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ネット機能は全てスマホで、新型テレビ「スマホライフAQUOS」
(2013/4/23 16:04)
シャープは、一人暮らしなどの単身者向けテレビの新製品で、Bluetoothスピーカーとしての機能や、スマートフォンの画面をそのまま表示できる機能を備えた24インチサイズの「スマホライフAQUOS(LC-24MX1シリーズ)」を5月30日に発売する。オープンプライスだが、店頭価格は7万円前後になる見込み。
「スマホライフAQUOS」は、23.6型パネル(1366×768ピクセル)を採用した据置型のテレビ。地上波、BS、CS(1チューナー)に対応した一般的なテレビとしての機能に加えて、スマートフォン対応のBluetoothスピーカー、Androidスマートフォンの画面を表示する機能、スマートフォンアプリを利用して番組視聴中のTwitter連動機能といった点が大きな特徴となる。
最近のテレビには、Webブラウザが用意され、テレビ単体でインターネットへ接続してWebサービスを利用できる物もあるが、「スマホライフAQUOS」はそうした機能を全てスマートフォンに委ねる形となり、Webブラウザは搭載しない。ただし、Wi-Fiに対応するほか、テレビなどの規格を定める国内の業界団体、ARIB(電波産業会)の規定によってLANポートも用意されており、宅内LANに接続してDLNAクライアントとして、パソコンなどのコンテンツを再生することはできる。
Bluetoothスピーカー
2.1ch、出力20W(5W×2、10Wのサブウーファー)のスピーカーを搭載しており、Bluetoothスピーカー(コーデックはSBC)として利用できる。
テレビの電源をOFFにしたまま、iOS端末、Android端末、オーディオプレーヤーのBluetoothをONにすると、「スマホライフAQUOS」のスピーカーもONになり、ワイヤレスのBluetoothスピーカーとして音楽再生を楽しめる。5Wのパイオニア製スピーカーが前面左右に1つずつ配され、背面には10Wのサブウーファーが内蔵されている。
Bluetoothスピーカーとして利用するには、スマートフォンと「スマホライフAQUOS」のペアリングを事前に済ませておく必要がある。この手続きとは別に、後述するスマホの画面を表示する機能(Miracast)を利用するにはMiracastの登録が必要となる。
スマホ画面を表示
「スマホライフAQUOS」では、テレビ画面上にスマートフォンの画面を表示する機能が用意されている。これは、Wi-Fi経由で動画を送信する標準規格「Miracast」で実現した機能。「Miracast」はWi-Fi Allianceという業界団体によって策定された仕様で、いくつかのAndroidスマートフォンでサポートされているほか、今後搭載機器が登場する見込みのAndroid 4.2以降では、標準的にサポートされる。
「Miracast」対応のスマートフォンから「スマホライフAQUOS」を登録すると、スマートフォンの画面がそのまま「スマホライフAQUOS」に表示され、スマートフォンを操作すると、「スマホライフAQUOS」上の表示も変わる。つまりスマートフォン内の写真、動画、ゲームアプリなどをテレビ画面に映し出して楽しめる。極端な例ながら、スマートフォン側のワンセグアプリを起動すると、1チューナーの「スマホライフAQUOS」でも2画面でテレビ番組を楽しむ、といった使い方もできる。
スマートフォンを縦に持っていると、画面の大部分が「スマホライフAQUOS」のテレビ画面、残りがスマートフォン画面という形だが、スマートフォンを横長にすると「スマホライフAQUOS」の画面全体がスマートフォンの画面、という形に切り替えることもできる。
初期設定での接続では、スマートフォン側の画面をキャッシュして、テレビ画面に映し出すが、アクションゲームなどを快適にプレイできるよう遅延を減らした「クイックモード」も用意される。クイックモードは「スマホライフAQUOS」の設定画面で選択する。
有線ケーブルで繋ぐMHLもサポートしており、スマートフォンを充電しながらその画面をテレビ上に表示することもできる。
