており、質の高いアプリがあるとする一方で、ソニー自身が高度なアプリを作り、搭載することで、それを製品の特徴にしていくという。こうした観点から、端末に搭載のカメラアプリでは、カメラのユーザーインターフェイスの中で、連写やARエフェクトなどを含めたさまざまな機能を簡単に呼び出せるようになっている。
Xperia Z1はソニーを代表する製品
続いて登壇したソニーモバイルコミュニケーションズ UX商品企画部統括部長兼クリエイティブディレクターの黒住吉郎氏からは、Xperia Z1の具体的な特徴が解説された。
黒住氏はZ1について、「“One Sony”を体現するフラッグシップ。ソニーを代表する製品」と自信を見せる。
具体的な特徴としては、テレビの最新技術やノウハウを搭載した5インチのディスプレイや、新規に開発されたカメラ関連のモジュール、2.2GHz駆動でクアッドコアのチップセット「Snapdragon 800」(MSM8974)、3000mAhのバッテリー、より華やかな色になったパープルカラーなどを挙げる。
デザイン面では、ボディの外周を覆うアルミフレームが削り出し加工によるもので、メタルボタンなど最近のXperiaの特徴を踏襲していることを説明したほか、防水に対応した上でステレオミニジャックがキャップレスになったことも、合わせて紹介された。
アンテナも兼ねたアルミ削り出しフレーム、持ちやすさへの配慮も
外観のデザインについては、ソニーモバイルコミュニケーションズ シニアデザイナーの日比啓太氏からも解説された。日比氏は、繋ぎ目のない金属フレームが最も重要な要素とした上で、金属の持つ普遍的な価値を、カメラなどの道具としての普遍性に重ねあわせたイメージでデザインしたとし、金属フレームをアンテナとしても機能させるような技術的な試みも紹介された。
このアルミフレームは、加工精度が向上したことで、Xperia ZのIPX5/7から、Z1ではIPX5/8に防水性能が向上している。さらに、ダブルアルマイト処理と呼ぶ着色技術を用いており、アルミフレームの側面、平面部分にのみ着色を施すというデザインに仕上げられている。こうした観点も含めて、日比氏は、前モデルのXperia Zがガラスの板のようなイメージだったのに対し、今回のZ1は金属の板のイメージに近づいているとした。
日比氏はまた、角のラウンド処理にも言及する。Z1では側面のラウンド処理に加えて、角に当たる部分を球体の一部のようになめらかな曲面に仕上げており、「持っていてもストレスがない」と、金属フレームでありながら、持ち心地も追求している様子を紹介した。
“思い出画質”で記念行事もデジカメ要らず
黒住氏からは「一言でいうと、大きいセンサーは、より綺麗な絵をつくる」と紹介された、カメラのセンサーおよびカメラ関連の技術については、デジタルカメラを手がけるソニー デジタルイメージング事業本部から、カメラエンジニアの松下伸行氏が登壇した。松下氏は、今回開発されたカメラについて、「すばり、目指したのは“思い出画質”」と紹介する。
松下氏は、現在では日常的な行動の記録やメモとして使う、ライフログ的な使い方がスマートフォンのカメラの一般的な使われ方とした上で、これまでならデジタルカメラや一眼レフカメラを一緒に持ち歩いていたような、旅行や運動会など記念行事の場面でも利用に耐える性能になっているとし、「レンズ、センサー、信号処理を“秘伝のタレ”として搭載した。思い出を綺麗に残せるカメラ。気軽に、たくさん、“思い出画質”で写真を残してもらえたら」と語った。
テレビ事業部と連携、ブラビアの最新技術を投入
ディスプレイの画質についても、“One Sony”を象徴するようにテレビの事業部と連携。ブラビアの最新技術を投入した「トリルミナス ディスプレイ for mobile」を搭載するほか、本来は4Kテレビに対応した超解像技術を「X-Reality for mobile」として投入、解像度の低いネット動画を見る際にも威力を発揮するという。
ソニーモバイルコミュニケーションズ ディスプレイエンジニアの八木貴郎氏は、こうしたテレビの最新技術について「今までにないスピードでモバイル向けに改良し、実装した。ソニーの内部にも、こうしたことを実現したいという多くの思いがあったのが、成功の裏側」と語り、最新の84インチのテレビでの表示とZ1の表示を見比べながら画質のチューニングを続けたというエピソードも披露された。
アクセサリー、コンテンツも拡充
スマートフォンをとりまく関連製品を豊富にラインナップできるのも、ソニーとしての強みであると、冒頭で鈴木氏から紹介されたが、Xperia Z1と同時期には、顔認識技術で自動的に向きを変え、笑顔検出で自動的に写真も撮れる可動式のスタンド「スマートイメージングスタンド IPT-DS10M」が発売される。このスタンドはBluetoothでスマートフォンと接続され、アプリの機能に合わせて可動させられるのが特徴で、アプリでコントロールするためのAPIも公開される。
黒住氏からは、レンズ型のカメラ「DSC-QX100」などと連携できる様子や、スマートウォッチの「SmartWatch2 SW2」、ウォークマンアプリや音楽、動画のコンテンツ、クラウド経由で利便性を高めたサービスを提供していく方針も説明され、さまざまな分野での取り組みを加速させていく構えを示した。
なお、ソニーは先日の「IFA 2013」で据え置きのオーディオシステムとして、ハイレゾ音源に対応した製品をラインナップしており、またLGエレクトロニクスは最新のスマートフォン「G2」で音楽ファイルのハイレゾ音源(FLAC形式、24bit/192kHz)対応を果たしている。こうしたハイレゾ音源への対応を聞くと、黒住氏は、「どうやって(ハイレゾ音源を活かせるような機器で)聞くかという問題もある」と課題を指摘しつつも、「適切なタイミングで投入したい。もっと言えば、期待していただきたい、ということになる」と述べ、時期をみて対応していく方針を明らかにした。
また、冒頭で語られた「カメラからスマホを再定義」というキーワードを挙げ、今後は「●●●からスマホを再定義」といったように、カメラ以外でも本格的な技術を投入し、スマートフォンに新たな価値観をもたらすという方向性も示された。