iPhone向けにスタンドアロン型のカーナビアプリ「マップルナビS」


「マップルナビS」 ※車載用クレードルは含まれない

 キャンバスマップルは、iPhone向けのカーナビゲーションアプリ「マップルナビS」の配信を開始した。App Storeからダウンロードでき、価格は1ダウンロード1400円。7月13日までは半額の700円で配信される。

 今回配信が開始される「マップルナビS」は、組込機器向けのカーナビを開発する同社が初めてコンシューマ向けに提供する本格的なカーナビアプリ。ナビ中には基本的に通信機能を利用しないスタンドアロン型で、シンプルな使い勝手を追求しているのが特徴。現在地や目的地について、同社が配信している電子書籍版の観光ガイドブックなどと相互に連携する機能も備えている。

 カーナビゲーション機能として、聞きやすい自然な声による音声案内と、さまざまな目的地検索機能を搭載。全国1400都市については詳細な市街地図も搭載し、都市高速やジャンクションなどは案内中にイラストでも表示する。「スーパーマップル」など昭文社が提供する見やすい地図の表現を採用し、iPhoneの画面用に文字だけ大きくすることも可能。

 スタンドアロン型として地図データをすべて搭載し、地図のスクロールや拡大・縮小を素早く行える。また同様に、検索結果の地名も予め搭載されているため素早い検索が可能。オートリルートも一瞬で完了する。サービスエリア、パーキンエリア内の地図や情報、47都道府県の主要部で「ぬけみち」を案内するデータも搭載されている。通信を利用するVICSなどの渋滞情報には対応していない。

 同社が配信する電子書籍版のガイドブック(別売)と連携が可能。「ことりっぷ」「まっぷるマガジン」で気になったページから地点情報を「マップルナビS」に転送して目的地に設定できる。また、「マップルナビS」で地図を表示している画面で「Book」ボタンを押せば、現在地など地図の場所の情報を掲載しているガイドブックが表示され、周辺の情報を調べられるようになっている。

 「マップルナビS」に搭載される地図データは2012年春版で、2011年末の情報を基にしたもの。このため、新東名高速道路はルート音声案内に対応するが、料金計算には対応しない。新東名の料金は次回のアップデート(2012年秋版のデータ)で対応される見込み。

 同アプリの地図データは年2回のペースで更新され、2014年7月までは無料で更新される。2014年7月以降、地図データの更新は予定されていないが、利用は可能。iOSのバージョンアップに対するサポートについては2015年7月まで提供される。また、iPadには今後同じアプリで対応する予定で、現在アプリを購入しても、無料のアップデートによりiPadに対応する予定となっている。

 アプリの容量は1.8GB弱で、インストール時には約4GBの空き容量が必要。Android版については企画・検討段階とされている。


昭文社が提供する電子書籍版ガイドブックと連携可能

 

スタンドアロン型で高速に動作、内製で低価格を実現

挨拶を行った昭文社 取締役の内田次郎氏

 26日には都内で記者向けに発表会が開催された。挨拶に登壇した昭文社 取締役の内田次郎氏は、2000年前後の昭文社は「時代の流れについていけず後手後手だった」と振り返りつつ、デジタル地図のビジネスを手がけるキャンバスマップルを設立した経緯を紹介。地図コンテンツに加えて、観光ガイドなどのデータベースを保有し、キャンバスマップルでアプリ開発を内製化したこと、リアルな媒体の出版部門を持っていることの4つが「他に類を見ない強みになる」とし、この強みはスマートフォン上のビジネスにもマッチしているとした。

キャンバスマップル 代表取締役社長の山本幸祐氏

 キャンバスマップル 代表取締役社長の山本幸祐氏は、プレゼンテーションの冒頭で「iOS 6」がオリジナルの地図とカーナビアプリを標準搭載することや、ナビアプリ市場が激震するといった声を紹介しつつも、「ご心配なく。最後には、これは売れるんじゃないかと思っていただける」と自信を見せる。

 同氏が「満を持して参入する」という同アプリは、スタンドアロン型で、動作速度が速いのが特徴。コンビニなどで販売され道路地図シェア86%という「スーパーマップル」の馴染みのある見やすい地図をアプリでも再現するほか、自然な音声による案内やネットワークの圏外でも利用できる点、電子書籍版のガイドブックと連携できる点などを強調した。また同氏は、アプリの価格を競合他社と比べて安くできたことについて、地図コンテンツを保有し、アプリを内製とし“産地直送”で中間マージンが無いこと、また電子書籍版ガイドブックの購入などを見込み、多くのユーザーに使ってもらいたいという戦略的な視点から1400円(7月13日までは700円)という価格を実現したと説明された。


スタンドアロン型で通信環境に左右されず動作するVICSには対応しないが「ぬけみち」情報を搭載
昭文社の電子書籍版ガイドブックと連携し周辺情報を検索できる価格は1400円で、キャンペーン中は半額に

 

キャンバスマップル ナビゲーション統括部 次長の広瀬浩司氏

 実際のアプリを利用してデモを行ったキャンバスマップル ナビゲーション統括部 次長の広瀬浩司氏は、一般的なカーナビは出かける直前に車内で作業が必要なこと、通信のナビアプリは利用しづらい場所がある点などを挙げて、「マップルナビS」では「お出かけは劇的に変わる」とアピール。音声案内の様子や、道を間違えた際にも一瞬でオートリルートが終わる様子などを紹介した。同氏は、VICSなど通信機能で提供される渋滞情報については、VICSのために支払うロイヤリティや、スタンドアロンのシンプルな使い勝手を追求した結果、搭載を見送ったとした。


走行中に使用した際の動作を動画で紹介した高速道路などは音声案内に加えてイラスト表示も
料金所手前もしっかりと案内オートリルートは瞬時に完了する

プレゼンテーション

 




(太田 亮三)

2012/6/26 17:29