企業が掲げる題材で開発、「東京スマートフォンAPPアワード」


実行委員長の寺山氏

 モバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF)は、スマートフォンアプリのさらなる発展に向けて、優秀なスマートフォンアプリを選出するコンテスト「第1回東京スマートフォンAPPアワード」を開催する。協力する企業がテーマを提示し、それに沿ったオリジナルアプリを募る。

 「東京スマートフォンAPPアワード」は、スマートフォンアプリの進化・発展に向けて新たに実施されるコンテスト。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルが協賛し、日本アンドロイドの会、html5j.orgという関連コミュニティが協賛する。自由にアプリを開発する、という形ではなく、企業が出題するテーマのうち、開発者は好みのものを選び、そうして開発されたアプリから優秀なものが選出される。さらに審査委員会で選考される。応募作品の受付は12月16日から開始され、2012年2月13日が締切となる。その後審査が行われ、来年3月にノミネート作品の発表、そして受賞作品が発表される。審査基準は各社のテーマに沿うこと、そして「驚き、楽しさ、奇想天外さなど、人の心を動かす演出が凝らされているか」という点になるという。

 協力企業と、それら企業が出展するテーマは以下の通り。


イオン銀行
 「イオンにご来店およびWAONをご利用いただくお客さまの生活に役立つサービスの提供とおトクな情報をお届けするアプリ」
ANA
 「飛行機や空をテーマに、お子様や親子で遊んでいただけるアプリ」
サントリー
 「ノンアルコールビールテイスト飲料『オールフリー』のアプリ」
資生堂
 「UNOブランドの主力製品である『FOG BAR』を活用した、遊び感覚で楽しめるアイデアやかっこ良く決められるイメージがもてるアプリ」
WWFジャパン
 「WWFの推奨する“One Planet Lifestyle”をより多くの方にご理解いただき、継続的に実践してもらえるアプリ」
東京スカイツリー
 「2012年5月22日の東京スカイツリー開業を、より多くの方にお祝いいただき、楽しみ、訪れていただくためのアプリ」
日産自動車
 「カーライフをもっと楽しむアプリ」
日清食品
 「カップ麺ができるまでの待ち時間を楽しめるアプリ」
ファミリーマート
 「コンビニのショッピングが楽しくて、つい行きたくなるようなアプリ」

 これらのテーマから好みのものを選び、Android 2.2以降向け、あるいはWeb(HTML5)アプリとして制作したアプリが審査される。その結果として、各テーマの出展企業賞(副賞:最新タブレットやスマートフォンなど5万円相当の賞品)やアンドロイド賞、HTML5賞(各10万円)が選出されるほか、最優秀賞には賞金200万円、優秀賞2点には賞金50万円が贈呈される。実用化されるかどうかは未定で、優秀作品の発表後、企業と開発者が検討することになる。なお、iOS向けアプリは、一般に未公開のまま審査することが技術的に不可能と判断され、今回は対象外となっている。またAndroid 3.Xも対象外。

MCFの岸原氏(左)とHTML5j.orgの白石氏

 MCFは25日、モバイルコンテンツ開発者向けイベント「mobidec 2011」の会場で記者会見を開催した。実行委員長を務める寺山隆一氏(シーエー・モバイル取締役会長、MCF代表理事)は「スマートフォン市場が急拡大しているが、これまでフィーチャーフォン(従来型の携帯電話)のビジネスモデルがキャリア主導からOS主導に変化して、プレーヤーも変わって、ある意味、国際化が進むことになった。過去の経験から、こうした変革の時、鍵を握るのはクリエイター。今回のアワードはアプリの活性化の一環として行うもの」と説明した。

 企業からテーマを提示してアプリを開発する、という形態は、これまでコンシューマー向けアプリが広く登場し、今後企業のニーズにあわせたB2Bアプリの開発が進むとの予測が背景にあるという。協力企業は、食品、化粧品、飲料などの業界大手が多く参画しており、MCF常務理事の岸原孝昌氏は「モバイル業界だけではなく、各産業で情報ツールをいかにするか、という大きなテーマがある。今回のコンテストは日本全体がスマートフォンを進展させるという1つの象徴」と位置付けた。また協力コミュニティであるhtml5j.org管理人の白石俊平氏は「“気楽に、お祭り的にやろう”というのが特色。実際、各社が掲げているテーマは肩の力が抜けたもの。クリエイターが存分に面白いもの、振り切ったものを開発することを期待している」と述べた。

(関口 聖)

2011/11/25 14:40