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スマホで見える観光客の動き、KDDIとコロプラが実験

 KDDIとコロプラは、“位置情報ビッグデータ”を用いて、観光地を支援したり地域の振興に繋げるため、観光動態分析の実証実験を実施する。期間は9月末まで。

 今回の取り組みは、スマートフォンから得られた位置情報をもとに、ユーザーの移動の傾向を分析して、観光地の利便性向上などに繋げる、という試み。たとえば、交通手段や観光エリアへの経路を分析することで、より快適に移動できる交通環境の整備に繋げたり、レジャー施設や宿泊施設の整備に活かすという。

 実験には、三重県伊勢市、埼玉県、徳島県が協力する。伊勢市は、今年、式年遷宮にあたる伊勢神宮の町であり、年間800万人が訪れる。実験を通して、観光客が市内のどこを訪れたか分析し可視化して、市内の交通環境整備、あるいは滞在型観光に結びつけたい考え。

 埼玉県は、小江戸とも称される川越、あるいはSLや川下りなどが人気の秩父といった観光エリアがあり、首都圏からの観光客が多い。実験によって、周遊しやすいルートを開発したり、近隣他県である群馬県や新潟県と連携して観光を促進していく。

 徳島県は、阿波踊りや鳴門の渦潮などの観光資源を有し、2014年度には本州四国連絡高速道路が値下げされることから、さらに観光客が増えると期待されている。実験を通じて、関西、中国、四国の他県、さらには首都圏など遠方からの観光客の宿泊傾向や、どういった場所を巡っているかを分析していく。

 なお、実験に用いられる位置情報ビッグデータとは、auのスマートフォンユーザーから同意の上で集め、個人を特定できない形にした位置情報のこと。auスマートパスのスタンプカード利用者に対して、位置情報の利用について許諾を求める。KDDIでは、どのユーザーの位置情報か、暗号化などを施して判別できない形へ加工してコロプラへ提供する。コロプラでは、そのデータを元に、ユーザーの移動・滞在傾向を分析して、レポートを自治体へと提供する。

 これまでもコロプラでは、独自に位置情報を活用して統計データを分析し、自治体や地方公共団体へ観光動態調査レポートを無償で提供している。こうした活動に、KDDIもともに協力する形となる。KDDIでは、位置情報ビッグデータが防災や街づくりなど、公的・学術的な面で活用できると見ており、今回の実験を踏まえて、可能性を探っていく構え。

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関口 聖