スマホアプリでテレビを楽しく
3つ目の特徴となるのがスマートフォン向けアプリ「AQUOSコネクト」と「おしえてリモコン」だ。「AQUOSコネクト」は、スマートフォンをWi-Fi経由でのテレビリモコンにするアプリ。同梱のリモコンと同等の操作が可能で、電源のON/OFF、入力切り替え、チャンネル選局などのほか、「スマホスクリーン」を呼び出すボタンも用意されている。スマホスクリーンで表示できるスマートフォンの対応機種は、まずはAndroid端末となるが、「AQOUSコネクト」についてはiOS版も用意される予定。
同アプリでは、番組連動機能として「キーワードサーチ」も用意されている。番組情報として配信される出演者名などが自動的にキーワードとして表示され、好みのワードを選び、検索エンジンを選択して検索するという流れで、番組視聴をきっかけに、より詳しい情報へアクセスしやすい流れを作る。
もう1つのアプリ「おしえてリモコン」は昨年6月から提供されているAndroid/iOS対応アプリ。テレビ番組に対するTwitterへの投稿数から、人気の番組がわかるというもので、テレビを観ながらTwitterを通じて他のユーザーと一緒に盛り上がれる。「スマホライフAQUOS」の画面上でテレビ番組、Twitterを同時に表示して、テレビ番組をより楽しめる仕掛けとなっている。
スマホとの親和性向上図る、デザインにも注力
シャープ デジタル情報家電事業本部 グローバル商品企画センター所長の山本信介氏は、「スマートフォンは今やなくてはならないもの。これまでのファミリー向け、幅広い年齢層向けのテレビに加えて、今回はスマートフォンに親しみつつもテレビ離れと言われる若年層のシングルユーザーに向けて、スマートフォンでもっと楽しんでもらえるように、『スマホライフAQUOS』を開発した」と語る。
テレビのトレンドとしては、ネットの融合などを特徴とする、いわゆる“スマート化”が挙げられる。テレビ本体のスマート化だけではなく、セットトップボックス(STB)や、スティック型端末、あるいは放送事業者によるサービスなど、さまざまな商品に溢れている。そうした中で、「スマホライフAQUOS」では、テレビの“スマート”な部分を、そのままスマートフォンに担わせる路線を選択した商品だ。
スマートフォンとテレビの親和性を高める機能として、今回用意されたのはBluetoothスピーカーとしての機能、そしてスマートフォン画面をそのままテレビに映し出す機能だ。iPhone普及以前、iPod touchなどに対応したスピーカーユニットやAVコンポなども人気だったが、iPhoneやAndroidスマートフォンを利用するようになったユーザーにとって、手元でいつでもネットに繋がりTwitterなどを利用できる形のほうが便利で、ドッグに装着し続けなければ音楽を楽しめない機器では利用しづらい。そうしたことから、最近ではスマートフォン周辺機器を手がけるメーカーなどから、Bluetoothスピーカーの人気が高まっているとの声も聞こえる。今回の「スマホライフAQUOS」のBluetoothスピーカー機能は、スマホ時代を迎えて変化した若年層のニーズに向けて用意された機能と言える。
一方、ネット機能をテレビから分離しスマートフォンに集約したのはなぜか。これも、単身で暮らす若年層には、固定回線を利用せず、携帯電話だけで暮らすケースが背景にある。山本氏も「若年層が利用するコンテンツも、スマートフォン経由で提供されている」と語っており、オンデマンドな映像配信やゲームアプリなどのコンテンツをスムーズに利用できる環境として、若年層にとってはスマートフォンのほうが便利という判断に基づくようだ。
どちらもターゲットとするユーザー層のライフスタイルにあわせて、利便性を高めようと新たな提案を行う機能として用意されたもの。外観も、AV機器にありがちな黒を基調したデザインではなく、筐体全体を白ベースにしつつ、スピーカー部を覆うネットを、グリーン、オレンジ、シルバーと3色のバリエーションにしてポップなテイストに仕上げた。「スマホライフAQUOS」という名称とともに、新たなユーザー体験を提案する商品となるが、シャープでは、ユーザーからの声を見つつ、より大画面なテレビ製品でも同様の機能を提供するかどうか、検討していく構えだ。