必要なシーンにあわせて利用できる「ドコモ ワンタイム保険」


ドコモ ワンタイム保険(ロゴマーク)
サービス提供フロー

 NTTドコモは、4月下旬より、携帯電話から申し込める「ドコモ ワンタイム保険」を提供する。同社では、東京海上日動火災保険と包括的業務提携に合意したこともあわせて発表している。

 「ドコモ ワンタイム保険」は、携帯電話から申し込みでき、必要なときに利用できるようにする保険サービス。いわゆる生命保険ではなく、損害保険で、その中でも物損対象ではなく、スポーツや旅行といったシーンに向け、人を対象にした傷害保険が提供される。利用料は、1泊2日で300円~(非課税)だが、保険適用期間や保険内容によって利用料は異なる。保険内容は、死亡時や後遺症が残る場合の保険金、入院時の入院日額などによって「おすすめ」「おてがる」「しっかり」といったコースが用意される。スタート時に提供される保険は以下の4種類。

  • スポーツ・レジャー保険(1泊2日300円~)
  • ゴルファー保険(1泊2日300円~)
  • 国内旅行保険(1泊2日300円~)
  • 海外旅行保険(1日980円~)

 このうち、スポーツ・レジャー保険は、スキーやスノーボード、フットサル、ジョギング、バーベキュー、海水浴、ハイキングなどを行う際の補償を想定する。ただし、ピッケルを用いる登山など危険を伴うスポーツは対象外となる。また、ゴルファー保険では、もしホールインワンを達成した際に保険金が支払われることもある。

 申込はiモードサイトで、24時間365日受け付ける。申込時は、ドコモが保有する契約者情報を反映するが、変更点があればユーザー自身の手で修正・入力し、最終的にはiモードの暗証番号で申込を行う。利用料は翌月の携帯電話利用料と合算して支払う。

概要サービス内容

 オートGPS対応機種であれば、普段の生活圏と異なる場所を訪れていたり、ゴルフ場や空港の近くへ行ったりすると、「ドコモ ワンタイム保険」を案内するメールが届く。このメールを受け取るためには、事前に専用アプリをダウンロードしておき、受信するよう設定しておく必要がある。万が一、事故に遭った場合や、不明な点があれば、専用窓口へ電話して保険金の申請や問い合わせを行うことになる。「ドコモ ワンタイム保険」はオンラインや電話窓口での応対が基本となり、ドコモショップでは、「ドコモ ワンタイム保険」に関するサポート業務は行わない。

 もし事故発生後に申込があったとしても、携帯電話での申し込み時刻は記録され、事故発生時間も警察などによる検証が為されることが多いため、前後したかどうか確認できるという。

 

東京海上日動が保険引受

東京海上日動の家中氏(左)とドコモの辻村氏(右)

 今回のサービスは、NTTドコモと東京海上日動の提携により実現した。3月25日付けでドコモが保険代理店としての資格を得ており、ドコモが保険代理店、東京海上日動が保険引受を担当する。主にドコモユーザーをターゲットにして、ドコモが販路の中心を担うことから、「ドコモ ワンタイム保険」というサービス名になったという。

 ターゲット層は、15歳以上のドコモユーザーとのことで、幅広い層に対して、ドコモのWebサイト、請求書同梱のリーフレット、マス広告などを組み合わせ、積極的に訴求していく。3年後を目処に、300万~400万契約を獲得したい考え。

 両社では30日午後、都内で記者会見を開催。ドコモ代表取締役副社長の辻村清行氏によれば、今回の提携は、ドコモ側が骨子となるアイデアを温め、東京海上日動側へ打診。今後の展開を踏まえ、包括的業務提携を行うことになったという。「ドコモ ワンタイム保険」のベースは2009年3月頃から、包括的業務提携は2009年7月頃から検討してきたとのことで、ドコモ側では「業界のリーディングカンパニーである東京海上日動と提携した。他の保険会社との提携は考えていない」(辻村氏)という。

 保険料収入は東京海上日動へ計上され、販売手数料がドコモへ入る形となる。販売手数料の割合は明らかにされていないが、今後2~3年での黒字化を見込む。

東京海上日動の狙いドコモの狙い

 会見で東京海上日動取締役副社長の家中 隆氏は「保険商品・ラインナップの開発ノウハウや強固な代理店ネットワークを有し、ドコモ側では携帯でさまざまなサービス展開のノウハウを持ち、5000万人以上の顧客基盤を誇る。これらを融合することで、携帯電話の決済や行動支援を活かした新商品開発などを行う。ドコモ ワンタイム保険は第1弾商品」と述べる。今後は、ユーザーの生活リスクに対する適切な商品案内、事故時における保険金請求手続きや進捗報告の携帯活用、ドコモのサービスを東京海上日動の代理店が法人開拓へ活用することを検討していく。海外についても、ローミングユーザーへの保険提供などを行っていく。

 ドコモ側では、クレジットブランド「iD」の立ち上げ、同ブランドを採用したクレジットサービス「DCMX」の導入、利用件数が3万件を超えたという送金サービス「ドコモケータイ送金」を展開してきた。今回、新たな金融領域における取り組みとして「ドコモ ワンタイム保険」が提供されることになった。辻村氏は「消費市場が成熟し、余計な物を買わなくなった環境において、携帯を活用して欲しいものを欲しい分だけ提供する“マイクロ化”で需要を開拓したい」と語り、常にユーザーの手元にある携帯電話が損害保険という商品においても、適切な窓口になることを目指したと説明した。

 

(関口 聖)

2010/3/30 15:09